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たとえ貴方が地に落ちようと【簡易版】  作者: 長岡更紗


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第69話 芽なんか出るんでしょうか

挿絵(By みてみん)「明けましておめでとう」

挿絵(By みてみん)「明けましておめでとうございます、セヴェリ様」


 静かに新年を迎えた朝、サビーナとセヴェリはそっと微笑み合った。


挿絵(By みてみん)「あなたは良くやってくれました。私を助けだし、ここまでの護衛を果たし、そしてこの村で生きる基盤を与えてくれた。とても感謝しています」


 お礼を言われる事など何もない。己の意思でこうしているだけなのだから。サビーナはほんの少しだけ、首を左右に細かく振った。

 しかし次の瞬間には、セヴェリの瞳は暗いものへと変わっていた。


挿絵(By みてみん)「今年もよろしくと言いたい所なのですが……あなたはここを出る事を考えなさい」

挿絵(By みてみん)「え……?」

挿絵(By みてみん)「あなたはまだ十六歳。私に付き合う必要はありませんよ。あなたなら別の地で、人生をやり直す事だって可能でしょう。追手に怯える生活など、あなたがする必要はないんです」

挿絵(By みてみん)「あのっ! ……私は……人を斬りました」

挿絵(By みてみん)「知っています。けれどそれだけであれば、深く取り沙汰される事は……」

挿絵(By みてみん)「殺したんです。確実に、一人は。セヴェリ様から離れたとしても、私自身に追手が掛かる事でしょう。ですから、セヴェリ様から離れる意味はありません」

挿絵(By みてみん)「私の為に、人を……辛い思いをさせてしまいました」

挿絵(By みてみん)「……いいえ。追手に掛かる恐怖がなくなるその時まで、ずっとお傍に居させてください」


 この気持ちは、一体何というのだろうか。


 犯罪者同士が、慰め励まし合っている……というだけでは足りぬ感情だ。

 彼のためならば何でも出来る。セヴェリが恐怖から解放され、自由に生きられるのならば、何だって。


 少しして、セヴェリが腰につけた小瓶を取り出した。


挿絵(By みてみん)「サビーナ。このオレンジの種を植えてみましょうか」

挿絵(By みてみん)「これを? 芽なんか出るんでしょうか……」

挿絵(By みてみん)「分かりませんが、やってみる価値はあるでしょう? これが育てば、良い値で売れるかもしれません」

挿絵(By みてみん) 「そうですね。私もまたアデラオレンジを食べたいですし」

挿絵(By みてみん)「実は、私も自分が食べたいだけなのですよ」


 二人は、そのアデラオレンジの種を植えることにしたのだった。

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