新入りは恐れ知らずです
エマ達が昼食を取っていると若い3人組の男が食堂に入ってきた。
体の大きな人族であった。あまり見ない顔なのでおそらく新しい人たちなのだろう。
「ありゃ新人かな?」
「そうみたい、いま製材の方は人手が足りてるから木こりの方じゃないかな?」
食事を続けながら3人を見ていると食堂のおばちゃんを見つけるて声をかけている。
「おばちゃん今日から世話になるからよろしく。所長に聞いて来たんだがここは食い放題なんだって?」
グレアン・ラウは男達をチラッと見るが仕事の手を休めずに答える。
「ああ、大した物は無いけど、量だけはたっぷりあるからね。」
「ありがてえ、力仕事と聞いているからたっぷりと食えればいうことねえや。」
男たちは大柄と言っても実は食堂のおばさんのグレアン・ラウもドワッフ族なので男達より少し小さいくらいである。
「なんでも頼めば弁当も作ってくれるそうだね。」
「売店に行って弁当箱と包み布を買ってそれに名前を書いてこちらに渡しておくれ、他人の弁当を持っていくんじゃないよ。」
「おお、そりゃありがてえ。」
「おばちゃん夕食は酒を持ち込んでいいのかい?」
男の一人がくいっくいっと手首をひねる、好きなんだろう。
「構わないけど程ほどにな、騒ぐと追い出すよ。それから酒瓶を片づけないでおいたら弁当を抜くよ。」
「わ、わかった、わかった。静かに飲むよ。」
「しかしここの仕事場はずいぶん若い女の子が多いんだな。」
「しかも美人ぞろいだぜ。」
周りにはドワッフ族の女性が何人も食事をしていた。顔よりも胸を見ているのか視線が低い。
「あんた達はここは初めてかい?」
「ああ、今年が初めてだ。」
「結構いい金になると聞いて来たんだ。」
グレアン・ラウは腰に手を当てて男たちに向き直る
「どっからだい?」
「チェンジャリー・ドームからだよ。」
ふうっとラウはため息をついた。マイリージャ側の人間はいつもドワッフ族と問題を起こす。
「マイリージャ側だね、それならドワッフ族にはあまり会っていないようだね。」
「ああ、うちのドームはヒト族ばかりだ。たまにピクシー族がいるくらいだよ、あの娘たちはドワッフ族と言うのかい?」
「そうかい、それじゃ注意しておくがドワッフ族女の子達には手を出すんじゃないよ。」
「なんだよ、ここじゃそういう規則でもあるんかい?」
こいつらはドワッフ族の女の本質を知らないんだ、おめでたい奴め。グレアン・ラウはそう思いながら続けた。
「いや、あんた達の身の危険を心配しているのさ。」
「またまた~、ここはそんなに関係が乱れているのか?」
このアホが、と思いつつグレアン・ラウは続けた。
「そのうちわかるさ、とにかく命が惜しけりゃ女の子達には近づかないほうがいいだろうね。」
ドワッフ族のかわいい顔と大きな胸に魅せられた馬鹿が今までにもいっぱいいるんだろうな。
「あははは、そりゃきついな。」
笑いながら3人は食事をして帰って行った。
まあ、何事もない事を祈るよ。
数日してエマ達が夕食を食べに食堂に来ると先日の3人組が隅のテーブルで酒を飲んでいた。
仕事が早めに終わったらしく結構盛り上がっているのか3人の周りには大きな瓶が3本も置いてある。
「こないだの奴らだ。今日はやけに出来上がってるようだな。」
ベルラを先頭に食堂に入ると3人の一人が口笛を吹く。
「ベルラ、下品な奴らだアタシらを見て口笛を吹いてるよ。」
ま、ベルラのスタイルを見れば口笛を吹きたくなるのも無理はない。
もっとも遅れてくるラフレアを見たら腰を抜かすかもしれないわね。
「気にするな、しょせん人族の男だ。」
「ま、それもそうだね。」
なんか怖い事二人して言ってるような気がする。
まあ、それも分からなくもない、ベルラ、ベルトラ姉妹はこの村でも屈指のナイスバディで顔も綺麗だ。
何よりもその胸に大きなメロンが二つぶら下がっているのだから目立たないほうがおかしい。
二人はドワッフ族特有の造作にはっきりした顔をしており化粧をしなくとも目鼻立ちが際立っている。
まあ実は同じような女性はドワッフ族には珍しくないのだが若い二人は結構注目されているみたいだった。
え、私?私はここじゃ大きな前掛けかけてるから洗濯板みたいなものだし、誰もコナをかけて来ないのよね。
これでも故郷のドームでは巨乳で通っていたんだけどね。
あ……涙が…。
3人で山盛りの皿を持ってきてテーブルについて食事を始める、もうお腹がぺコペコである。
「ラフレアちゃん片づけをしたらすぐ来るって言ってたけど手伝わなくて良かったのかな?」
「なにすぐ来るさ、大した仕事じゃないしエマに取っては重い物でもラフレアには軽い物だからね。」
「うう~っ、それを言われるとすごく落ち込んじゃう。」
ラフレアの力は本当にすごい、しかもドワッフ族の習性なのか力を出すことに喜びを覚えている様にすら感じられる。
「エマは人族なんだからそれでいいんだよ。そんなこと言ったらピクシー族は何も出来なくなっちゃうじゃないか。」
「そうそう、彼らは経営や工夫で仕事をすればいいのよ、体を使うのだけが仕事じゃないんだし。」
「だいたいラフレアは規格外なんだからさ、あの子はドワッフの基準にはならないよ。」
先ほどから飲んでいた男達がこちらを指さして何か言っているようなのがエマに見えた。
「なんかあっちの男たちがこっちを見て話をしているわよ。」
「気が付いているよ。さっき口笛を吹いた男だろう。」
「ベルラ姉さんはどこに行っても結構もてるのよ。」
「やめなよベルトラこれでも子持ちなんだからさ。」
「え?ベルラさん結婚していたの?」
とても子持ちには見えない程ツヤツヤのパッツンパッツンである。
「ああ、女の子が一人故郷にいるよ。」
「それじゃ誰が育てているの?」
「もちろん亭主さ…ああ、そうかエマはヒト族だから違和感を感じるのは無理もないな。」
「ドワッフ族の結婚観はヒト族とは違ってかなり自由なんだ。そもそも結婚という概念すら無いと言ってもいいね。」
「ドワッフ族の女が子供を作る相手は生活力が有って子供を育ててくれる男を選ぶんだ。一方男は子供を産んでもらっうと喜んで子供を育てるんだ。」
本当に喜んでるのかな?ピクシー族の村ではドワッフ族の女から逃げ出して来たようなのが大勢いたけど。
「あまりそうは見られないけどドワッフ族の男たちは一般に情が深くてね、実は孤児が出てもほとんどの場合近所全体で子供の面倒を見るものなんだ。ラフレアの場合はもう十分に稼げる体が合ったからね。逆に稼げる子供を大事に面倒を見ることも無いんだ。」
どうもドワッフ族の村はニートにとっては暮らしにくい村らしい。
「それじゃ女たちは?子供の面倒を見ないの?」
「そんな事はないさ、ただ自由に生きるのが好きだからね。それでも子供のためには仕送りもするし国に帰れば子供と一緒に暮らすよ。「ただしそれが一人の男とは限らないだけだよ。」
ちょっと待て!職場職場に男有りってか?それ全部亭主に押し付けてるのか?
「ふ~んドワッフ族ってすごく女が強い社会なんだ。」
「うらやましいかい?」
ベルラがニヤリと笑って見せる。
いやいや、それって悪女の微笑みでしょう。
「いえ、あたしはやっぱり愛する人と一緒に暮らして子供を育てて行きたいと思うわ。」
「ヒト族は一般的にそう考えるらしいね。それならエマはそのように生きたらいいさ。」
「ドワッフ族にだってそう考える人間はいるし実際にピクシー族を嫁にもらった男はそう言った生活をしているわよ。」
はいっそういう人知ってます。
「ベルトラさんはどっちがいいの?」
「私はドワッフ族の生き方がいいな~。それ程の男がいればともかくね。」
「でもベルトラもそろそろ男を見つけなくちゃね。」
「そうなのよ~っ、でもここはろくな男がいないのよね~。」
まあここはガタイはいいがあまり頭の良さそうな男いないもんな~。
3人が談笑しながら食事を進めていると先ほど酒を飲んでいた男の一人が瓶を持ってこちらにやってくる。
「姉さん来たよ、馬鹿が。」
「そうみたいだね、自分の顔を鏡で見て来いってんだ。」
いやいや、顔の事言ったらドワッフ族の男に悪いぞ、何しろ顔中髭だらけで顔なんか見えないもん。
「やあお嬢さんたち、楽しそうにお食事をなさっていますね。」
目がすこしトロンとしてる、結構飲んでいるみたいだ。
「ああ、おかげさまでね。」
「俺たちは最近来たばかりなんだが皆さんとお近づきになりたくて挨拶に来たんですよ。」
「それはどうも。」
ベルラは冷ややかに答える、普通の男はこの辺で言葉に詰まるのだが、酔っぱらっているらしく全然感じてない。
「俺の名はカドビラ・グレン、ヒト族の男だ。良かったら一杯どうぞ。」
「あたしはベルラこっちはベルトラ、ドワッフ族だ。」
男はあたしのほうを見てもいない、やっぱり大きさのせいかな?
エマはちらりと下の方に視線を移す。いかんいかん、弱気は禁物だ。
男は二人の椀に酒を注ぐ。注ぐ時の男の頭の位置がベルラの胸の上、酒を注ぎながら視線が酒より下にある。
見え見え過ぎると思うよ。第一それ筋肉だかんね、あたしのは脂肪だぞ。
ぐっと一息で酒をあおるベルラ。
「ひょおお~っお見事、もう一杯どうぞ。」
男は酒を注ぎながら手が滑ったふりをしてベルラの胸に酒をこぼす。
おまえ見え見え過ぎるって言ってるだろう。
「こ、これは申し訳ないすぐ拭いて差し上げます。」
男は腰から手拭いを出すとあわててベルラの胸の酒を拭く。
「なんだオマエ。オマエの目的はそれか?」
ベルラはつまらんものでも見るように言った。
「え?い、いやそんな事は…ど、どうも申し訳ない。」
ベルラは立ち上がると男の前に仁王立ちになる。ベルラの身長は男より少し低い程度だ。
男も結構いい体をしていて太さの面ではベルラより太い。
「そんなにパフパフしたいんだったらさせてやるよ。」
ベルラは両手を開いて胸を突き出す。男の目の前に大きなメロンが二つ並べられる。
「い、いや…その。」
周りでは食事をしている男や女がにやにやしながら見ている。これから何が起きるのかを知っているのだ。
食堂のおばちゃんはフンという顔で無視を決め込んでいる。
ドアクセスいただいてありがとうございます。
ワッフ族のパフパフは天国から地獄への直行便。
それを上回る大災害にエマは立ち向かえるのか?
人知を超越したシドラの取った行動とは? 以下厄災の日の次号
感想やお便りをいただけると励みになります。




