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大いなる目的

「それで? 何で俺を魔道から外したがるんだ?」

「その答えの前に君は聖魔杯というのは知っているかな?」

「学園都市対抗の試合だろ? 確か、優勝者には何でも好きな願いを叶えることが出来るんだっけか。聖杯から聖魔杯って名前になったってことぐらいは知ってる」

「その聖魔杯は2人1組で試合を行って勝ち進む大会となっていて私には勝つためのパートナーが必要なんだ」

「なるほど。だから、俺をパートナーとして迎えるために魔道を諦めさせたいってことか」

「そういうことだ。・・・なぜ勝ちたいのか聞かないのか?」

「聞いて欲しいなら聞くが特に聞きたいとも思わない。なぜなら、パートナーに俺はなる気はないからな。他を当たってくれ」

「・・・そうか。すまなかった。急に君を試すようなことをしてしまって。だが、これで君がこの学園で最強の剣士ということが確かめることが出来たよ。噂を知れて私も満足だ。失礼するよ」

 不知火はそう言うと後ろを振り返って立ち去ろうとする。俺は、去り際に見せた不知火の悲しい顔を見てなぜか放っておけなくなった。不知火が美人だからってわけじゃないからな! まぁ、ほとんどそれが理由なんだけど。

「あぁ、もう! 分かったよ。俺が不知火のパートナーになってやるよ」

「本当か!?」

 不知火は悲しい顔から一転してパァッと満面の笑みを浮かべる。うっ・・・滅茶苦茶可愛いじゃねぇか。

「本当だ。ただし! 一つだけ条件がある」

「ほぉ、条件か。いいだろう、それは何だ?」

「俺に魔法を教えることだ」

 こうして俺の魔法の家庭教師として学園都市最強の魔術師が就くことになった。よし、不知火に魔法を教えて貰えさえすれば次の試験こそはいけるはずだ!

 だが、この考えこそが甘いものだとすぐに知ることになるなんて俺は予想してすらいなかった。


「魔法とはイメージによる部分が大きい。何を詠唱したいのかどういった魔法を使いたいのか。火属性なのか水属性なのかはたまた全く新しい属性なのか。

 要するに直感こそが魔法には大事なのだ!」

「分からんわーーー!!」

 俺は条件通り魔法を教えてもらっていた。だが、不知火の教えるというのはあまりにも感覚的過ぎて俺は一切魔法について学べることが無かった。つまり、天才なんだよな。

「なぜ分からないんだ・・・」

「そんな私がダメなのかみたいな顔で俺を見ないでくれ。感覚で魔法を扱うってのはよく分かるよ。そもそもがファンタジーの世界にあった魔法がこうして現実で使えるって時点で頭で考えるんじゃなくて感覚で捉えなくちゃいけない部分がある。

 だけど、不知火の教えてくれる魔法ってのは感覚的過ぎるんだよ。天才・・・って言葉で片付けるのはどうかと思うがそれに近い。いや、実際そうなんだろう。

 数学で教えて欲しいって聞いたら答えまでの過程じゃなくて答えだけを言う感じだ」

「むむ~・・・難しいな。人に教えるということをしてこなかったからどうすればいいのか勝手が分からなくてな。申し訳ない」

「いや、謝らなくていい。俺が教えて欲しいって頼んだやつだからな。しかし、こうも魔法が使えないってなるといよいよ困ったなー」

「・・・君は魔法に大きな憧れを抱いている。それは、素晴らしいことだ。だが、魔法が持つ本質はそんな煌びやかなものではない。魔道は闇だ。そのことから知ることが重要かもしれないな」

 魔道は闇? そういえば、最初に会った時もそれらしいことを言ってたな。不知火は一体何を知ってるんだ?

「講師が行っている授業の10割は正直言って無駄だと言ってもいい。あれは、国の上層部が喜ぶための授業に過ぎないからな。だから、本質の部分を端折ってだらだらと覚えるだけの魔法を教えている。

 それでは真の魔道には気付かない。いや、気付かない方がいいからこその授業なのかもしれないな。闇に飲まれ、魅了された人間は二度と真っ当な人間としての生を歩むことは出来ないからな」

「一体どういうことなんだ?」

「そもそも魔法とは何だ? 魔力とは何だ?」

「魔法は俺たちが詠唱によって体内にある魔力と空気中のマナが結合することで発生する事象のことだろ。魔力は旧世代には無かった体内の器官から発せられる物で個体差があるだっけか」

「それが教本に書かれている魔力と魔法の表の事実だ。裏は大きく異なる」

 裏? さっきから回りくどく言ってるから要領を得ないな。一体、魔法と魔力は何なんだ。

「遠回しにし過ぎたな。結論から言うと魔法は兵器、魔力はそれを生み出す過程で出来た産物なんだ」

「兵器だって・・・?」

「そうだ。薄々は気付いていたはずだ。誰もがそれから目を背けているが絶対に思っているはずの事実。魔法はそれ単体で恐ろしい広範囲兵器なんだ」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。兵器ってのは何となく想像はしていた。魔法は便利だけど明らかに殺傷能力が高い物まであったからな。だが、生み出されたって言ってたな。つまり、魔法は人の手によって作られた物なのか?」

「そう・・・魔法は人の手によって作られた兵器。誰もがファンタジーの世界のように光に溢れた存在だと思うだろう。だが、実際は闇から生み出された存在なんだ」

「なるほどな。しかし、何で魔法なんて兵器を生み出そうとしたんだ? 旧世代でも科学兵器はあった訳だしこんなものは必要ないと思うけど」

「そんなものが必要になる状況があったのだよ。そして、それはもうすぐ訪れようとしている」

「何が・・・訪れるんだ?」

「魔道の原初にして太古から存在する神々が畏怖する存在。そう、悪魔だ。私が聖魔杯で優勝した暁には悪魔の存在を滅ぼしてもらう」

 不知火から紡がれる言葉に俺はただただ茫然とするしか無かった。魔法というファンタジーに触れていても悪魔が存在するなんて信じられるか? しかも、それを滅ぼすのが願いって・・・。

 俺は一体どうすればいいんだよ・・・。

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