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スローライフ悪役令嬢は、王子の溺愛に気付かない。  作者: ラズベリーパイ@天安門事件


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食べさせてくれるなら

 やはり口に出して感想を言ってもらえた方が嬉しい。

 欲張りだとは思うけれど、“言葉”で話して貰えるのはとても幸せな気持ちになる。

 そう思っているとシルフが私に、


「リズも早く食べなよ。とても美味しいよ。それとも俺が食べさせてあげようか?」

「……普通それは逆なような気がするけれど」

「え? リズが俺に食べさせてくれるなら嬉しいな」


 シルフが期待するようなまなざしで私を見ている。

 これはどうするべきなのだろう?

 でも前に、シルフに一回食べさせてもらったので、私もした方がいいのだろうか? と考えた私は自分のケーキを一口サイズにフォークで切り分けて、


「シルフ、あーん」

「え?」

「前に一回食べさせてくれたでしょう?」

「……うん、ソウダネ」


 微妙な言い回しをしたシルフが口を開ける。

 そこに一口入れて、もぐもぐもぐ、と咀嚼して。


「……リズに食べさせてもらった方が美味しい気がする」

「それは……あ、こっちの方がカスタードクリームが少し多い気がするわ。そのせいかしら」

「うん、そうかもしれない。というわけでもう一口」

「はい」


 というわけでシルフに食べさせていた私だがそこで、ヘレンに肩を叩かれた。


「お友達とはいえ、年頃の女性が、異性の方にそうるのはあまりよろしくないのでは、と」

「あ、え、えっと、そうね。うん、私も食べるわね、自分で」


 何だか意識をしてしまって、慌ててタルトを口に含む。

 噛みしめるとジワリと果汁が溢れた。

 口いっぱいに、クリームのうまみと果実の香りが広がる。


「美味しい……」


 自分で作ったものというひいき目に見ても、このタルトは私が今まで食べた中で、1、2を争う味だったのだった。


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