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第4章:最初の呼吸

THE ORIGINS OF VOID KING (ヴォイド・キングの起源)

第1巻:虚無のバグ (Volume 1: The Glitch in Nothingness)

第4章:最初の呼吸 (Chapter 4: The First Breath)

永遠とも思える暗黒の静寂の後――突如として、すべてが変わった。

時間も方向も存在しない、「絶対的虚無アブソリュート・ヴォイド」の息苦しいほどの静寂は消え去った。その代わりに、まったく新しい、奇妙な感覚が彼を包み込んだ。

ポツ……ポツ……ポツ……

どこか遠くで、暗い天井から落ちる水滴の反響音が響いていた。その音は、何世紀にもわたって封印されていた巨大な空間を切り裂いた。冷たく湿った風が、クオンの裸の体をかすめていく。その空気には、古代の土、古い山々、そして奇妙な苔の湿った匂いが混じっていた。

初めて……クオンは自分の存在の下に、何か「確かなもの(固体)」を感じた。

彼は巨大で黒く、ざらざらとした石の上に横たわっていた。まるでそこは、何千年もの間、地中深くに埋もれていた迷宮のような古代の洞窟のようだった。彼の体は裸だったが――それは、生まれたばかりの人間のようなひ弱な体ではなかった。完璧で傷一つない肌から、かすかな、神々しい黄金の光が放たれていた。

彼はまるで、溶けた黄金で鍛えられた古代の彫像のように見えた。その光の輝きは、巨大な洞窟の漆黒の闇を押し返し、岩肌に奇妙に踊る影を落としていた。その黄金のオーラは、周囲の空気を震わせるほど強烈な力を秘めていた。

【システムアラート:環境適応を開始】

【感覚器官:調整中... 25%... 60%...】

クオンの新たな意識に、突然の衝撃が走った。ゆっくりと、彼のまぶたが震える――それはまるで、何世紀もの眠りから覚め、軋みながら開く古代の重い鉄の扉のようだった。

シュゥゥゥッ!

光だ。洞窟の半ば崩れかけた天井の隙間から、外界からの鋭い太陽の光がまっすぐに差し込んでいた。その光線は、燃える針のように彼の生まれたばかりの目に突き刺さった。痛かった。しかし、その痛みは奇妙な陶酔感をもたらした。光の中を漂う小さな塵の粒子が、彼には完全にスローモーションで見えた。

「……うっ……眩し……すぎる……」

声が響いた。その音は洞窟の壁に反響し、戻ってきた。クオンは即座に硬直した。

この声は? 彼は自分の喉に奇妙な振動を感じた。これは、野犬に引き裂かれた、あの弱く、飢え、怯えていた少年の声ではなかった。この声はまったく違っていた――深く、重く、そして古びている。まるで、風に震える何世紀も前の神殿の石のように。それは「絶対的な権威」を帯びていた。普通の人間なら、聞いただけでその場にひざまずいてしまうような声だ。

クオンはゆっくりと再び目を開けた。今度は、彼の「神レベル(ゴッド・レベル)」の視覚が、目が眩むような光と洞窟の暗闇の両方に完璧に適応していた。彼は右手を顔の前に上げた。

彼は、その長く力強い指を見つめた。少し透き通った肌のすぐ下、血管の中を流れているのは赤い血ではなかった――輝くマグマのように脈打つ、溶けた「エーテル」だった。

「この爪は……」クオンは戸惑いながら尋ねた。「これは何だ?」

『それは「手」と呼ばれるものです』ノヴァの声が彼の脳裏に響いた。ノヴァの口調はもはや、あの冷たいAIのような無機質なものではなかった。代わりに、真の「パートナー」としての温かみを持っていた。『それを使って、この新しい世界を感じるのです。あなたのものを「奪う」ために。そして、あなたの前に立ちはだかる者を……永遠に「消し去る」ために』

「奪う……消し去る……」クオンはその言葉を繰り返し、舌の上で味わった。

彼は立ち上がろうとした。輝く両手を冷たく黒い石の上に置き、重い体を上へと押し上げた。しかし――虚無ヴォイドには重さがなかった。そこではすべてがゼロだった。この新しい物理的な世界の法則は異なっていた。彼が中腰になった、まさにその時――

ズーンッ!!

まるで重力が巨大な山のように空から降ってきて、彼の肩に直接のしかかったように感じた。彼の新しい体には、この圧力の概念がなかった。彼のバランスは一瞬で崩れ去った。

ドゴォォン!

彼は顔から地面に倒れ込んだ。重い衝撃音が洞窟内に響き渡る。しかし奇跡的なことに、彼の神レベルの体にはかすり傷一つついていなかった。代わりに、彼が激突した固い石のほうが……

バキィィッ!!

巨大な石は、彼の顔の衝撃で粉々に砕け散り、脆いガラスのように割れた。蜘蛛の巣のようなひび割れが地面に広がる。石の破片が宙に舞い、土煙を巻き上げた。

「……うまく動かない……」クオンの深い声には、子供のような失望が混じっていた。土煙の中から、彼は尋ねた。「ノヴァ……俺は『壊れて』いるのか?」

ノヴァの声から、かすかな微笑みが感じられた。『いいえ、私のパートナー。あなたは壊れていません。実のところ――あなたはこの全宇宙で最も「絶対的な存在」なのです。ただ、自分の無限の力をどう制御するかを、まだ学んでいないだけです。この世界の重力は異なります。ゆっくりと。一歩ずつ進んでください』

クオンが土埃を払い、姿勢を立て直そうとしたその時、突然、胸の奥で騒乱を感じた。物理的な衝撃。

ドクンッ。ドクンッ。

その音は非常に大きく、洞窟の壁に反響した。まるで彼の胸の奥深くで打ち鳴らされる、戦太鼓ウォードラムのように。心臓の鼓動に合わせて、彼の体中に走る黄金のラインが激しく輝き、そして薄れた。

「ノヴァ!!」クオンはパニックになり、胸に手を当てて叫んだ。「誰かが中から俺を叩いている! 俺は危険なのか!? 虚無が戻ってくるのか!?」

『それはあなたの「心臓ハート」です、クオン』ノヴァは誇らしげに言った。『危険ではありません。それは、あなたがもはや「無」の一部ではないという証明です。それが脈打つ限り――あなたは生きている。それが脈打つ限り――あなたは「虚無の君主ヴォイド・ソヴリン」なのです』

クオンの目は大きく見開かれた。心臓。生きている。その言葉がまだ頭の中で渦巻いていると、突然――彼の胃のど真ん中から、恐ろしい唸り声が噴出した。

グルルルルッ……!

これは普通の人間が感じる飢えではなかった。まるで彼の胃の中に小さなブラックホールが開き、周囲のあらゆるものを、世界全体を飲み込もうと必死に求めているかのように感じられた。あまりの強烈さに、クオンは頭が麻痺していくのを感じた。

「今度は何だ!?」クオンは両手で腹をきつく押さえた。

『これは「飢え」と呼ばれるものです、クオン』ノヴァは面白がっているような、それでいて極めて真剣な口調で言った。『その神レベルの体を動かすには、膨大なエネルギーが必要です。そしてそのために、私たちはあるものを必要としています……』

ノヴァの声はさらに重みを増した。――『立ちなさい、クオン。足に体重をかけて。この洞窟の闇から抜け出し、あなたの「獲物」を見つけるのです。なぜなら、この世界は……今やあなたの新しい狩りハンティング・グラウンドなのですから』

新たな現実へようこそ!虚無は背後に取り残され、クオンはこの物理世界で最初の呼吸をしました。重力の重圧と、あの獣のような飢え……本当の狩りハンティング・グラウンドは今開かれたばかりです。皆様はこの世界の重要な一部です。この危険な旅を、どうか存分にお楽しみください。

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