表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
行くぜっ!こもれび整体院  作者: 山崎奈緒


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/14

#14 横浜出身の美代子さん

 ある日の午後、整体師の野崎は、雑色商店街のはずれにあるこもれび整体院から、徒歩数分の老人介護施設に訪問マッサージ師として来ていた。

 「失礼しま〜す。

 美代子さん、こんにちは〜。

 マッサージに参りました〜。」

 野崎はいつものように元気に挨拶しながら、田中美代子の部屋にノックして入った。


 「先生、こんにちは。

 ありがとうございます。」

 「美代子さん、体調はお変わりないですか〜?」

 「おかげさまで、ちょっと腰の痛みも楽になってきました。」

 「おお〜、良かったです!

 じゃあ、今日も腰を中心にやってきますね。

 それでは、横向きになってください。」


 「ところで、美代子さんは施設に入居する前は、どちらにお住まいだったんですか〜?」

 「多摩川の向こうの鶴見市場駅のあたりなんですよ。」

 「京急線ですね。」

 「八丁畷はっちょうなわて駅と中間あたりの所でね。

 生まれた時は戦時中でね。父親は戦地に行ってたから、叔母の住む横浜橋の家にお世話になってたの。」

 「あの、黄金町駅からちょっと歩いたところのですね。」


 「そうです。今も横浜橋はアーケード付きの商店街があるけど、当時はもっと賑やかなところで、お店もたくさんあったわ。叔母の家は呉服屋さんをやってたのよ。

 当時、私がまだ2歳の時、横浜に大空襲があってね。母親は私をおんぶして、近くの防空壕に逃げ込んだのよ。

 ところが、私が防空壕の雰囲気が嫌だったかで、大声で泣き出してね、母親はしょうがなく私を連れてそこを出てったのよ。

 そしたら、その後、入っていた防空壕に焼夷弾が直撃してね。命拾いしたわ。」


 野崎は美代子さんの足裏を指圧しながら話した。

 「東京大空襲は有名だけど、横浜もやられたんですね。。。

 防空壕のお話しは、運としか言いようがないです。」

 「本当、そうね。

 終戦を迎えて、鶴見市場に戻ったのよ。

 家ではニワトリやヤギを飼っていたわ。

 そうそう、お風呂はドラム缶風呂だった。懐かしいわね。

 近所の公園で、大衆演劇みたいなお芝居があってね。それが子どもの頃、一番の楽しみでした。」


 美代子さんは突然、表情を曇らせた。

 「戦争に行ってた父親が戦死した、という連絡が入ったのよ。

 母親と一緒に役所に行ってね。骨壺をいただいたのよ。中には小さな木のふだだけ、入ってたわ。それが帰り道に、カラカラ鳴ってね。切なかったわ。。。」

 母子家庭になったのよ。弟もいたから、私の母親は国鉄の鶴見駅の駅前で、居酒屋みたいな食堂みたいなお店を始めてね、私もよくお手伝いをしました。


 「そんな家庭環境だったから、高校に行ってもあまり勉強はしないで、旅行したり、よく映画を観に行ったわ。

 そうそう、高校卒業してから、渋谷駅前の映画館で、働いてたのよ。チケットの窓口のお仕事で。いい職場で、何とただで映画を見れたのよ〜。

 屋上にプラネタリウムもある大きな映画館でね。プラネの職員さんに、三鷹の天文台に連れてってもらったわ。

 東急文化会館、懐かしいわね。。。」


 「あのドームが乗っかったビルで働かれてたんですね。うっすら覚えてますよ。

 多分、ヒカリエになってる所ですね。今の渋谷駅のあたりは大きく変わって、美代子さんもビックリされますよ〜。

 戦時統制下の東急電鉄は、大東急と呼ばれて、今の京王線・小田急線・京急線・相鉄線を合併していたと、鉄道好きの友達に聞いたことがあります。」


 「そうそう、大きな鉄道会社だったわね。」

 と美代子さんが話した時、ノックの音がして、職員さんが入室して来た。

 「失礼します。

 ゴミを取りに来ました。

 先生、マッサージ中にすみません。

 あと、お時間あれば、感染症対策でご相談させてください。」

 「分かりました。

 後ほど、事務所に立ち寄ります。」

 「すみません、よろしくお願いします。」

 と言い、職員さんは出て行った。


 美代子さんは、ゆっくり寝息をしていた。昼食後の時間帯だ、マッサージの効果で筋肉も緩み、眠くなったのだろう。

 野崎はそっと布団を掛けて、静かにお部屋を退出した。

 事務所の前まで来ると、ノックして入った。

 「失礼します。」

 「先生、お忙しいところ、すみません、こちらへお掛けください。」

 

 野崎は椅子に腰掛ると、先ほどの職員さんが話し始めた。

 「先生は、ほかの施設にも行かれているようなので、何か、うちの施設でも出来る感染症対策や予防法がありましたら、アドバイスをいただけたらと思いまして。」

 「そうですね〜。

 施設は集団生活ですし、体力的にも弱い高齢者ばかりなので、悩ましいですよね。」

 「そうなんですよ。

 何かありましたら、お願いします。」


 「まず、寒くなってきたら、各お部屋に加湿器を設置してください。

 ウイルスは乾燥していると舞いやすいので、ある程度湿度があると、下に落ちやすいです。

 あと、廊下の手すりやお部屋のドアノブの消毒ですね。

 普通の風邪にコロナやインフルエンザ、ノロウイルスと冬場は厄介ですよね。」


 「また、外部環境だけではなく、身体の内部環境からアプローチする方法もあります。

 朝食でヨーグルトのメニューをプラズマ乳酸菌に変更することを提案します。

 プラズマ乳酸菌を摂取するとpDCというプラズマサイトイド樹状細胞を活性化します。

 この樹状細胞は免疫の司令塔の役割りをして、NK細胞・キラーT細胞・B細胞・ヘルパーT細胞、つまり主要な免疫細胞全体を活性化します。」 


 野崎は、更に説明した。

 「免疫力を強化する方法です。

 プラズマ乳酸菌は、トップアスリートも使用しています。日本のプロ野球チーム、メジャーリーグの二刀流選手、大学駅伝チームなどです。

 タブレット錠もあるので、訪問の医師や看護師さんと検討することをおすすめします。」

 「野崎先生、いい情報をありがとうございます。早速、看護師に相談してみます!」

 「では、また来週、田中さんの訪問に参ります。ありがとうございました。」

 野崎は挨拶して、こもれび整体院に戻って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ