表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
次原凛の華麗なる日常  作者: しののめ
5/5

薫さんと雅さん



「いや、俺のトラバサミはむしろ、潔が一線を越えない為のものなんだけどなぁ……」


ブツブツと呟きながら、愛娘の削り倒した石畳を石膏で埋めていく俺こと父親、次原薫。


「まぁ、いいんだけどさ。よくないけど。二人共、元気に育ってくれてるし」


朝の麗らかな陽気の中、愛娘たちを見送り、余計な作業をしつつ退屈そうに欠伸をする愛犬の姿を眺める。


……幸せってのは、こんなもんなんだろうな。


あいつも……きっとこんな日常を送りたかったし、そう願って……きっと草葉の陰で見守ってくれてるんだろうな。


ふとそんな事を思いつつ、腰を上げ……。


「さて、後は……2人が帰ってくる前に、家の中の掃除でも……」


「みやびちゃん、きたーく!」


ドガグシャアッ!!


「いてぇ!!」


突如、背後から繰り出されたフライングクロスチョップ!


「何するの!? 痛いよ! 雅さん!?」


「え? なんか今、みやびちゃんのめーふくをいのるようなこえがきこえたから」


「声に出してないよ! ってか重いし、痛いよ! 黄金丸を踏み台にしたでしょ!? 打点が高いから普通に強いし!」


「えー、みやびちゃんおもくないよー。かおるちゃん、よくしってるでしょ? うふふのふ」


「センシティブッ! 朝から何言ってるの!?」


……このアレな女性は、俺の妻にして二児の母、次原雅(32歳)……さんじゅうにさい、だ。


俺に罪はない。マジだぜ。I'm not guiltyだ。


「あれ? りんちゃんといさぎちゃんは? もうがっこー?」


罪人が宣う。


「そうだよ。もう8時過ぎてるし、雅さんが遅いんだよ」


「えー……おそいのは、かおるちゃんのほうなのにぃ……」


「やめてマジで。8時って言ったよね?」


ご近所の目が痛いんだって。


「まぁ、いいや。こがねまるー、おさんぽいこー」


ひょいっと凶獣の背中に乗り込む32歳子持ち。


「乗るんだ……いや、いいんだけどさ、雅さん小さいし。なんか凛が乗れなくなってきた事気にしてたの、微妙な気分になるなぁ」


「りんちゃんはせいちょうきだからねー。いさぎちゃんが、もんだりすったりちぎったりしてるからかなー?」


「止めてるよ! 寸前で! あと人間にちぎっていいパーツは無いからね!?」


止めないとしちゃいそうなのが怖いんだよ。


「うひひ〜。まあ、いいや。じゃあいってくるねー、こがねまる、ごー!!」


「ワンッ!」


尻尾をプロペラのように回しながら、勢いよく走り出す凶獣!


……ホントになんでだよ。


「……ふぅ、掃除するか……」


竹箒、バールのようなもの、石膏……無駄に増えた清掃道具を纏めて片付ける俺、次原薫。


……これが俺の平凡だ。


幸福で平穏、平均的中年男性の日常、次原薫の日常だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ