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22.唐突な電話


 ――放課後。


「居ねえじゃねえか!」


 ほとんど生徒が居なくなった時間帯を見計らい二人して三階校舎へ調査しにやって来たのだが、全ての教室を調べた結果特に異変は見つからなかった。


「やっぱりただの噂ってことか」


「何人も声を聞いたって言ってるんだぞ!?」


「どこまでそれがホントか分からないけどな」


「くそっ、俺の夢を弄びやがって!」


 歯をギリギリ鳴らすほど悔しがる義輝だが、ふと何かに思い至ったように顔を上げた。


「待て、二人だと会えない可能性は?」


「そんな条件付きってあるか?」


「いやいや分からねえぞ、もしかしたら恥ずかしがり屋なのかもしれん」


「泣いてるのに随分と余裕な女の子なんだな」


「何事も時と場合というものはある」


「それっぽく言ってんじゃねえよ」


「とにかく、次は一人ずつ調査してみよう」


「ならオレは下に降りてるから、調べ終わったら教えてくれ」


「ちっ、不安は残るが仕方ねえか。俺の身に何かあったらソッコー連絡するから、その時は頼む」


「分かった」


 いったい何を頼むつもりなのかよく分からないが、適当に相槌を打つと義輝を残して二階へ降りた。

 自分のクラスへ戻ると、さすがに誰も教室に残ってはおらず、ただ閑散と夕日に染まっているだけだった。


「やっぱり泣いてる女の子の霊なんて居ないんでしょうか?」


 真ん中一番後ろの自分の机に腰掛け、先程の調査結果についてそれとなく守護霊の方達に尋ねてみる。反応はない。


「皆さんは、何か悲しいこととかってありますか?」


 ふと女の子の霊が泣いているということを考えた時に、守護霊の方達にもそういう瞬間というか、感情を持ったりするのか疑問に思った。


「もしあるなら、ご迷惑じゃなければオレに教えてください。オレも皆さんに何か出来ることがあればしてあげたい……いや違うな」


 そこで自分の言葉が間違っていることに気づく。

 してあげたいなどと恩着せがましい想いではなく、自分が心からそうしたいと願っているのだ。


「オレも皆さんの力になりたいんです」


 その時、ポケットに入れていたスマホが震える。

 義輝に何かあったのかと思いスマホを取り出してみると、それは予想外の人物からの着信だった。


「えっ、ヒナタさん?」


 一瞬意味が分からず応答するかどうか逡巡する。

 先日会った神主兼霊媒師のヒナタさんが何故いきなり電話をしてきたのか皆目見当がつかないが、特に問題はないと判断し通話ボタンを押した。


「もしもし」


『やあ、ご無沙汰だね。今電話は大丈夫かい?』


「はい、先日はありがとうございました。それで、どうされたんですか?」


『ああ、例のヒメコと名乗る者について色々と調べてみたんだけど、なかなか足取りが掴めなくてね。キミが良ければでいいんだけど、都合の合う日にキミの家に伺いに行ってもいいだろうか? もしかしたら何か分かるかもしれないと思って』


「ウチに……ですか?」


『もちろん無理にとは言わないよ。キミがヒメコと名乗る者に興味があればの話しさ。それにキミに取り憑いている者達の様子も、一度確認しておきたいしね』


「それならオレも気にはなっているので問題はないですけど、ただウチに来ても何もないと思いますよ?」


『なければそれはそれで全然構わないさ。その時はすぐにお暇させていただくだけだよ』


「はあ、そういうことでしたら」


『すまないね。それで、日時のほうだけど……』


「オレは学校終わりならいつでも大丈夫ですよ」


『良かった、こちらとしても平日の方が都合が良いから助かるよ。なら明後日か、それ以降ならどうだろう?』


「それなら明後日で全然問題ないですよ」


 自分としては明日でも良かったが、突然の連絡でいきなり翌日にスケジュールを挟む事を遠慮したヒナタさんなりの配慮かもしれないので、素直にヒナタさんの提案を飲むことにした。


『そうか、なら少し遅くなるけど明後日の十七時頃に伺いに行ってもいいかな?』


「はい、分かりました」


『ありがとう。すまないね、いきなりで』


「いえいえ、全然大丈夫ですので」


『そうか、ふふっ。ではまた明後日に』


 電話越しに伝わる温かな笑みでそう言われ、ヒナタさんとの通話を終えた。


「ホントに急だったな、ヒナタさん」


 そのタイミングで教室の戸がしずしずと開けられた。


「義輝、どうだっ……いや、その顔で全部分かったわ」


 のそのそと教室に入ってきた義輝の顔は、とてもしょんぼりとしていた。


「何故だ……何故出てきてくれないんだ……」


「一応言っとくけどまだ実際に居ると決まった訳じゃないからな」


「キズナッ、俺じゃダメなのか!?」


「いや人の話しを聞けよ」


「くそっ、とりあえず今度はお前が一人で行ってみてくれ」


「それは構わないけど、オマエが調べて駄目だったんならオレが行っても変わらないと思うぞ?」


「行けば分かるさ!」







 しかし結果は同じだった――





絆の家族や家庭環境についてはヒナタの車の中で話しているので、絆が現在一人暮らしをしている事はヒナタも知っています。

でなければいきなり十七時に余所様の家にお邪魔するなんて非常識なことは、流石に言いません。


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