表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たとえ貴方が地に落ちようと【簡易版】  作者: 長岡更紗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/115

第68話 じゃあ来週はそれを買って来ます

 また次の休みに帰ってくると、ラーシェの出産が終わったことを聞いた。

 次の休みに、出産祝いを持ってセヴェリと彼女の家に行くと、ジェレイが迎え入れてくれる。


挿絵(By みてみん)「おお! いらっしゃい、セヴェリ、サビーナ! 首を長くして待ってたんだぞ!」


 どうやらラーシェとジェレイは夫婦だったようだ。ほとんど村にいないサビーナは初めて知った。

 中に入ると、生まれたばかりの男の子を見せてもらう。名はルーフェイというらしい。セヴェリは促されてその子を抱っこしている。


挿絵(By みてみん)「ルーフェイも三歳になったら私の所で預かりますよ」

挿絵(By みてみん)「ええ、その時にはお願いするわ」


 セヴェリがルーフェイをラーシェに返すと、今度はサビーナに赤ん坊を差し出してきた。それを拒否すると、ジェレイが教えてくれる。


挿絵(By みてみん)「この国では、生まれて三ヶ月以内に百人に抱っこをされると、健康に育つという言い伝えがあるんだ。是非抱いてやってくれ」


 サビーナは仕方なく数秒だけ抱っこして、すぐにラーシェに返した。手が異常に震えて、血の気が引いた。

 祝いのオルゴールを渡して早目に家を出ると、サビーナはやっとホッと一息つく。


挿絵(By みてみん)「大丈夫ですか?」

挿絵(By みてみん)「は、はい……」

挿絵(By みてみん)「子供が苦手だったのですか?」


 サビーナは首肯し、その理由を話し始める。


挿絵(By みてみん)「私の父は再婚だって話はしたと思いますけど……本当の母親は、相当な子供嫌いだったらしいです。生まれたばかりの私を置いて逃げ出したほどで……その血が受け継がれているのかもしれません。見ている分には平気ですが、会話や接するのはちょっと……」


 目を伏せていると、セヴェリがそっとサビーナの頭に触れていた。

 何も言わず、頭を撫でる。それだけ。

 セヴェリが何を考えているのか、サビーナには分からない。

 ただ彼と己の間には、高い塀のような隔たりがあるのだろうなと、漠然と考えていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ