EXシナリオ P世界線×W世界線×H世界線 4、スカイだらけ
「ちなみに我はWのスカイ、お主からの派生ぞ」
堂々とした顔で、Hの世界のスカイが言った。
「……なんだと?」
Wのスカイの顔が引きつる。
「お主が手を出した八人に加え、我は王都陥落時までに我へのガチ恋勢と、クリスティーナ派も全て手を出してたからな」
「(絶句)」
無言で頭を抱えるWのスカイ。さっきまで『八股とか、引くわー』なんて言ってたPのスカイだが、今は言葉を失っていた。
「ち、ちなみに……な、何股?」
聞いたらダメだと分かっていた。でも、聞かずにはいられなかった。
「うむ! 王都陥落時点で30股だ!」
そう言ってHのスカイは指を折りながら数え始めた。
「レベッカ、アリス、マルタ、エレナ、フローラ、マリー、グレイシー、アレクサンドラに加え――」
「ま、待って! もうそのあたりは分かってるから!」
Wの世界のスカイも流石に困惑している。
「そこからオリヴィア、マーサ、ヘザー、シルヴィア、オクタヴィア、ファルナ、ユリシア、グウェンドリン、クリスティーナ、イザベル、ロレッタ、オードリー、イヴリン、ルーシー、ラトーヤ、ユナ、シンディ、セイディー、アレクシス、リネア、シャノン……ついでにエリザベスも抱いたからな!」
「ついでってなんだよ!? 俺の最後のストッパーである参謀だぞ!? 」
Wのスカイが悲鳴を上げ続ける。
「いや多い多い! 100人中30人って部隊の3分の1が物語開始時点で既に『お手付き』とかどういうことだよ!? 読者が1章EXのキャラ紹介に全力で飛んでるぞ!?」
「エリザベスが墜ちたあたりからストッパー消失してんだよ……絶対」
Pのスカイは震えながら呟いた。いや、これどこからツッコめばいいの……。
「そのまま部隊の生き残りの子に手を出し続け、100人全員俺の嫁。を目指したルートが我だ」
Hのスカイが誇らしげに胸を張る。
「そして我が嫁達と、いずれ生まれてくる子供達を養う為に、我は覇道を歩むことを決意したのだ!」
「…………え?」
「乱世ではおちおち子育ても出来ぬ故、な!」
「いや発想のジャンプ力!!」
「独立宣言、周辺集落の実効支配、挙兵――反政府軍も、クラリーチェ姉上達旧政府軍残党も打ち倒してやったわ!」
「そこ姉さんも倒してるのおかしいからね!? え、まさか……」
最悪の結末を想像し、Pのスカイは顔が引きつる。
「安心せい。クラリーチェ姉上も、ニーナ姉上も、ついでになんやかんやあって受肉したネクロディアも、我の股間にて陥落させたぞ! 今や3人とも可愛い我が妾たちだ!」
沈黙。
PのスカイとWのスカイが完全に沈黙した。
「近親相姦とか、さすがにアウトじゃないのか……というか、あのクソ邪神にまで手を出したって、お前……お前……」
Wのスカイが青ざめる。
「姉さんに欲情して妾にするなんて、僕には……無理……むりむりむりむり……」
Pのスカイは頭を抱えながら、アホ毛をプルプル震わせた。
「お主らはまだまだだのぅ。ちなみにこの世界線も、PやW同様、公式の正史の一つとして存在しておるぞ!」
笑いながら王冠を傾けるHのスカイ。
「嘘だろ……」
「嘘じゃなかったんだな、これが……作者がエロ描写書けないから書かないだけで、この世界線もW、P同様、正史の一つとして公式に存在しているぞ!」
「姉さん達と3Pして……ネクロディアともHして……学園の皆と100股……うーん」
あまりの情報量の暴力に、Pのスカイは思わず意識を失いそうになる。
「お、おい!しっかりせい!Pスカイ……! むぅ、チェリーボーイには少し刺激が強すぎたかのぅ……」
***
「うーん……100股……姉さん達と近親相姦3P……」
寝ぼけたまま、そんなとんでもない寝言をつぶやいたところで――
「……この子どんな夢見てるのよ……ほら、朝よ。起きなさい、スカイ」
凛とした声と共に、いつも通りの、ちょっと怖いけど優しい声。
「はっ……?! あ、あれ……?」
Pのスカイはガバッと飛び起きる。
見慣れた天井、見慣れた部屋、そしてドアの前には、長姉、クラリーチェ。
夢……だったんだ。あの地獄も、覇道も、変態皇帝も。
「クラリーチェ姉さん……!」
「なに? やけに真剣な顔して。朝から寝ぼけてるの?」
「いや、なんか……すごい夢を見てて……」
W世界線の自分と出会って、そしてH世界線の自分と出会って、混乱の極みのまま目が覚めた。
「早く準備して。朝食できてるわよ。遅刻するわよ」
「う、うん……」
そう言って彼女がドアを閉めようとした、その時だった。
――ジーッと、こちらを見る姉の目。
「…………」
その目に、なんとも言えない警戒と距離感が宿っていた。
「……な、なに? その目」
「……スカイ。私は、あなたのことは大好きよ」
「うん、僕も姉さんのことは大好きだよ?」
「でも、それはあくまで『家族として』よ。……あなたの気持ちには応えられないわ」
「待って!?!? 誤解!! それは完全なる誤解だよ!?!?」




