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最強(弱)無双の魔法使いは無敵少女と旅をする。  作者: たけまこと
木こり達のドーム
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丸太祭りで潰されました

 祭りの前日と当日は製材所は休みだ。

 

 ソースは早めに作って熟成させなくちゃいけないから少し前から仕事の後に仕込む。

 麺は前々日に作って当日の朝から切ればいい。

 なんせウチのメンバーは力仕事は得意だから。

 

 野菜と肉はラウさんに頼んで早めに注文しといた。

 祭りが近づくと値段が上がるし手に入りにくくなるそうだから。

 それまでに数回全員で麺打ちの練習をする。

 スープに入れて食べてみるとこれはこれでおいしいが屋台で売るのは難しいだろう。

 

 食器がね~っ、回収してたら回転が悪すぎる。

 ラウも、作り置きすると麺がスープをすってまずくなるから駄目だと言っていた。

 まあ手間のかかる麺打ちは食堂で出すのは少し難しいかもしれないらしい。

 

 ただソースはかなり好評だったので今度作って料理に使ってみると言っていた。

 祭りのひと月前からその準備は始まっていた、斜面の整備と落とす木材の運搬である。

 今はその斜面はあまり使われてはいない。奥の方から川を使って運んでくるのが一般的になっている。

 

 木材が運ばれてきて斜面の上に設置されると祭りも盛り上がり始める。

 街にも活気が出始め様々な飾りつけを始める様になってきた。

 エマも商店街の人たちと祭りの準備をしていくと結構盛り上がって来る。

 もっともその間にもゼンドレの道場の練習は続く。

 

 ラウはエマには集中的にタックルに対する防御法、反撃法を練習させる。

 エマがドワッフ族に寝かされたらまず勝ち目は無いと言っており、入り際の膝蹴りをいくつものパターンで練習させた。

 その時間を縫っての祭りの準備である。

 

 思えばこの時期と言うのはエマの中でも非常に楽しい時期だった。

 仕事に遊びに仲間とそれに道場での練習と、とにかく充実した時間を過ごせた。

 何しろドワッフ族の女はものすごい力が有るので彼女たちの打った麺は非常にコシの有るおいしい麺になった。

 練習でかなり麺が出来るのでついでにこれに会うスープも作ってみる。

 

 鶏ガラでスープを作ってみるととても良く会う。休みの日は食堂もないのでみんなでこれでお腹を満たしていた。

「なんかスープで食べる方がおいしくないか?」

「そーだね、まあ屋台では売れないから仕方ないけど家に戻ったら作ってみようかな?」

「あのソースと言うのもなかなか面白い調味料だね、結構売れるんじゃないのか?」

「スパイスの配合が難しいと思うなの。」

 などと3人の筋肉娘と女子とーくを楽しみながら休日を料理研究に当てていた。

 

 そうこうしているうちに祭りの前日になったエマは広場で屋台の用意をしていた。

 前夜祭で今夜から屋台を始めてもいいらしい。

 会社の食堂では三人が一生懸命麺を打っている。

 ソースは作った後ずっと寝かしてある。だいぶ余る筈だから食堂に残していく。

 広場には明かりの提灯がぶら下がっている。こういうものは商工会で用意してくれた。

 

 その日の夕刻から子供連れの人たちが集まって来る。

 広場の真ん中では大人も子供もドワッフ太鼓の音と共にダンスを踊っている。

 シドラも一緒にダンスを踊っていた。それが何故かとても様になっているから不思議だ。

 まああんなウィザーもいるのかな?などと思ってよく見たらあちこちでウィザーが踊っていた。

 そういえばこいつらも祭り好きだったな~と思い出す。

 

 まあステップや動きにはそれ程ルールは無いらしく皆楽しそうにしている。

 何でも元になっているのはドワッフ戦士の出陣式の踊りだとか?

 道理でやたら勇ましい太鼓の音楽だと思った。

 

 早速焼きそばを売り出して見たが結構好評で、周りの屋台を見てもみんなそれなりに売り上げを伸ばしているようだ。

 うん、これなら結構稼げるかもしれない。

 明日はスカウスさんとカノンちゃんが来るのだそうでラフレアは手伝えないと言っていた。

 本人は恐縮していたが祭りの日に家族と会えるんだものうんと楽しんで欲しい。

 昼頃抽選会が有るとか言ってベルラ姉妹は出て行った。なんの抽選会なんだろう。


 しばらくするとベルラが大喜びで戻って来た。

 何でも丸太に乗れる権利の抽選会だったそうでベルラは前から13番目に乗れるそうだ。

 全部で30人近くが丸太にまたがって斜面を滑り降りるらしく一番前は商工会が決めるらしいが、おおもめにもめるのが毎年の事らしい。

 丸太に乗れるのは若い人族の男かドワッフ族の男女だけで、実際は相当危険な物だと言っていた。

 つまりあたしゃ乗る権利が無いそうだ。良かった誘われなくて。

 人族も男は乗れるが丸太の所に上がって下を見ると大抵尻込みをするらしい。

 それでも毎年結構な人数が抽選会には出る様だ。


 結局前夜祭でも120食は売れたので大成功だ。明日は150食用意することにした。

 これで材料はソースを除いて全部使い切ることになる。


 次の日の昼頃スカウスさんがカノンちゃんを連れて遊びに来ていた。

 カノンちゃんと一緒にあの山道を歩いて着た様だ。ドワッフ族の幼女恐るべし。

 なんとスカウスさんは女性同伴で有った。


 ドワッフ族の御多分に漏れずがっちりした女性で無論メロンだ。

 スカウスさんの幼馴染で子供が出来たので戻って来たそうである。

 

 ちょっとまて!それってどこで子供作って来たんだ?

 

 それでもスカウスさんは全然気にするそぶりも無く生まれてくる子供の事をすごく楽しみにしている。

 ドワッフ族の男のメンタルは良く判らん。

 カノンちゃんを丸太の所に連れて行くというので私も一緒に行って見た。


 下から見るとそれ程でも無い斜面が上から見下ろすと完全な崖に見える。

 丸太には人間がまたがって掴むように輪になったロープが金物で打ち込んで有った。

 冗談じゃないこんな所を丸太と一緒に滑り下りるなんて自殺物だ。あたしゃご免なので早々に引き上げた。

 

 カノンちゃんは先頭に座らせてもらってキャッキャと嬉しそうだ。10年たったら乗りに来るのかな?

 まだロープでくくり付けられているが後ろにある太いロープを鉞の一撃で切ると滑り始まるそうだ。

 

 横に広がった何本ものロープを両側から引っ張って丸太が回らないようにすると言っていた。

 無論丸太が落ちるのに合わせて力を緩めるが大抵は丸太に負けて一緒に転がり落ちるらしい。

 滑りを良くするために事前に上にある川から水を斜面に流しておくからみんな泥だらけになる。

 結局全員で下まで丸太と一緒に転げ落ちるんだそうである。

 

 やがて祭りは最高潮を迎える。

 ベルラはそろいのドワッフ族の民族衣装を着て丸太の所に行った。

 やがて太鼓の音が変わり滑り落ちる時が近づいてきた。

 周り中の人たちが崖の上を見つめている。あたしも屋台の手を止めてじっと見入ってしまった。

 

 下から見るとベルラが真ん中付近で手を振っている。

 人族もいるが大半はドワッフ族だ。ピクシー族は危険なので乗れないらしい。

 こうして見るとドワッフ族は男と女ですごく大きさが違う。人の列がまるでデコボコである。

 それにしても人は良いが臆病なドワッフ族の男が思いのほか丸太に乗っている。

 元は木こりの女が自分達の度胸を示す為にやっていた余興を祭りにしたものらしいけど、男も結構頑張っているな。

 

 激しい太鼓のリズムの中、遂に丸太が滑り始める。

 滑り始めた丸太の後ろから近づく者がいた。

 そいつは動き始めた丸太の最後尾に飛び乗ると立ったまま丸太と一緒に滑り始めた。

「あれシドラじゃないか?」ベルトラが叫んだ。

 あのバカまたこんな所にしゃしゃり出て。

 

 丸太は回転することなく滑り始める。横縄を引っ張っている人たちも一緒に斜面を滑り始める。

 流石に先頭の人は前を見ているが後ろに座っている人たちは片手を上げて気勢を上げている。

 だんだんスピードが上がって来ると両側からロープを引っ張っていた人達が耐えきれずに転がり始める。

 シドラは意に介する風もなく立ったまま丸太と共に滑っている。

 そのうち丸太が回転し始めた。上に乗った人たちがばらばらと飛び降りる。


 しかしベルラの座っていた当たりの人達は少し反応が遅かった。

 飛び降りた上を丸太が転がって行った。

 3人程が丸太の下敷きになり待機していた消防団員が駆け付ける。

 

「ベルラ!!」

 ベルトラが悲鳴ともつかない叫び声を上げる。

 

 三人は潰れたカエルのように両手足を開いたままベシャッと地面にめり込んでいる。

 ベルトラが慌てて走って行った。

 丸太はそのまま下まで滑って行ったがシドラは変わることなく丸太の上に立っていた。

 その場で両手を振っていたら腹を立たみんながシドラに石をぶつけていたが知らん。それより3人はどうなった?

 

「げっ!」

 3人ともその場で起き上がって来た。よく見ると3人ともドワッフ族だ。

 

「ああ~っひどい目に会った。」

 そう言いながら泥まみれになったベルラが戻って来た。

 そういうレベルでは無いと思うがウィザーの診察を受けると「擦り傷が少しありますから血止めの薬草を張っておいてください。」との事であった。

 

 ドワッフ族の頑丈さ恐るべし。

 

「いかがでしたか?エマさん、ちゃんと最後まで乗っておりましたよ。」

 泥にまみれた石つぶてを全身に浴びて泥だらけになったシドラがやって来た。少しは空気読めよ。

 

 そんなこんなで祭りは終わった。幸い焼きそばは全部売り切ることが出来た。

 次の日スカウスさん達は山に帰って行った。

 アタシ達はもうけを3人で山分けにした。ラフレアちゃんは固辞したままだった。

 するとベルラ達は一人分を返すからウィザーの機動馬車で一緒に連れて帰って欲しいと言い出した。

 

 シドラに話すと戒律が~と言っていたが、エマの旅費が増えると説得したらエマの従属物と認識すると言って妥協した。

 この二人はアタシの眷属か?

 

 まあとにかく祭りも終わりアタシの旅立ちの時も近づいてきた。


アクセスいただいてありがとうございます。

ウィデルガ・ドームの話は今回で終わりです。

次回からはドワッフ族の故郷であるゲオラ・ドームの話に移ります。  

お次号からは隔日の更新となります。今後も宜しくお願いいたします。

ポチッとブクマも宜しくお願いします。

以下次号

 

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