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負け?

「どうして顔に?」


姉のした行動が分からず私は問いかけた。


「もう顔なんて見たくもないわ。いつまでも辛気臭い感じになってしまうもの」

「……本気で言ってるの?」

「えぇ、もちろん」


姉の一言に私は芝居を打って出た。


「キャァァ!!?」


いきなりの私の叫び声。

急な叫び声に驚き、目を見開いて私をみてくる。

でも、私の本当の狙いは姉の嘘を暴く事だ。

ここが本当に防音であるかの…。


叫び終え、扉を見るが二人が慌てて入ってくる様子は全く無く、逆に私が目を見開いて固まってしまった。



「……ふふふっ。まさかそんな事するなんてね。あんた、私が嘘をついているとでも思ったんでしょう。馬鹿ね。ここは本当に防音よ。聞こえない、なにもね」

「……」

「どうしたの?怖気ついた?私の本性をアルバート様に見せたいんでしょ。いいわ、受けてあげる」


そう言うと姉は扉へと近づき開くと、そこには二人がいた。


「……もういいのか?」

「えぇ、レナがもうお父様とのお別れは済んだと」


嘘をつき、私の事を二人で見てくる。


(……いいわ。私だって!)


「ち、違います!私はまだ済んでない。それに……」


私は父の体から顔へと白い布を移動させたのは姉だと告げた。


「……えぇ、それは私ですわ。ちゃんと弔うには顔を覆ってあげないと、って思いまして」

「そうか」

「違います!?姉はもうお父様の顔を見たくないと言いました!?」

「なにを言ってるの、レナ。そんな事言ったらお父様に失礼よ。私達はお父様がいなかったらこの世にいないのよ。そんな事言うもんじゃない」

「嘘つき!?」


初めてアルバート様の前で言い合いをした。

私はこれを機に全てを知ってもらうつもりで真正面からぶつかっていった。

でも……。


「落ち着け、……亡くなったロイドの前で争うな。故人に悪いだろう。

すこし落ち着いてから埋葬をする。いいな?」


「えぇ」

「……そんな」


信じてくれると思ったのにアルバート様は私の言葉よりも姉の事を信じたようだ…。







ーーーーーーー






そして、数時間後…。


牧師が訪れ、父は屋敷から程近い場所に埋葬された。

その棺には屋敷で育てられた花がいくつも供えられ、使用人達がゆっくりとその棺に土を被せていく。


啜り泣く姉、そしてそれを静かに支えるアルバート様。


(なんで……姉なんかを……)


近くで埋められる父の事を見つつ、私の頭はそればかり考えていた。


側から見たら悲しむ姉に対し、気丈に振る舞う妹といった感じに見られていたに違いない。




父を弔い、屋敷に戻っていくが、その輪に私は少し入りたくなかった。


「レナさん……?」


リックさんが私に気付き、声をかけてくれた。


「どうして、信じてくれない……」


ボソリと呟き、手をギュッと握りしめる私はリックさんの言葉は耳へは届いていなかった。

俯き、軽く震える私をリックさんはそっと肩に手を乗せてくる。

その感触に私は…。



「触らないで!?」



私はつい大声をあげてしまった。

その相手が誰かなんて知らずに…。


「れ、レナ、さん?」


パッと離し、少し身を引きつつ言葉をかけてきた事でようやく私は近くにいるのがリックさんだと気付いた。


顔を見るがどうやら私の顔は険しい、いや、怒っているようで睨むような眼光だった。


「い、いきなりどうしましたか?……それに信じないとは??」


味方であろうリックさんを徐々に認識していくと、私はその体に飛び込んでいった。

そして、その胸の中で泣いていた。













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