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これで4本目か……。
4/??
爆発に巻き込まれて反射的に目を閉じ、次に目を開くとそこは程よく太陽の光がある森の中だった。
………なんか俺ってゲーム始まってからずっと森にいる気がするんだが。
気のせいかな、うん!
とりあえず、もう大会予選が始まってるだろうという前提で行動しようと思う。
とりあえず頭上にある結構太い枝に跳んで乗ろうか。
近くの木に向かって勢いよく走って跳び、三角跳びの要領で目的の枝を掴み、勢いをそのままにして大車輪のように回り枝に着地した。
【アクロバット】が仕事してる上に何回も森に来てるから慣れたもんだ、いやここの森は知らないけど。
とりあえず忍者みたいに枝の上を移動しよう。
そうすればこっちの方が少し有利なはず。
俺は『白竜刀』を腰に差し、『魔法のサンタ袋』を右肩に抱えて一応【隠行】を使って移動を開始した。
気配察知と目視による探索で敵を見つけようとする。
そのまま移動を続けていると、第一村人を発見した。
キョロキョロと周りを見ながら少しずつ移動している上に、質素な鎧を着ていて背中に大剣を担いでいるチョビヒゲが似合う風の男だ。
なんか見た目だけなら修羅場を潜り抜けてきたベテランの冒険者なんだが、行動がお粗末すぎる。
俺は後ろに音を立てずに降りると、『白竜刀』で首を一閃した。
「目以外も使わないと殺されるぞ?こんな風にな。」
HPがゼロになったからか、いつものように光の粒子となって散っていった。
だから聞こえてはないと思うが、一応言っておいた。
なんかカッコつけている感じになってしまったが、森でずっと過ごしていて森の恐ろしさを知っている俺からすれば子どもみたいなもんに見えるからか、こうやって注意をしてやらないといけない気がしたんだ。
うん、決してカッコつけたかったわけじゃない。
「って、俺は誰に言い訳してるんだろうな?」
そう言って俺は、次の獲物を探すために森の中へと入っていった。
そこにプレゼント箱を2つ残して……。
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「……行ったか?」
「ええ、どうやらそのようね。」
「こっちに気づいた様子はなかったな?」
「そんな素振りもなかったからね。」
それは一組の男女だった。
男は騎士然とした鎧を身に付けており、武器として大剣を背中に背負った姿は男が前衛職であることを暗に示している。
一方女の方はこれまた分かりやすい三角帽子とローブといった魔女然とした姿である。外見上では武器を持っていないが、恐らく後衛職なのだろう。
森が薄暗いためか、はたまた別の理由からか顔をよく確認することができない。
これはゲームのシステムによるものだ。
サンタは知らなかったがゲーム会社のホームページに、プレイヤーIDを入れることでイベントの時にフレンド以外からの視界に若干のモザイクが入るようになるというもので、有名プレイヤーでない限りこれは有効である。
なお、有名プレイヤーになってしまうとこれは無効となる。
理由については諸説あるらしいが、本当のところは分からない。
閑話休題。
それが働いている以上有名プレイヤーではないということだけ分かっていれば、それでいいだろう。
この二人は何をしていたのか?
それは………。




