表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/100

2、平和っていいな

「ほうほう……この子が、あの蛙像の中に封印されていた……改めて見ると結構な美少女だ」


「ふふ……これでも1万歳だ。敬意を払ってくれたまえよ」


「ははー。ありがたやありがたや……」


 アポカリプス学園、生徒会室。そこには4人の少女と1人の少年(男の娘)。そして、一柱の邪神がいた。


 スカイ・キャリアベースは、自身の陰から生える美少女てけてけ型邪神を崇めるセラフィーナ・ラグナロックを、少し困ったように見つめる。


「先輩。あんまりこいつを調子に乗らせない方が良いですよ。昨日一晩話して分かりましたが、こいつ、すぐ調子にのるたちなんで……」


 いつもの様に、この学園のOBにして、先代生徒会長、セラフィーナ・ラグラロックは大した用もないのに生徒会室に来た(手土産はビスケット)。そこで、昨日スカイにとりついた邪神、ネクロディアとの再邂逅を果たしていた。


 セラフィーナは、興味深そうにこの邪神を眺めている。


「ふふん……スカイくぅん、邪魔しないでおくれよ。せっかく信仰を集めている所なんだからさ」


 茶髪緑目の上半身だけの邪神、ネクロディアはどや顔をしつつ言う。何でこいつはこんな姿のくせに、こんなに偉そうなんだろう……と、思うスカイである。


「いやー……これはなかなか興味深い。研究論文にしたいくらいだねぇ。まだまだ、見るべきものは世の中には沢山あるんだねぇ……」


「おー、いいねぇ。どんどん論文にしてよ。失われた私の信仰について! もしかしたら、ワンチャン信者獲得! みたいなことも出来るかもしれない」


「そんな邪な思いで人に論文を書かせようとするなよ……」


 スカイのツッコミに呼応する様に、セラフィーナはネクロディアに近づくと、彼女の顎に手をかけて、まじまじと見つめる。


「……そうだねぇ。ちょっと解剖してみるところからしてみよっか」


「えっ」


「何で上半身だけで生きていけるのか……絶対医療の発展に役に立つと思うんだ……」


「ちょっ、ちょっとタイムタイム! 何?! 邪神を解剖するってどういう事なの!?」


「いやー。ネクロディア様。ここは一つ、人類の医学の発展のために協力してほしいねぇ」


「待って、この人想像以上にやばくない!?」


「君も邪神から医学の神にクラスチェンジ出来ると思うし、良いと思うんだけど……」


 ……流石は百戦錬磨の元生徒会長、セラフィーナ。邪神を手玉に取っている。スカイとしては、復活したテンションのまま昨晩中ずっと話し相手にされて疲れていたので、少しいい気味だった。


 生徒会の会議は先ほど終わった。別段、火急の要件も無いので、内容としては今後の予定の再確認と、今週の学園生活で起こった問題のまとめ。そしてその対策。こちらも大した事件は起こっていないのですぐに終わってしまった。


 現在は、一仕事後の雑談タイム。セラフィーナ先輩はネクロディアに絡み、アリスとレベッカは心なしか、いつも以上に僕を巡ってバチバチして、お互いの言動に棘がある……とはいえ、血で血を洗う修羅場というより、じゃれあいの、皮肉とウェットに富んだ会話の範疇に入る程度である。


「……平和だね」


「平和が一番ですよ。隊長。世の中では現在進行形で戦争やっている所だってあるんですから……」


 スカイとエリザベスは、給湯室で沸かしたお茶を飲みながら、セラフィーナの差し入れであるビスケットをかじりつつ、その平和ボケした光景を眺めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ