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第四話 おじいちゃん、困り果てる

私は、白馬に乗った瑞穂という若い女性の後ろを歩いていた。

隣にはシャドウという若い男がいた。

――何だろう。

私は友人の竹本さんに会いに行ったはずなのに、どうして、こんなことになったのか。



「あの、ちょっとよろしいですか?」

私はシャドウに声を掛けた。

「何で御座いましょう」

「私は、自分の家に帰りたいんだがね」

「それは、姫君にお尋ねください」

シャドウは即座に答えた。


私は顔を曇らせた。

「姫君というのは、あの女の子のことですか?」

「左様で御座います」

「……そうですか」



瑞穂の背中へ目を向けた。

銀色の鎧に濃紺の外套。

腰には剣を下げている。

仮装パーティにしては、よくできた衣裳だ。

感心する。

――しかし、あんな重そうなものを着て、一日中動き回るのは感心しない。


若いうちはよいが、年を取ってから腰を痛める。

そういうことを考えなければいかん。



しばらく歩くと、森が途切れた。

目の前には草原が広がり、遠くには山々が連なっていた。

その麓には小さな家々が見える。

石を積み上げたような建物もあった。

――日本にも、まだこんな所があるのか。


私は立ち止まり、周囲を見渡した。

道路も電柱も見当たらない。

自動車の姿もない。

私は少し不安になった。

……ここは、どこの県だろう。



そこへ、若い男が二人駆け寄ってきた。

二人は瑞穂の前で跪いた。

「遅いぞ、ギル、シンバ!」

「遅参いたしました。ご無礼のほど、ご容赦くださいませ!」

「領内の様子はどうじゃ!」

「はっ! 多くの負傷者が出ました! 田畑が焼かれ、民は飢え苦しみ、兵士たちは疲弊しております」

「分かった。戻ってから聞くことに致す」

「ははっ!」

二人の男は大きな声を上げた。



私は呆れた顔で瑞穂を見た。

「あのな、お嬢さん。君は楽しいかもしれん。だが、周りの人間まで君に合わせて芝居をしている。いや、友達なのは分かる。しかし、やりすぎではないかね」


私は腕を組んで考えた。

瑞穂という名前も、何だか姫君らしくない。

……そうだな、雪姫。

あの子には、そういう名前の方が似合う。

「ご老体」

瑞穂が口を開いた。

「もうすぐ、エルグラン城じゃ」

それだけ言って、瑞穂は前を向いた。



私はため息を漏らした。

また、これだ……。


この子たちのことはどうでもいい。

私は、家に戻りたい。

美代子が待っている。

まあ、薄情な息子は、家に寄り付かなくなったが……。


私は困り果てた。

「はあ……」

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