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スローライフ悪役令嬢は、王子の溺愛に気付かない。  作者: ラズベリーパイ@天安門事件


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“良い事”があるかもしれない

 扉を叩く音がして、誰かとサナが聞く。と、


「村長のカルです。今朝、市場にて食材を購入したと聞き様子を見に来ました」

「あ、丁度良かったですね。リズがサクランボのタルトを作ったので、もっていこうかといった話をしていました」


 そう話してから村長のカルを招き入れて、タルトとお茶を出す。

 そちらの作業はヘレンにお任せした。

 私は現在クッキーを作っている最中だったから。


 サクランボのタルトの方は生菓子で傷みやすく、もしも遠方に送ろうとするなら凍らせる魔法を使うなどの方法が必要だろう。

 けれどこのクッキーといった焼き菓子であれば、常温で生菓子よりも保存性は良い。

 瓶づめして乾燥材を入れればもう少し日持ちがする。


 後はこちらも凍らせてしまうか。


「氷関係の魔法はつかえるけれど、長距離の移動には必要な物があるかも」


 魔力の結晶である魔石と、それをじわじわ発動させる装置のような物。

 ケーキ単体を凍らせる程度なので、それほど難しい魔法の道具ではない……はず。

 それを使えばこの村の新鮮な果実を凍らせて、シャーベットにも出来るかなと私は気づく。


 色々なものが作れて嬉しいと思いながらクッキーをオーブンに入れて焼き上げる。

 そこそこ量もあるので、食べるだけでもなく持ち帰りの分もあるかもだが、薬草ハーブは残っているので帰ってからもう一度作って送ってもいい。

 その方が量も沢山作れて良いかもしれない。


 このクッキーも都市で作るより美味しくなっているだろうか?


「それなら両親に手紙と一緒に送ってみよう。都市がどうなっているのかも少し気になるし」


 そして、もしも祝福があるのなら、このちょっとした焼き菓子を送れば“良い事”があるかもしれない。

 と私が思っているとそこでそれまで静かだった村長のカルが、


「ぜひこの村の食材でケーキを作ってください。その分の費用や……本日の試作品の分の費用も含めてこちらで出します」


 そう言ったのだった。

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