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オカ研の旗の下(もと)  作者: 淡太郎
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クラレスとアルキュラス・第四幕・いざ確信の中へ

沙織と由香は運動場の片隅に備え付けられたプレハブ小屋に向かった。

「確か此処よ。新しく出来た“通信ネットワーク部”の部室」

沙織が掲げられた表札を指した。

「プレハブ小屋が部室なの。部屋の中は夏はかなり熱いし冬は相当寒いわよ」

由香が呆れた。

「私達のアジトも似たようなものよ。どこを選ぶかはそれは色んな部の個性だからいいんじゃない」

沙織はその物置・・部室のドアをノックした。アルミの音が建物全体に響いた。

「居ないみたいねぇ。まぁ休みだから仕方ないか」

由香が帰ろうとした時、沙織何処からともなく鍵を見つけ出し開けた。

「凄いわね!何処にあったの!」

「不用心だから内緒」

沙織は由香の問いかけに内緒のポーズを取った。中に入り照明を点けると机に所狭しと置かれた何台もの無線機とコンピューター、撮影器具にちょっとしたスタジオまであった。

「私達のアジトを棚に上げて人の事は言えないけどまるで本当に物置ね。ごった返しているわ」

由香は周りを眺めながら気だるそうに言った。

「これかしら?スーパーコンピューター?」

沙織一番奥に置かれた大型冷蔵庫の様な機械を見つけた。

「使い方分かるのぉ?」

沙織は不安げに聞いてきた。

「大体でいいのよ」

沙織は由香からデータカードを貰い差し込んだ。モニターの画面に出てきた文面は適当に目を通すとスタートボタンを押した。途端スーパーコンピューターは唸りを挙げ稼働し始めた。

「これで教えてくれるまで此処で寝て待ってもいいわ」

沙織は大きなあくびをしてソファーに座り込んだ。


学校に戻って来た翠と綾乃は早速アジト・・部室でろうそくを灯して祭壇を作り何やら怪しい儀式をしようとしていた。

「それではやっていくわよ。覚悟はいい」

黒マントに身を包み分厚い辞典を手にした綾乃が魔法陣の円に座った翠に言った。

「タイムマシンがあればいいって言ったけど、別に無理して行かなくてもいい!」

よく見ると翠の体はロープで縛られていた。

「だけどその状況を共有して体験できれば直ぐに分かるじゃない」

綾乃は分厚い辞典を開き準備を進めている。

「その本に書いてある事を実験するのはいいけど、ほんとに戻って来れるんでしょうね!」

翠は不安で仕方がない。

「大丈夫この“世界の儀式大図鑑”を信用しなさい」

綾乃は図書室にある本には全て信頼を寄せている。

「それでは今より“幽体離脱の儀”を執り行います。意識を集中して下さい」

綾乃はお祓い串を振り回しお祈りを唱え始めた。翠は目を瞑りやがて綾乃は魔法陣をぐるぐると回り出した。そこそこ時間も経ち熱も入りようで動作も大袈裟になり儀式も大詰めを迎えてきた。

「つ、疲れたっー」

綾乃が息絶えた。

「時間掛かっているけど全然何も起こらないじゃない」

翠は縛られたままポカンとしている。

「おかしいわねぇ。どこが違うのかしら・・」

綾乃は疲れへたり込んでいる。

「見ておれぬ。童も手を貸しておろう」

突然沙織たちが使っていた映写機が動き出しスクリーンにお狐様が映し出された。

「あっ、お狐様ぁ~」

綾乃は弱い疲れた声で助けを求めた。

「根本的にその儀はでたらめじゃ。要するにお主の魂をその体から抜け出せばいいのじゃろう。童に任せてたもれ」

お狐様は自信ありげだ。

「それではお二人ともよろしいかな。お覚悟なされい!」

お狐様はそう言うと早口で呪文を唱え二人の体を突き飛ばした。

「えっ!私もぉ~」

綾乃も魔法陣の中に倒れ込み二人とも眠っていった。

「お狐様これで大丈夫なの?」

綾乃が聞いた。

「あぁ~!私達の体が寝そべっているぅ!」

翠も綾乃の横に立っている。しかし二人の体は魔法陣の中で横になっている。二人とも形の無い魂だけが抜け出していたのだ。

「大成功じゃ!これでお主らは時間を隔てて何処にでも行けるぞよ」

二人はお狐様の言う説明通りに意識を集中させて両家の仲を取り戻すため時間の旅へと出た。

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