最後の花を飾る準備をしよう
体育祭も終わり、一波乱すんだかと
思いきややってきたのは馨の母親だった
初めて明かされる馨の過去。
そのことを知った紫乃は
母親に思いの丈をぶつける
2人の距離はさらに縮まり…?
秋。紅葉の葉が、地面に落ちていくこの季節。
だんだんと肌寒くなる教室で、スローモーション並みのスピードでことをこなしていく。
「みんなあ。私、試験合格通知きたぁ」
「マジ!? おっめでと~うちも頑張んないと!」
「じゃあさ、みんな受かったらカラオケいかない? パーッと!」
「さんせ~~い!!!!」
拝啓。お母さん、元気でやっていますか。
私は周囲がうざくてうざくて殺したいくらいになってきております……
こういうと殺すとか縁起でもない~とか、口が悪い~とか言われるんだろうけど、私には一切罪はない。
だって……だって……
「柴乃、ちょっと相談なんだけど……」
「どーーーーーせ私は合格通知も試験もまだですよおおおおおおおおだ!」
「うわっ、どうしたの柴乃」
「え? あ、むぎちゃん。ごめん、つい……」
隣で心配してくれる幼馴染のむぎちゃんに、苦笑い交じりに弁解する。
私渕脇柴乃は、また深くため息をつくばかりだった。
体育祭が終わったことで校内はどこか、文化祭のことでにぎわいを見せているこの頃。
ちょうど今の時期は、大学のAO入試や就職先の試験などが続々と始まりだす頃だ。
もちろん私のクラスでも、早い人は早くに決まりそのたびにみんなが祝福する。
私自身、その瞬間が大っ嫌いである。
夏休みに勉強してなかったツケが回ったのか、受けたい専門学校の判定はどれも悪いものばかり。
推薦にしたくても、私にはかわいすぎるということしかアピール要素がないらしく先生にも普通の試験を受けなさいと言われている。
だからこそ、このやったームードが気に入らないわけで……
「もう、いきなり叫ぶから驚いちゃった。自分だけ試験が遅いから、イライラしちゃってるの?」
「そ、そんなこと……ないとは言わないけど……」
「試験も大事だけど、今は目の前のことを頑張ろ? 今、大丈夫?」
「ああ、相談だったわね。別に私じゃなくてもいいのに」
「だって柴乃、昔からシンデレラ好きだったじゃない。柴乃に聞いた方が、より詳しく知れそうだなって」
冊子を私に見せつつ、遠慮がちに首をかしげて聞いてくる。
彼女が持っているのは、まぎれもなく今年の文化祭に関する者だった。
高校最後の文化祭。実行委員の安庭さんが提案したのは、現代版シンデレラの喜劇だった。
三年生は必ず劇をするようになっているとはいえ、何故シンデレラをチョイスしたのか……彼女が述べた理由は、美男美女コンテストトップ3がいるから、という何とも不純なものだった。
もちろん王子役と姫役には、私と馨君が推薦された。
中には反対する者もいたけど、私はそれでいいと思っていた。
なのに……
「俺、主役とかめんどいから隼人に投げるわ」
って言ったのよあいつは!! なんて薄情なのかしら!!
当然私も、馨君が王子じゃないなんてまっぴらごめんと思いあっさりと拒否。巻き込まれた隼人君とむぎちゃんが、主役になることが決まったのだ。
そんな馨君に、隼人君は終始ご機嫌斜めだったみたいだけど。
むぎちゃんは任された以上はちゃんとやってくれる真面目な子だから、こうなってしまった手前私が手伝ってあげている。
え? じゃあ私は何をしてるのかって?
それは……
「じゃあここを一番に伝えればいいんじゃないの? 目薬で涙に見せるとか」
「ああ、なるほど。さすが柴乃は目の付け所がすごいね。作業、進んでる?」
「進んでるも何も……私がしたいのはこういうことじゃないのよ!!」
何もかもが嫌になって、布を思いっきり机にたたきつける。
私が任されたものーそれは衣装係だった。
将来デザイナーになるためでもあるが、もともとシンデレラが好きだったっていうのもある。
デザインは確かにさせてくれたんだけど、なぜか今では作ることまでやれと言われた始末……
もう!! なんで私がこんなことしないといけないのよ!
私には無理だって、何度言わせれば気が済むわけ?!
クラスメイトもクラスメイトだわ! 苦手なのを押し付けるように私に任せて!!!
女の子だから出来るでしょ、ですって? 誰がそんなこと決めつけたのよ!
「まあそう怒らないで、柴乃。衣装係って言っても、柴乃一人じゃないんだから」
「そうだけどぉ。一緒にやるやつが気に入らないっていうか……」
「誰が気に入らないって?」
頭上から、聞き慣れた声がする。
恐る恐る顔を上げると、そこにはやはり馨君がいた。
脚本を丸めたもので頭をポンとたたきながら、はあっとため息をつく。
「しっかり働けよ、柴乃。お前が一番遅いって、クレーム来てるぞ」
「う、うるさいわね!! そもそも出来ない人に言わないでちょうだい!」
「出来ないならできないなりに努力しろよ。一緒にやってるやつの方がうまいのは、事実だろ?」
「うぐっ……」
「まあまあ馨、人にはそれぞれ得意と不得意があると思うし……」
そう言ってなだめてくれるのは、同じ衣装係でもある寺濱君だ。
彼の器用さは、普段お世話係をしてくれていたためとっくに知っている。
聞けば馨君や隼人君ですら出来るらしいから、うちのクラスの男子は女子力が高い人ばっかりだ。
だからこそ、私の肩身が狭いわけで……
「柴乃さんが良ければ、ですけど……放課後、一緒にやりませんか? 僕でよければ、お手伝いしますよ」
なんも悪意もなさそうな彼の笑顔が、私のいらだちを抑えるように襲い掛かってくる。
断るすべはない、とでも言われているかのように気が付いたら私は、彼の誘いにうんとうなずいていたのだった。
(つづく!!)
さあ! 文化祭編ですよ!
正直あせくさぁい体育祭よりも
文化祭の方が楽しい私なので
結構長いかもしれません
劇っていいですよね。
まあ、私自身は裏方に徹してるので
高みの見物ばかりしか
したことありませんけど…
次回は30日更新!
紫乃の戦いはまだまだつづく!




