第95話 どんな顔してセヴェリ様と話せばいいのっ
本編の方は15禁になります。
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朝を迎えると、目の前にはセヴェリがいた。顔を見ると恥ずかしくて、でも胸の内に潜む満足感がサビーナを微笑ませる。
セヴェリもまた、サビーナを見つめながら目を細め、髪を撫でてくれている。柔らかに弧を描いた口元をサビーナに寄せ、昨夜何度もしたように口付けをしてくれた。
セヴェリの腕の温もりが心地良過ぎて、どうにかなってしまいそうだ。
もう何も考えたくない。ずっとこうしていたい……そう思うのは、まだ熱があって人恋しくなっているからだろうか。
今はまだ離れたくない。
いつか来るその時までは、せめてこうしていたかった。
熱が下がってブロッカ街に行くと、久しぶりにマティアスに会った。
「うん、まぁちょっと風邪引いちゃったりしたけど、元気。どっか行くの?」
用事と言って指さしたのは、娼館である。
そうなのか、とサビーナは納得した。
なんて事はない、セヴェリはお腹が空いて、食べただけなのだ。
偽装結婚している手前、お腹が空いても他には手を出せない。
ただ、それだけの話だった。
そ日以降も、サビーナとセヴェリは会うたびに体を預けあった。
しかし、欲を満たすためだけの行為というのは、こんなにも悲しいものなのだなと、サビーナは心で泣いていた。




