25.打ち上げ
更新がとても遅くなってしまい、申し訳ありません。
先程、この学校で初めての試験が終わった。
内容は筆記テストに体力テストだった。と言っても種類は多いので、三日掛けて行われた。
いつものメンバーで集まりテスト勉強に励んだので、点数はそんなに悪く無いはずだ。それに、前世でも似たようなことは何度も経験していたのでそこまでの緊張も無かった。
しかし他の4人は違ったようだ。皆頭は良い部類なんだけど、とにかく雰囲気に疲れてしまっていた。
でもその点に関しては私も同じだ。普段から怖い教官たちがいつも以上のプレッシャーを掛けて見張っているのだ。精神的に参ってしまう。まぁ、それも試験のうちなのだからしょうがない。
「ということで! 今から打ち上げパーティをしよう!」
「「パーティ?? 」」
ヴァンとニコルが驚いている。
「ユーリ、そういうことは事前に言って貰わないと困るよ。今から仕立て屋を呼んだのでは間に合わない。それと会場はどこ? 一応両親の許可を得ないといけないかもしれない。それに、」
「あーごめんね、アル。そんな大層なものじゃなくて、テストお疲れ様会というか、お互いを労おうみたいな? 集まりをこの5人でしようかなって。」
「なるほど、それなら新しい服も両親の許可も必要ないね。それに楽しそうだ。」
「それじゃ、食堂に行こう。軽食とか紅茶とか昨日のうちに食堂の人に頼んだら快く用意してくれたんだ。」
食堂に行くと、端の席にさながらアフタヌーンティーの用意がされていた。
「ご用意、ありがとうございます。」
と食堂のおばちゃんに言うと、
「いいのよぉ。久々にお菓子焼けて楽しかったし、ユーリ君はハンサムさんだからね。いつでも言って頂戴! 」
どこかで聞いたことあるなぁ、と思いながら微笑み返した。
「.......紅茶で乾杯ってありかな? まぁいっか。それでは、これまでのテスト勉強と三日間のテストお疲れ様でした! かんぱーい! 」
「「「「かんぱーーい! 」」」」
しばらく歓談してると、話題は恋の話になった。
「いや、この学校で恋も何も無くない? 」
ほぼ男子のみの生徒とこわーい教官と優しいおばちゃんたちで構成されたこの学校で、恋バナですと??
「いや、学校外にはあるのかな? 」
「じゃ僕から聞いて欲しい.......」
え、自分から語るスタイル!? 意外だわ、アル!
「実は僕はずっと病弱でね。ずっと部屋の中で一人で過ごしていたんだ。で、12歳のときにようやく回復したんだ。それで親に無理矢理出席させられた夜会で出会った子に一目惚れしちゃったんだよ。」
「ほんとに一目惚れとかってあるんですねぇ。」
「まぁ、その経緯は僕と彼女だけの秘密だけどね。」
(....言わないのかよ。)
と、全員思った。はずだ。私だけじゃない。
「でも、僕の悲恋はここから。僕はすぐに彼女のご両親に婚約の話を持ちかけた。」
「え、これ悲恋の話なの? 」
まぁ、親に婚約の話を持ちかけること自体は貴族には珍しくない。夜会に出席とも言っていたし、アルは私と同じなんだろうと思う。誰も触れないのは優しいからね。
「そうなんだ! なんでも彼女は謎の病に掛かってしまったらしい。でも16歳には完治する見込みがあるから、それまでは一切公の場には出ない、婚約の話もその時まで保留にさせてほしいと。」
「それ、その子に避けられてないか? そんな病気聞いたことない。」
とはダグラス君。
「僕もそう思ったよ。フラれたんだって。でもあれから彼女は本当に公に姿を見せていないんだ。だから、少しは望みがあると僕は思っている。」
「そうか。アルはその不安を聞いて欲しかったんだな。....いくらでも聞くよ!」
確かにそれは不安になるよねぇ。謎の病とか怖い。でも、恋バナっていつの時代も楽しいなぁ。
「ちなみに髪と瞳の色だけなら、ユーリにそっくりだよ。でもそもそも性別が違う。」
「「「....ハハハハ。」」」
私、ヴァン、ダグの乾いた笑い声が響く。
「それと彼女は君ほどガサツじゃない。」
「おい、もう話聞いてやらないぞ。」
今度はアルの笑い声が響いた。
「いや、もしかしてそれってうちの.......。」
その一方でヴァンが何やらぼそぼそと喋っている。
「まさかね。でも、旦那様が考えてた言い訳と一緒だしやっぱり...」
「他のみんなは無いの?? さっきからぼそぼそ喋っているヴァンは??」
アルは容赦ないなぁ。ヴァンも過剰に驚き過ぎだよ。
「えっと、俺は恋とかはまだよく分かんないな。でも、一生を掛けて守りたい人ならいるんだ。その人の為に俺はここで学んでるんだ。」
思わず皆から拍手が挙がった。
「僕なんて親に言われて来たのに。ヴァンは格好良いな。僕も彼女を守れるように、これからは真面目に取り組もうかな。」
ヴァン、本当に格好良くなって。お姉さん嬉しい。そしてアル、貴方今まで手を抜いていたの?
「次は僕でもいいかな? 」
ニコル。実は話したかったのね。
「ぼ、僕は隣の家に住んでる幼なじみの女の子がいて。ずっと兄妹みたいに育ったんだ。ある時、その子が年上の男の子に虐められててさ。僕、頑張って庇ったんだけどボコボコにされちゃったんだ。見た目も中身も女の子みたいだな、なんてその子の前で馬鹿にまでされた。それが悔しくて、強くなりたくて親に頼み込んでこの学校に来たんだ。」
な、なんて良い話なのっ!
「あ、あれ? これ恋の話じゃないや、ごめんね。」
困ったように首を傾げるニコル。可愛いのだが、その奥にあった芯の強さを初めて知った。
「ちょっと! 負けてるぞ! Aクラス今のところCクラスに惨敗だよ! Cクラスの漢気半端ないぞ! 」
それから、恋の話はどこかにいってしまった。AクラスvsCクラスで優れているところを競い合って、打ち上げパーティは幕を閉じた。
ここまでお読み下さってありがとうございます。
また前のペースで更新出来るように頑張ります。




