おまけ2 わがまま脳内邪神ネクロディア様
「いやー、スカイ君、モテるねぇ。罪な男だよほんと。ハーレム確定ルートじゃん?」
スカイの脳内に声が響く。彼女の名前はネクロディア。すべての元凶。スカイに融合された彼女は、彼の精神の一角に居候している。そして時折、頼んでもいないのに、彼の脳内に直接語り掛けてくる。メタネタ、パロディ大好きな変人ならぬ変神、である。
シリアスな雰囲気を「悪い意味で」簡単に壊すシナリオブレイカーである。
「……黙れクソ邪神。元をたどれば全部お前のせいだろうが」
「おやおや、ひどいなぁ。私はね、一度も「生贄を捧げろ!」なんて強要はしてないんだよ? ただ、力を貸すにはそれなりの対価がいるって話をしただけで」
「それを世間じゃ脅しって言うんだよ。あと、生贄食ってパワーアップとか、正気の沙汰じゃねえ。お前には人の心ってもんが無いのか?!」
「ほら、『チート主人公に都合よく力くれる神様』っているでしょ? ああいう奴、ほんっと大嫌いなんだよねぇ。ギブアンドテイクが美徳でしょ? 働いたら報酬。命賭けたら力。……私、そういう誠実な関係が好きなの」
「その誠実が、生きた人間の命前提なのが問題なんだろうが」
「いやいや、私は現代社会にも言いたい。『力(=業績)には報酬(=給料)を』ってね。昨今のサビ残ブラック企業に教えてやりたいよ。『死ぬまで働け』なんて、私でも言わないのにさぁ」
「お前が言うとブラック企業が可愛く見える不思議」
「光栄だなぁ。あとさ、私、次の生贄候補はあの赤毛の子がいいと思ってるんだけど。ほら、オードリーちゃん──」
「黙れ、封印するぞクソ邪神」
「きゃー、また封印!? ちょっと! 話せば分かるよスカイ君~!」
「お前と話すと寿命が縮む。ついでに胃も痛い。帰れ!」




