何かをやらかしている頃
それ以降話は変わったのだけれど、それでも私の中では色々と思う所がある。
沢山の伝説級の加護。
それの効果が全くないとは思えない。
けれど私は生まれた時からあの公爵家で育っている。
だからそれらが私にとって“当たり前”だった。
ただ、その時ずっと加護があったのなら、今はどうなっているのだろう?
私は私の加護があった時しか知らない。
ふとよぎった不安が私の中でくすぶる。
それは私の両親たちの心配だ。
あの都市で私が気になっているのはもう、家族くらいしかいない。
あの婚約破棄の件で、ほぼすべての貴族が私を嘲笑する敵に回った。
あの愚鈍な王太子と寝取り女のコミヤは、未練どころか恨みすらある程度だ。
今頃あの、頭の足りない寝取り女が何かをやらかしている頃だとは思う。
でもそれは私のせいではない。
以前本を読んでいた時、東の方の伝承のような話で“ザシキワラシ”という妖精? のようなものがいるらしいと見たことがある。
その“ザシキワラシ”が家にいるうちは、家が栄えるけれど、いなくなると滅びるという。
ただ単に、問題などを正確に把握して対処できる人間がいなくなったか、駄目な方に対処しているだけだろうと私は思っていたが……。
加護。
そんなものが私に沢山あるなんて思いもしなかった。
けれどそれは、サナのような能力者でなければ分からない強力な物。
「気づいていたとは考えにくいかな」
「なにが?」
いつの間にか口に出した言葉にシルフが答える。
だから思っていたことを伝えるとシルフは少し黙って、
「でも自分の子供に何かあるのは気づいていたかもしれないよ?」
「そうかな……そのうち聞いてみる」
私はそうシルフに答え、さらにいくつか野菜などを購入し、クロト達の家で試作品のケーキの一つを作ってみることにしたのだった。
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