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クリスマス企画中までに服が手に入るかどうか……。
元・折れたお鼻のトナカイな光の粒子は、またトナカイの形を作っていく。
それよりさっきから魔法を連続で使いすぎて、ＭＰが４割を切ったんだが？
あ、また目を強制的に閉ざす演出が……。
またか、またイベントなのか？
目を開くと、真っ赤なお鼻のトナカイがいた。
………あれ？こいつなんか透けてないか？
しかも浮いてる！？
真っ赤なお鼻のトナカイ（幽体離脱状態（仮））は、地面から１０センチくらい浮いており、向こうのタライみたいなものがうっすら見える程度には透けている。
他は何も真っ赤なお鼻のトナカイと変わらないな。
で？
あのタライはなんだろうか？
横にはサンタが着ていたであろう服一式。
タライの中身は、朱殷の色をした赤い染色剤らしき何か。
これで洗ってるのだとしたら、サンタの服のところどころにある白はどうやって生き残っているんだ！？
すごいどうでもいいけど気になる！
いや、別に知らなくても損はないけど！
そうやって弱いツッコミをしていると、イベントが進み始める。
〈ふんふんふーん♪〉
鼻歌交じりで、タライに向かい合う。
〈サンタの服を洗いましょ♪〉
鼻歌どころか歌い始めやがった。
しかも自由創作の歌かよ。
〈皆がくれた、赤いペンキで洗いましょ♪〉
あれ？皆がくれたの？
皆優しくなったか？
サンタの服を手に取るトナカイ。
某ネコ型ロボットのように手に吸盤でもあるのか、なぜか手に取る事ができている。
〈ペンキをくれたら動かない♪〉
〈皆はなぜか動かない♪〉
……それ死んでね？
ペンキっていうか、血じゃねそれ。
タライに入った血に服を浸し始めた。
そして名前はうろ覚えだが、一昔前の洗濯板（？）を使いながらゴシゴシ洗っている。
そこでイベントが終わったのか、また目を閉ざされる。
目を開くとそこには、また真っ赤なお鼻のトナカイがいた。
【識別】！
透けたお鼻のトナカイ Lv１０
モンスター アクティブ
だから名前がおかしいって。
いや、多分見た目的にゴースト化したんだろうけど。
透けたお鼻のトナカイは、真っ赤なお鼻のトナカイが透けて、浮いている状態になっただけで特に変わったところはない。
まあ立派な角は、そのままだとしても透けるから攻撃手段にならないと思うけどな！
ゴースト化したってことは、今までのゴーストと特性は変わらないはず。
不死者化した場合、その不死者毎に特性を受け継いでたしな。
ゴーストの特性は、物理が効かない代わりに魔法全般のダメージが大きくなることだ。
弱点ではない『ファイアボム』でも、一定のダメージがいくだろう。
また、接触によるＨＰ吸収でＭＰを回復して魔法を撃ってくる。
だから接触されないように、避けながら攻撃するしかない。
ゴーストの特性を確認している間に、透けたお鼻のトナカイが近づいてきた。
やはりゾンビやスケルトンになった時ほどではないにしろ、遅い。
後ろに下がることで距離をとりつつ、呪文を選択、詠唱して発動をする。
「『フィジカルアップ・ライト』！」
ＩＮＴを強化する。
魔法ダメージをできるだけ増やして、殺られる前に殺れの精神でいく。
更に呪文選択、詠唱。
透けたお鼻のトナカイが近づいてきたが、後ろは壁。
なので横にさっきまでより、少し小さく飛ぶ。
受け身を取って、すぐさま透けたお鼻のトナカイに向けて詠唱の終わった呪文を、発動。
「『ファイアボム』！」
呪文選択、詠唱。
更に横に飛ぶことで、闘技場の中央ら辺に立つ。
その時に一応、『初心者の短刀』の回収をする。
詠唱の終わった呪文を発動。
「『アクアスライス』！」
呪文選択、詠唱。
後ろに飛んで距離をとり、魔法発動。
更に呪文選択、詠唱して横に飛んで壁に背中をつけられないように、注意する。
受け身を取って、魔法発動。
もう一度呪文選択、詠唱。
そのまま中央に向けて横っ飛びすることで、元に戻る。
そして、魔法発動。
………また、ハメ技に入っている気がする。
ループしてるしな、これ。
でも死ぬわけにはいかないし、今回は許してほしい。
服がほしいんだよ、マジで。
この工程を続けながら数えていたが、１０回を越えた時点で数えることが億劫になった。
何度も続けて、そのまま何もなく透けたお鼻のトナカイは光の粒子となった。
ＭＰ残り、１割９分
