98年前!中の上!
その力と引き替えに失ったものもあるのです。あなた、要求注意ですよ!
爆音……轟音……飛び散る破片……辺り一面に広がる眩い光。
「おいガキ、お前には守るものなどないはずだろう。主の居場所を吐け。それともこの先でもずっと同じことを繰り返してほしいのか?」
少年がゆっくり周りに目を向けた。滅茶苦茶になってしまった自分の空間が未だ残る煙に包まれている。ルールをすべてぶち壊され秩序などどこかへ行ってしまったことを知った少年は受容量を越えたショックで言葉を失っていた。
「今の俺は最強だ。終わりのない世界の中でやっとこんな力を手に入れることができたんだからな。知ってるか? 俺のあとには血の雨しか降らないんだとよ! 笑えるじゃないか! ブラッディー・レインだぜ?」
背筋を凍らせる不気味な笑顔。
想定外の事態に直面した少年は、すいっと大男の足元に近寄ってその顔を見上げた。
「……それだけのことをしてきてもアレキサンダー・カールソンはとても綺麗な目をしているんだね。そのまま……この世のすべてを消すまで止めないつもりなのかい?」
男は首を動かしもせずに、ちっぽけで真っ白な少年を見下ろした。答えはなく無言のままだ。
「アレキサンダー・カールソンは、そんな目を持っているっていうのになんで……? 目的は何だ? そのきれいな体に、しみ込むまで血を浴び続けて世界中を恐怖のどん底に突き落とすことで一体何を得られるって言うんだ!」
またも返事はない。冷ややかに、ただ見下ろすばかりだ。
「そのうえ君は……ドアを見つけて道を作ってしまったせいで、アレキサンダー・カールソンではなくなってしまうじゃないか! 取り返しのつかないことをしてしまったんだぞ! アレキサンダー・カールソン!」
大男が銃を持ったままの両手をバッと広げた。
勢いでコートに吸われていた紅いしぶきが散る。
「おいおいおい、くそガキ……お前は一体何を言っているんだ? この世界は丸ごと生きているドールハウスじゃないか! お前だってただのゲームの駒のくせに。ほら! この世界のどこに取り返しのつかないことがあるって言うんだ? 言ってみろよ!」
へなへなと力なく少年がへたり込んだ。
「何で君がそんなことを知っているんだよ。だけどそこまでわかっているのなら理解できるはずだ。この世界でそれを否定したらすべては意味を成さなくなり君たち生物の存在意義が……」




