表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/115

第31話 犬ですか、私はっ

挿絵(By みてみん)「バカッ!! サビーナ!!」


 馬鹿だ、と自分でも思った。

 目の前に黒い影が迫り、もう駄目だとギュッと目を瞑ったその時。


挿絵(By みてみん)「危ねえッ!!」


 サビーナの体はグンと歩道に引き戻された。


挿絵(By みてみん)「ひ、ひえぇええ……」

挿絵(By みてみん)「はぁ、ヤバかったな……」


 お礼を言おうと振り返ると、助けてくれたのはデニスだった。

 足が震えて立てないのを、支えてくれている。


挿絵(By みてみん)「おい、大丈夫だったか!?」


 シェスカルが向こう側から男の子を肩に乗せて走ってくる。


挿絵(By みてみん)「大丈夫、です……ギリギリ……」

挿絵(By みてみん)「はあ、血の気引いたぜ。お前に何かあったら、リックの奴に殺されかねねぇからな。まぁ、無事で良かった」


 シェスカルは、サビーナからデニスに視線を移す。


挿絵(By みてみん)「悪かったな、デニス。でもこっちもお前の弟を救ってやったんだから、おあいこだぜ?」

挿絵(By みてみん)「え? ラルフ、お前も道路に飛び出しちまったのか!?」


 デニスにポイッと放り投げられ、今度はシェスカルに支えてもらう。


挿絵(By みてみん)「ラルフ、勝手に外に出んなって何度も言ってんだろっ!?」

挿絵(By みてみん)「でも、たいちょが助けてくれたもん……」

挿絵(By みてみん)「今日はたまたまだ! いつでも隊長が助けてくれると思うなよ! あんたもだ、サビーナ! フラフラと道路に出て、いい年して何考えてんだっ!? あっ?!」

挿絵(By みてみん)「おいデニス。もうそのくらいにしといてやれ。ラルフもサビーナも反省してるよ。見りゃ分かんだろ?」

挿絵(By みてみん)「ああ?!」


 ヒートアップしすぎたデニスは、隊長であるシェスカルをも睨んでいる。


挿絵(By みてみん)「ちょっと頭を冷やせよ? 先に無事を喜んでやるのが家族ってもんだろうが。怖い目に遭った後にそんなに怒鳴られて、トラウマになったらどうすんだ」


 シェスカルはデニスに、サビーナを屋敷まで送ってやれと言って、自分はラルフのケアをしている。

 シェスカルがラルフを家まで送るつもりのようだ。


挿絵(By みてみん)「じゃ、サビーナを頼むぜ、デニス。ちゃんと屋敷まで送り届けろ。いいな」

挿絵(By みてみん)「サビーナは子供じゃねーんだし、一人で帰れんじゃないですか?」

挿絵(By みてみん)「お前、昨日もそんな感覚で一人で帰らせたのか? エスコートは最後までちゃんとしろ。その間に何かあったら、全部お前の責任になるんだぜ?」


 その言葉に納得したのか、デニスはサビーナを送ってくれるようだ。

 帰ろうとしたそのとき、デニスにガッチリと手を繋がれた。


挿絵(By みてみん)「何、してるんですか?」

挿絵(By みてみん)「フラフラと車道に出られたりしたら困るからな。首輪代わりだ」

挿絵(By みてみん)「首……犬ですか、私はっ」


 そう吠えると、デニスはいつものようにカカカと笑っていてホッとする。

 サビーナは少し嬉しくなって、デニスの手を握り返していた。

 ほんの少し、胸を高鳴らせて。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ