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予想外

部屋に押し込まれた私は気が気じゃなく、ゆっくりと部屋の扉を開き、父が見張ってないかを確認した。


「ごめんなさい……」


誰もいない廊下に謝ると、音を立てないように気をつけ厨房へと向かった。





大広間から父とラルフさんの声がした。

どうやら姉の事で話をしているようだ。



「しかし、あんな物腰の良いお嬢さんとは」

「いや、そんな良いものじゃない。むしろ……」

「いやいや、容姿もなかなか、アルバート様が会いに来る理由もよく分かる」


大広間に接する壁に身を潜め、二人の会話を盗み聞きした。

その内容は街で聞いた噂話が本当であるかのように聞こえ……。


「近いうちに屋敷へとお招きしたいですな」

「えっ、いま、なんと?」

「屋敷へと招く、と言ったのだが……?何か不都合でも?」

「いや、それは、どういう……」

「決まっておるだろう、アルバート様のお父上に会わすのだ。

アルバート様も身を固め、早くお世継ぎを持ってもらわないと色々と困るのでな」

「よ、世継ぎ、というと」

「御子に決まっておるだろう。……なんだ、普通なら喜ぶべきものなんだが、違うのか?」




「うそ……」


つい口に出し、驚いてしまった。

姉の妄想が現実になる…。

しかも、子を持つだなんて。



「しかし、まだレオナは15。子を持つには早すぎるのでは?」

「何を言っておる、アルバート様は25。この国では20を過ぎたら一人くらい居るだろう。遅すぎるくらいだ。いつまでも一人でいられてはお父上も安心しないだろう?

なるべく早くお父上に会わしたい、どうだ?」

「あっ、いや、それは、本人に聞かなくては……」

「それなら、今頃話しているのではないか?少しキツめに言っておいたから、流石にアルバート様もお分かりになっているはず」


二人の会話は衝撃的だった。

私もだが、父も同じように衝撃を受けており、今二人で婚姻に向けての話し合いをしているのかもしれない……。

姉が言ってた通りの展開になっており、私は背をつけズルズルと床へと座り込み始めた。




ーーーーーー




ラルフさんはその後、姉の事をしきりに褒めつつ将来の話を繰り広げていた。

それを聞く父の声は力なく返事しているようで、弱々しかった。


しばらく私は座り放心状態のまま天井を見続け、姉のあの言葉を思い出した。



『私がアルバート様と結婚したらあんたなんかコキ使ってやるんだから!』



それがもうすぐ現実になるかもしれない。

現実になった時の姉の勝ち誇った顔が浮かんでくる。


(……)


それを思うと、自然と涙が両目からツーッと流れた。



「レナ!?」


どうやら私は壁に何度も頭をぶつけていたみたいでその音が大広間に聞こえ、不審に思った父とラルフさんが出てきた。


「ここで何を!部屋に居ろって言ったはずだろ?」

「……お父様」

「お前泣いてるのか?……それより、今の会話」

「…(っこく)」

「そうか……」


姉の言っていた事が本当になり得ると思った私達はお互いに目を伏した。

二人の様子を見ていたラルフさんは、やれやれといった顔を見せ、また大広間へと戻っていった。

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