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たとえ貴方が地に落ちようと【簡易版】  作者: 長岡更紗


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第64話 セヴェリ様を売らない限り、だけどね

挿絵(By みてみん)「久しぶりですね、プリシラ。八年ぶりでしょうか」

挿絵(By みてみん)「ええ。セヴェリ様もすっかり大人になられて」

挿絵(By みてみん)「まさかあなたがこんな所にいるとは思ってもいませんでしたよ。シェスカルとは連絡を取っていないようでしたが?」

挿絵(By みてみん)「はい、もう……関係のない人ですもの」


 それからセヴェリは、プリシラにこれまでのことを詳細に告げた。


挿絵(By みてみん)「まさか、裏切った隊の者と言うのは……」

挿絵(By みてみん)「シェスカルですよ」

挿絵(By みてみん)「申し訳ありません、セヴェリ様!! シェスカルがとんでもない事を!!」

挿絵(By みてみん)「何故あなたが謝るのです、プリシラ。彼とはもう関係ないと言ったのは、あなたでしょう?」

挿絵(By みてみん)「そ、そう……ですが……シェスカルが……まさか、セヴェリ様を裏切るなんて……」

挿絵(By みてみん)「彼にも思う所があったんでしょう。考えなしで行動を起こす人物ではありませんからね。今、アンゼルード帝国はどうなっているのか情報を仕入れたいのですが、プリシラは何か知りませんか?」

挿絵(By みてみん)「いえ、この国では遠く離れたアンゼルード帝国の事は新聞にも載りませんし」

挿絵(By みてみん)「父や……屋敷の者達の処遇はどうなったでしょうね……」

挿絵(By みてみん)「私がアンゼルード帝国に行ってお調べしましょうか」

挿絵(By みてみん)「いいえ、そんな事はさせられません。この村には医師が必要でしょうし」

挿絵(By みてみん)「じゃあ俺が行ってやろうか」

挿絵(By みてみん)「シェルト? 面倒臭がりのあなたが、どうして……」

挿絵(By みてみん)「別に、先生の元ダンナを見てみたいとかじゃないからな。何か困ってるみたいだしさ」


 その弁明している姿を見て、サビーナは苦笑いした。これはとても分かりやすい。


挿絵(By みてみん)「シェルト……無償で何かをしようという気持ちを、持てるようになったのね……!」

挿絵(By みてみん)「先生、大袈裟だから」


 どうやらプリシラは、シェルトの気持ちにこれっぽっちも気付いていないようである。

 シェルトは普通なら往復何ヶ月か掛かる道程を、お金を駆使して一ヶ月半で帰ってくると言った。

 セヴェリは調べて欲しい人物の名前を書き出し、シェルトに渡している。しかし彼はそれを見た瞬間、ビリッと紙を破いた。


挿絵(By みてみん)「何してるの!」

挿絵(By みてみん)「覚えた」

挿絵(By みてみん)「……は?」

挿絵(By みてみん)「マウリッツ、デニス、リカルド、シェスカル、リックバルド、キアリカ、サイラス、レイスリーフェだろ? 余計な文書は持ち歩かない方が良い。どっから足が付くか分かんないからな」


 シェルトは早い方がいいだろうと、旅の準備をしに出て行った。


挿絵(By みてみん)「すみません、私も戻って旅の準備を手伝ってきます……」


 そう言って玄関に向かおうとするプリシラの手を、サビーナは掴む。


挿絵(By みてみん)「……サビーナさん?」

挿絵(By みてみん)「申し訳ないですが、彼が村を出て行くまであなたにはここでいてもらいます」

挿絵(By みてみん)「……え?」

挿絵(By みてみん)「セヴェリ様の居所を、シェスカル隊長に伝えるよう指示されては困りますから」

挿絵(By みてみん)「サビーナ」

挿絵(By みてみん)「申し訳ありません、セヴェリ様。セヴェリ様はプリシラ先生を信用してらっしゃるようですが、私には判断出来かねます。私にはセヴェリ様を守る……いえ、生かす義務があるんです。失礼を承知でこうしています」

挿絵(By みてみん)「ええ、当然ですね。シェルトもそれが分かっていたからこそ、すぐに旅の準備に戻ったんでしょう。あの子が村を出て行くまで、ここにいさせて下さいね」


 準備ができたシェルトを、プリシラに会わすことはせずにサビーナが見送った。

 馬は町ごとに買い替えて御者も雇い、昼夜問わず走り続けるつもりらしい。


挿絵(By みてみん)「シェルトが何の報酬もなくアンゼルードに調査に行ってくれるのって……プリシラ先生と関係ある?」

挿絵(By みてみん)「うるせーな。お前に関係ないだろ」

挿絵(By みてみん)「シェルトにはお金があるから買収される危険はないと思うけど、一応口止めにね」

挿絵(By みてみん)「……脅しかよ」

挿絵(By みてみん)「プリシラさんって鈍感ぽいもんね。苦労するよね」

挿絵(By みてみん)「言ったら殺すぞ」

挿絵(By みてみん)「言わないよ。シェルトがセヴェリ様を売らない限り、だけどね」

挿絵(By みてみん)「今日会ったばかりの人間を信用出来ねぇのは分かる。けど、心配し過ぎんな! あんたらのまともに食ってねぇ顔見てたら、どんな状況だかは察しが付くんだよ」


 同い年の男に睨まれるように言われて、サビーナは萎縮した。彼は助手とはいえ、医者の卵という存在である。


挿絵(By みてみん)「これ以上ストレス溜め込むな。倒れてからじゃ遅いんだからな。今はとにかく俺を信用しとけ。絶対悪いようにはしねぇから」


 シェルトはサビーナの頭を叩はたくようにペチと風を切った後、馬に飛び乗った。


挿絵(By みてみん)「シェルト、ありがとう……お願い」

挿絵(By みてみん)「……ふん」


 彼は照れからか、もうサビーナには目を向けないで馬を走らせた。



 ーーーーーーーーーーー


『隻腕騎士は長髪騎士に惚れられる』

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 サイラスの好きな人とは誰だったのか?

 知りたい方はどうぞ♡

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