ドワッフ族のパフパフ地獄
「ほうら遠慮するなよ、お前の酒がしみ込んだパフパフだぞ。」
ベルラは男の頭を引き寄せると胸の谷間に顔をうずめてパフパフする。
「ほうれパフパフパフ。」
「ふえええ~~~~~っ。」
男が変な声を上げる。スケベなんだろうなコイツ。
「どうだ満足したか?」
ベルラが顔を離すとだらしなく崩れた男の顔が胸から顔を上げる。
「うへへえええ~っ。」
あ~あ、こういう男は亭主にしたくないな~。
「そうか満足したか。それじゃあもう一度。」
ベルラはもう一度男の頭を掴んで顔をぐっと双丘にうずめる。
「むふふふふ~っ。」
奇妙な声を上げて男はガバッとベルラの腰に抱き着く。
「何やってんだ、このスケベ。」
ベルラが低い声で言う。
その途端に男はすぐに手を離し今度は腰を押し始める。
「うっぐぐぐっ。」
どうした息でも出来ないのか?
男は必死でベルラの体を引きはがそうともがく、しかしベルラは頭から手を離さない。
「むううううう~っ、あがああ~っ。」
怪鳥の様な声を上げると男の体がだらんと下がった。
「ふん!」
ベルラが汚い物でも見るような目つきで男を見る。
男の頭から手を離すと男は白目を向いて倒れた。
「お、おい大丈夫か?」
男の仲間がやってきて様子を見ると男はすぐに目を覚ました。
「な、なにが有ったんだ?」
ベルラは男が持ってきた酒瓶を胸の谷間に突っ込む。
「ふうう~ん。」
ベルラが気合を入れると上半身の筋肉が膨れ上がり胸の谷間に突っ込まれた酒瓶がばきっという音を立てて砕ける。
「ひいいいい~っ。」
それを見た男たちは真っ青になって後ずさった。
ボロボロと割れた酒瓶が下に落ちていく。
「ベルラ!割れた瓶の掃除はしておくんだよ!」
厨房の方から大きな声が聞こえた。
「ちえっ、わかったよおばちゃん、ちゃんとやるよ。」
ベルラはバンバンと言う音を立てて胸と胸をぶつけ合った。
谷間にあった瓶のかけらが全部下に落ちる。
「な、なんだよ~っここの女は?」
男は慌てて立ち上がろうとしたが、その目の前に壁があった。
壁には大きなスイカがぶら下がっている。
「だ、誰だこんなとこにスイカを持ってきた奴は。」
男はスイカを押し返して出て行こうとした。
その時食堂にパキーンという音がするような緊張感が走った。
ベルラ姉妹の顔がこわばり食堂のおばさんが目を向いた。
男が押したのはスイカではなく仕事を終えて食堂にやってきたラフレアの胸であった。
「………………。」
一瞬の静寂があたりを支配し、出口の近くにいた人間はそそくさと外に出て行く。
「うぎゃああああああああ~~~~~~っ。」
天地を揺るがす叫び声が食堂に響き渡った。
「男がさわった~~あああ~~っ。」
ラフレアは片手で男の首根っこをつかむとそのままテーブルにたたきつける。
「ぐあっ!」
男が潰れたような声を上げる。
食堂に居た者たちは出口に殺到する。出口から遠いものは壁際に避難した。
「ま、まてラフレア!」
ベルラが必死で叫んだ。
「男に胸をつかまれたああ~~~~っ。」
男を使ってテーブルを粉砕した後ベルラはその男を壁に向けて放り投げる。
壁際に避難していた人たちの上に男がたたきつけられた。
「うわわっ、」
「ひえええ~っ。」人々が逃げ惑う。
「な、なに?何が起きているの?」
エマは何が何だかわからずに凍り付いていた。
「うがあああ~~~~っ。」
血走った目をして更に男を追って行こうとするラフレアをベルラ姉妹が必死でおさえる。
「や、やめろラフレア!」
男を投げつけられた人達は恐怖に顔をゆがめている。
「ここはどこ?私はだれ?」
あまりのパニックに現実逃避に走るエマである。
「落ち着くんだラフレアお前はいい娘じゃないか。」
食堂のおばさんを始め数人のドワッフ族の女性が駆け寄ってラフレアにしがみつく。
「うおおおおお~~~~~~っ」
しかし、しがみ付いた女たちをラフレアは振り払い男に向かって行く。
「ひいいいいい~っ。」
ラフレアの鬼の様な形相に男の近くにいた者たちは悲鳴を上げる。
理性を無くしたラフレアの前に巻き添えは必須といった顔だ、どうやらこれは初めてではないようだ。
肝心の男は?そう思ってみると白目を向いてノビていた。
これからの運命も知らず幸せな奴。
「おやあ?ラフレアさんどうされました?」
いつの間にかシドラが現れラフレアの前に立っていた。
あのバカ空気も読まずに現れおって。
「ふがあああ~~~っ。」
ラフレアはシドラの頭をつかむとそのまま床にたたきつける。
どうやら完全に見境がなくなっている。
床板が割れてシドラの体が床にめり込む。
まあこの程度では瞬間的に復活する事は実証済みだが。
「ひえええええ~っ。」
もっとも周囲の人垣はそれを見て悲鳴を上げる。
シドラが心配なのではなくラフレアの変貌ぶりが恐ろしかったのだろう。
これが本当にあの優しいラフレアちゃんなのか?一体何が悪かったんだろう
「およよよっ?ラフレアさんは今晩は機嫌が悪いのでしょうか?」
そのままシドラをつかみあげると更に食堂の太い柱にたたきつける。
食堂の建物全体が揺れる程の威力である。
「ラフレアさんそんなに暴れたら食堂が壊れますよ。」
こう言い放ってシドラはするっとラフレアの腕から抜け出す。
するするっとシドラはラフレアの腕の上に乗っかるようにして右手の先をラフレアの額に当てる。
かなり大きなウィザーがラフレアの太い腕の上で片膝をついて乗っているというシュールな光景が一瞬にして現出する。
「ふげっ!」
変な声を上げてラフレアは後ろにひっくり返った。
スタッと床に音もなく着地するシドラ。
だから…両手を上げて着地のポーズを取るんじゃない。
「いたいなの~。」
ラフレアが額を押さえて体を起こす。
「だ、大丈夫?ラフレアちゃん。」
エマ達はラフレアの元駆け寄る。
「うっ……うっ……ううっ……。」
エマ達に囲まれたラフレアのその大きな瞳からは涙があふれて来る。」
「ふぎゃああああ~~~~~ん。」食堂中に響き渡る大きな声でラフレアは泣き始めた。
「男に胸を触られたああああ~っ。」
「そ、そうなの?」
エマはあっけに取られて言葉を継げなかった。
触ったといっても単に手が当たった位の状況で涙を流すほどでもないだろうに。
ドームでは結構悪ガキにスカートをめくられたものだった。
もっとも2、3回相手を半殺しにするとやらなくなったが、今度は度胸試しの相手にされてしまったという経緯も有った。
「もうお嫁に行けないよおおお~っ。」
「だ、大丈夫だからお嫁にはちゃんと行けるから。」
ベルラが必死にラフレアをなだめている。
どうやら男に免疫が少ないのだろうか?余程家でひどい目に会って来たらしい。
いやちょっと待て!考えてみればラフレアちゃんをいじめられる奴なんているのか?
「子供が出来ちゃうよ~~~っ。」
「へ?」
エマは素っ頓狂な声を上げた。あまりにシュールなことが続きすぎる。
一瞬ビビったエマは再び現実逃避を試みる。
「え、ええ~と、おしべとめしべが何だって~?」
エマはすでに完全にパニックって思考が付いて行かなかった。
「なななな、何を言っているのラフレアちゃん?」
「大丈夫だラフレアそんなに簡単に子供は出来ないから安心しろ。」
「本当?ベルラお姉さん。」
先ほどの鬼の形相から少女の顔に戻って涙ぐむラフレア。
「ふう、これで一段落ね。」
「な、何があったの?」
エマはそっとベルトラにささやきかける。
「この子は正真正銘のウブなのよ。」
「初心?そうなの~っ?」要するに子供だって事だ。
「ドワッフ族の子供は父親に育てられる子が多いでしょう。だから子供は木の股から生まれてくると今だに信じているんだから。」
「なにそれ、子供の性教育?」
「ドワッフ族では、男の子に胸を触られて結婚の神様にお願いすると森の中の二股に分かれた木の根元に子供を授かるって教えるのよ。」
それを12歳になっても信じてるんだ。
あ……目まいが。
食堂のおばさんが男の様子を見ている。
男が立ち上がったところを見ると大したことは無いみたいだ。
意外とあの男も頑丈に出来ているみたいだ。
「静まって良かったですね、さすがに山の男は丈夫なようで大したことはなさそうです。」
空気を読まない奴がやってきた。
「シドラ!あんたラフレアにどんな魔法をかけたのさ?」
「はい、デコピンをしただけですが?」
「デコピン?これ?」
エマはシドラの額にデコピンをした。カーンといい音がする。
なるほど中身は空っぽみたいだ。
「はい、袖越しですから大したことは無いと思いますよ。」
そうか、いつも手は袖の中だから何をやったのか見えなかったんだ。
そういわれてラフレアを見ると確かに額が赤くなっている。
「あなたウィザーでしょう。魔法使いとかがそんなに強くていいの?」
「はい私は力が強く頭も良いうえに魔法まで使えるウィザーですから。」
何なのそれは最強無双のチートかあんたは?
こんなのがそこら中に徘徊してるのかよ、私らの世界は。
「それならなんであんなに食堂が壊れる前にラフレアを止めなかったのよ。」
「私の体の事は心配してくれないのですか。」
あんたの頑丈さは立証済でしょうが。
「我々ウィザーは戒律でむやみに人に危害を加える事は出来無いのですよ。ですから私自身が危害を加えられる必要が有ったのです。」
「自分が攻撃されなければ反撃出来ないのね。」
「はい、それが専守防衛の戒律ですから。」
面倒くさいなー。
「それにしても先に死んだらどうするのよ。あれだけの攻撃を受けてあんた何ともないの?」
一応期待に応えて聞いてやる、どうせ答えは決まっているから。
「それはもう、最強無双のウィザーですから。」
いちいち胸を張らんでいい。
「あっちは脳震盪で後は打撲だけだ、大きなけがはしていないよ。」
食堂のおばさんが来て教えてくれた。
「そっちの方はどうだい?ウィザーに乱暴されなかったかい?」
「失礼な!ウィザーはいつも紳士的なのです。」
だから胸を張るなって。
「お、おばさんごめんなの、食堂を壊しちゃったの。」
「まあそっちの方は所長に言ってあいつらに請求しておくから、ただあんたももう少し余裕を持たなくちゃいけないよ。」
「す、すいません……なの。」
ラフレアは大きな体を二回り程小さくして言った。
「ラフレアちゃん食事の続きをしよう。お腹が減ったでしょう。」
「はい、エマお姉さん。」ラフレアはにっこりと笑う。
う~ん天使の様な笑顔だ。……スイカを見なけりゃ……。
食堂は周りにいた人たちですぐに片付けられ何事もなかったように夕食が再開した。
「いい事、めしべとおしべがね…………。」
エマは、その夜ラフレアにたっぷりと保険体育の授業を行ったのは言うまでもない。
ただこの人”アレ”の事を知らなかったんですよね。
アクセスいただいてありがとうございます。
子供の性教育は難しいのです、ましてや男親が娘の性教育は……。
それはともかくラフレアは村でいったいどんないじめを受けてきたのでしょうか?
次回エマは初めての給料をもらいます。
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