忠告だったのかもしれない
巨大な魔石の結晶。
私の身長の数倍以上の長さのある魔力の結晶だ。
こんな大きな結晶を私は初めて見た。
しかも一つではなくその奥に幾つもの結晶が見て取れる。
もしかしたなら隠れてもっと大きな魔力の結晶があるかもしれない。
そう思うと、この場所がどれほどとんでもないのかが分かった。
どうしようと私が思っているとシルフが、
「これは凄いな……予想以上だ」
「そ、そうなんだ」
「ああ、普通はこんな巨大な物にはならないから。やっぱりリズの“祝福”の影響……」
「な、何が何でも私の“祝福”と結びつけなくていいじゃない」
「そうしたくなるくらい凄いからな。これ、どうしようか……」
「出来れば、シルフには黙っていて欲しいわ。これは魔力が強すぎて私の手に余るもの」
私はシルフにそうお願いする。
こういった大きな魔石は争いの種になる。
だから知ってしまった人間がどのような扱いを受けるか、予想思つく。
シルフが危険に巻き込まれるのは私は嫌だ。
「お願い、出来るかしら」
「リズのお願いなら俺は何でも聞くよ! 美人だし?」
「……凄く軽い感じに流されているのが、私はとても気になるのだけれど」
「大丈夫、こう見えても俺は口が堅いからね。聞かれても適当にはぐらかすさ」
「本当?」
「本当!」
そう言った話をして、これはどうなのだろうと思いつつも次に私はヘレンに、
「貴方も巻き込むことになってしまうけれど、いいかしら?」
「構いません。こう見えてもリズ様のご両親からの信頼は厚いと自負しています」
「ありがとう。貴方の事も全力で守るわ」
「いえ、リズ様が守られる側のはずです」
そうヘレンに呆れたように返されて私は、そう言われてみるとそのような気がしたが深く考えないようにした。
それから私達はボートで岸に戻り、早めにクロト達の家に戻り、明日、手紙を運んでもらいたいから早めに戻ると話す。
「何かあったのですか?」
「いえ、ちょっと気になることがありまして」
サナに聞かれるもそう返した。
そしていつものようにシルフに送ってもらって別荘に戻る。
それから手紙を書こうと思った私だがそこでヘレンが、
「リズ様、あまりあのシルフという男に心を許さないようにしてください」
「? シルフはいい人よ?」
「……お気を付けを」
ヘレンはそう言って、けれどそれ以上何も言わない。
何を気をつけろというのだろうか?
シルフはいい人だけれど……ヘレンは信頼できる私の侍従である。
問いただすべきだろうか?
「でもそれならばヘレンは、理由も全て私に話すはず。それを言わないのはヘレンもまだ確信が持てないのかしら?」
世間一般として、他人をそこまで信用するなという忠告だったのかもしれない。
あまり深く考えすぎても、ヘレンは困ってしまうだろう。
だからこの話はここで考えるのを止めて、
「明日はどうしようかしら。送ったお菓子、喜んでもらえたかしら」
手紙と一緒に実家に送ったお菓子はどうだろうと私は思って、楽しみな気持ちになり、明日は何を作ろうかと考え始めたのだった。
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