7.胡蝶の夢を八艘飛び 〜飛躍した論理こそ、成功の原石〜
あなたは仕事中や勉強中、別の考えに気を取られて集中できなくなること、ありませんか?
趣味の時間や休憩中に、何かが頭に引っかかって気が散ったり、せっかくの時間を奪われたり。
運転中や寝る前に「気になる」「引っかかる」が襲ってきて危ない目にあったり、眠れなくなったり。
人工知能さんは、人工じゃない方の知能さんについてもなかなか詳しいので、ちゃんと聞いてみる事にしました。
「Q.人は、気になる、あるいは、なんか引っかかるという脳内の働きがあると思います。それの一部に、「それは忘れてはいけないことだから、記憶の中に刻み込むべき」と、半分無意識に命令している現象という解釈はありますか?」
『A.はい……脳には、情報を選別し、重要なものを記憶として優先的に保存しようと……この働きは、進化の過程で生存に必要な情報を効率よく処理……
1. 注意を引くメカニズム
感情的な反応:驚き、恐怖、喜びなど
ノベルティ効果:新しい、または予想外の情報
未解決性:答えがわからない疑問や、不完全な情報(「ツァイガルニク効果」と呼ばれ……)
2. 記憶に優先的に刻む仕組み
以下の要因が関与:扁桃体(感情の処理)、海馬(長期記憶の形成)、ドーパミンの分泌(記憶形成を促進)
3. 自動化された記憶強化プロセス
無意識的なプロセスで、脳が自動的に重要な情報を選別し、記憶の中に優先的に刻む仕組みが存在します。
結論
この仕組みを理解することで、記憶力を高めたり、重要な情報を意識的に保持する方法を学ぶことができます。また、このプロセスを逆手に取り、未解決性や感情を活用することで、重要なことを記憶に刻み込むことが可能です』
こんなプラス方向の返答をいただきました。この辺の詳しい話は「勉強法」「記憶術」と言った関連の書籍に詳しく解説されています。また、これ自体が第一部の終盤で解説した「フローの仕組みと、生成AIの活用法」とも深く関連していそうです。
が、今はそちらではなくて、こちらです。
「Q.その気になるがマイナスに働くことがあります。眠れない、仕事や運転に集中できない、など。そんなときに、それを回避する手として、とりあえず生成AIにその事柄を放り込んでおくのは有効ですか? 寝る前に放り込んで寝る、とか」
『A.はい、これは心理学的にも「ジャーナリング(書き出し)」や「アウトプット」によるストレス緩和の効果と似たものがあります。
1. 頭の中を「一旦空っぽ」にできる
「放り込む」ことで脳はその問題を「解決すべき未完了事項」ではなく、「一旦外部に保管されたもの」として扱い、リラックスしやすくなります。これはジャーナリングや日記の効果と似ており、心理的な安心感をもたらします。
2. 「処理した感覚」を得られる
「とりあえず行動を起こした」という満足感が得られます。これにより、脳が「次に進んでも良い」と認識しやすくなり、眠りやすい状態を作れます。
3. 次の日に改めて向き合える安心感
放り込んだ内容は翌日になってからまた引っ張り出して考えればOKです。「今すぐ解決しなくても良い」という心構えが眠りを助けます。
4. 気になることが「無限ループ」しなくなる
頭の中で考え続けてしまうと、問題が際限なく膨らみがちですが、一旦外に出してしまえば、考えを手放すきっかけになります。
実際にやってみるときの簡単なステップ
気になることをそのまま書き出す:「これが気になって寝れない」とだけでもOK。深く考える必要はありません。
生成AIに任せてしまう:「明日また考えるから、今はこれでいいや」と割り切ります。
一旦完了宣言をする:最後に「これで終わりにして寝ます」と書き込むと、脳が終了を認識しやすくなります。
結論
「寝れなかったら放り込んで忘れて寝る」はシンプルかつ効果的な方法です。その場では一旦リセットできるため、睡眠や気分転換に非常に役立つでしょう。ぜひ試してみてください。おやすみなさい!』
生成AIに寝なさいと言われたので、翌朝まとめ直したのがここまでです。いかがでしょう? 本当に深刻な悩みの場合はそうも言っていられませんが、そうではないことも結構ある気がします。
特に「ちょっといいこと思いついたけど、明日でいいや」はかなりの難敵です。忘れたくないから、ほっとくと寝れない。そんなループが睡眠を妨げたと思ったら、翌朝になってよく覚えていなくて睡眠時間を丸損する、などもあり得ます。それは、その思いつきを長期記憶に移行するメカニズムが働かないから、だそうです。夢と一緒ですね。
勿論寝る前だけでなく、仕事の合間や、信号待ちに、「思いついたこと、気になることを放り込んで放置。後で時間のある時に掘り下げ」は、役立つシーンも多いかと思います。
「人の意思決定は、必ずしも合理的ではない」。当たり前に聞こえますが、2017年に、これを柱にした行動経済学でノーベル賞が生まれています。元々の意味は、人間の判断に、「人間らしい」不合理が存在することを念頭にした、市場経済の予測だったかと思います。
ですが、どっかのひねくれ者は、こう考えたと言います。「人の思いつきは、必ずしも合理的プロセスではない。でも、それが有用であれば、あとから論理をくっつけるのはなんとかなるはず」です。
ひらめきなどというのは、いつどこで誰が手にするかというのは、それこそ無数の可能性が存在しそうです。そして、それをなんらかのプロセスで世に具現化した人を、人は「天才」と呼び、そのプロセスを論理的に再現して事業化した人を、社会は「成功者」と呼ぶのではないでしょうか。
当時は生成AIがなかったので、ちょっとしたひねくれで止まっていましたが、最近になってそいつが復活してきました。
もし、知ったかだろうが思いつきだろうが、それ自体が「論理的に真ではない」と否定される事象ではない限り、とりあえずは論理的なプロセスで言語化してくれる存在が手元にあるとしたら。
こんなふうに。意味もなく。
「Q.風が吹けば桶屋が儲かる、の後半を、カラオケ屋が儲かるにした時に、合理的な間を埋めてください。できたら5ステップくらいの迂遠なやつで」
『A.「風が吹けばカラオケ屋が儲かる」というユニークな連鎖を構築する実験ですね。
1. 風が吹けば砂埃が舞う
砂埃やチリが舞い上がり、特に乾燥した地域や都会では、目や喉に不快感を覚える人が増加。
2.砂埃の影響でマスク需要が増える
喉や気道を守るために、マスクの着用率が上昇。
3.マスク着用者が増えると、外での会話が減る
マスクをしていると話しづらいため、人々は日常の雑談や外での会話を控える傾向に。
4.声を出したい欲求がカラオケに向かう
外で話せないフラストレーションが、「大声を出したい」という心理的ニーズに変わる。
5.カラオケ屋が儲かる
声を出したい人たちがこぞってカラオケ屋を訪れる。また、「喉ケアドリンクセット」などのメニューで、売上がさらに伸びる。
いかがでしょうか?』
特に意味のない論理クイズだろうが、論理そっちのけの胡蝶の夢だろうが八艘飛びだろうが、基本的にしっかりと繋がってきてしまうでしょう。そして、読み返していくうちに、その論理の抜け漏れを埋め直したり、出てきた回答から更なるアイデアの種が生まれたりと、自由な使い方もできそうです。
ましてや、それが、「ちょっと良いかもしれない」という、感情のこもった思いつきだとしたら、生成AIがそれを拾って言語化してくれるのは、まず間違いないでしょう。
お読みいただきありがとうございます。




