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憧れの先輩アイドルに、恋もステージも溺愛プロデュースされる件  作者: はなたろう


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♯1 憧れの背中を追いかけて

◆戸塚ツバサ 18歳


小柄ながら、幼い頃から磨いてきたダンスとアクロバットが武器。負けず嫌いで努力家。

高校の先輩であり、人気アイドル〈TOMARIGI〉の浅見蒼真に憧れ、同じ事務所に入る。アイドル候補生としてレッスンに励みながらも、進路に迷う高校3年生。

憧れから恋に変化する、自分の気持ちに気づく。



◆浅見蒼真 20歳

人気急上昇中のアイドルグループ〈TOMARIGI〉のメンバー。クールで落ち着いた佇まいながら、心の内には強い情熱を秘める。ダンス部の後輩だったツバサの才能と純粋さを忘れずにいる。



◆藤沢カイリ 18歳

ツバサと同じ年の候補生。友人でありライバルでもある。明るく負けん気が強く、ツバサを刺激する存在。共に成長していく仲間。



◆片倉 理久 22歳

〈TOMARIGI〉のメンバー。明るくムードメーカー的な存在。後輩やファンへの気配りも忘れず、ツバサたち候補生にとっては頼れる兄貴分。



◆伊勢優 23歳

〈TOMARIGI〉のメンバー。華やかなルックスと余裕ある態度で周囲を惹きつける。ときに挑発的な言葉で場をかき乱すが、その裏には先輩としての優しさも。



◆湊直矢 25歳


TOMARIGIのマネージャー。小柄でかわいらしい雰囲気の男性。

真面目で努力家だが不器用。


校門前には、葉桜に変わり始めた並木道が続いている。

風が吹くたび、わずかに残った薄ピンクの花びらがアスファルトに舞った。


蒼真先輩に出会って、2年が経った。


あの日からオレは、ずっとあの人を追いかけ続けている。

今やテレビの向こう側の遠い存在になってしまったけれど、胸の奥にある熱い憧れは色褪せない。


三島駅のホームへと滑り込んできた新幹線に乗り込む。


イヤホンで〈TOMARIGI(トマリギ)〉の新曲を聞きながら、参考書を広げた。

東京までの約50分、往復の車内が勉強時間だった。


3か月ほど前『次世代アイドル候補生募集』というWEB広告を見た。蒼真先輩の所属する芸能事務所MICOプロダクションだった。


オレは迷わず、履歴書とダンス動画を送った。


――会いたい。また同じステージに立ちたい。


合格を知らせるメールが届いたときは、本当にうれしかった。



『大学受験はどうするの?』



母親の心配は当然だった。

それに、週3回も通う東京までの乗車券は高額だ。


オレはどっちも最善を尽すと説得をし、1年間限定の『アイドル候補生』として事務所に入った。




◆◆◆




ジャージに着替えてそのレッスン場に入る。

フロアにダンスシューズが擦られる、キュッという音がこだまする。



「ツバサ。今日は早いな」



同じ年の友人でありライバルでもある、カイリに声をかけられた。



「今日は午前中で終わりで、牛丼食べてきたところ」


「はは、おれも同じだ」


「カイリ、この前の振り付けのおさらい、一緒にやろうぜ」



曲に合わせて、何度も同じダンスを踊り身体に叩き込む。


20人の若い男女たち候補生は、誰もがデビューを夢見て必死に食らいついている。

全員がライバルで、ちょっとでも気を抜けば取り残される。


高校のダンス部も厳しいけれど、やはりプロを目指すのとはレベルが違った。


オレは5歳からダンスを習っている。アクロバットも得意だった。

けど、それくらいは当然で珍しくもなかった。



練習中、突然ざわっと小さなざわめきが広がった。

視線が後方のドアに集中する。



「――浅見蒼真だ!」



誰かの小さな声に、空気が一気に色づく。


TOMARIGI(トマリギ)〉の浅見蒼真。


背の高いシルエット、まっすぐ伸びた姿勢。

普通に歩いているだけなのに、スポットライトを浴びているみたいに輝いて見える。



「うわ、ほんとにかっこいい……」


「やば、近い、死ぬ」



女子たちの小声が漏れる。中には、涙を見せている子もいた。

男子でさえ、あふれるオーラに息を呑んで見入っていた。



「注目!」



事務所のスタッフの声に、全員が姿勢を正した。



「夏に開催する〈TOMARIGI〉の野外ライブ、みんながバックダンサーとして参加することが決まりました!」



レッスン場に歓声があがる。

入所してまだ2か月。サプライズゲストとビッグニュースに、全員が驚いた。



「はじめまして、浅見蒼真です」



蒼真先輩の静かな声が響く。

吸い込まれるような瞳に、その場が静まり返った。



「大きなステージは緊張するかもしれないけど、自分たちのライブだという気持ちで踊ってください」



男性アイドルグループ〈TOMARIGI〉は、全国ツアーを終えたばかり。

休む間もなく、もう次のライブの準備に入っていることにも驚く。


せっかく同じ事務所に入っても、顔を合わせる機会なんてない、雲の上の人だった――。



「さぁ、レッスンを続けるぞ!」



振付師の掛け声に、「はい!」と全員の声が気持ちよく揃った。



オレは、蒼真先輩を見ることができなかった。


もう、忘れられているかもしれない。

そんな不安が、急に押し寄せてきたからだ。

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