いつも、こうだ……
いつからそうなってしまったのか。
それはほんとうに憶えていない。
でも――。
出会いはいつも「こう」だ。
――すでに国を失った十七歳の少年、ラ・トビア。
行く当てはあったが、いつも「何か」に巻き込まれた不遇の少年として保護されては、行く先々の国に仕える騎士団たちに献身的な介抱をされて、優しくされてはもらうが……。
その最中の言動で、ラ・トビアがじつは「竜王」ではないかと嫌疑をかけられる。
疑われる理由は、簡単。
ラ・トビアは、人間を好きではない。
ラ・トビアは、ドラゴンを酷く愛している。
ラ・トビアにはいつも、赤いトカゲがついていて、その背には翼がある。
――人は、誰もがそれだけでラ・トビアを「竜王」だと断言してしまうのだ。
「俺は人間だッ、ドラゴンは友だちなんだから、虐めないで!」
自分はただ、ドラゴンを愛する国に生まれて育ち、ドラゴンたちから多くを学び、魔導士ならぬ竜道士の力を得ただけなのに……。
「お願いッ、ドラゴンを殺さないで!」
どれだけの国々に誤解されて保護されて、それを訴えて「竜王」と勘違いされて、囚われの身になったのか。
もうそれはわからない。
――いまも、そうだ。
辛うじて、ただ不思議な力を使える少年だと信じてもらっても、結局は監視というかたちの「軟禁」状態。
もう嫌だ……。
帰りたい……。
帰りたいのに――。
この広い世界、たらい回しになった自分がいまどこにいるのか、もうわからない。
それが何度とつづいたある日。
ラ・トビアを拘束器具で捉えた騎士団がドラゴンに襲われた――。
無論、それは襲われた側の現実で。
ドラゴンたちにとっては、やっと見つけたラ・トビアを助けるための現実で。
でも、ドラゴンたちは破壊した護送車から飛び出してしまったラ・トビアを、ついぞ見つけることができなかった。
――ラ・トビアが破れた天幕の下にいたため……。
そこに来て、また新たな騎士団が偶然通りかかり、凄惨な状況を見て、
「彼らはドラゴンに襲われた模様です!」
と、決めつけてしまう。
――ああ、違う。
違うの。
ドラゴンは悪くないの。
ドラゴンは俺を助けようとして、それだけで……。
誰か、お願い。
ドラゴンを理解して――。
――俺を……。
竜王なんかじゃないと、信じて……。
ラ・トビアは、つぎこそ目覚める世界に希望があるよう、それを夢見て、怯え、いまだ意識を取り戻せずにいた。
《完》




