どうして隠すの?
ここの果実は美味しい。
果実はケーキとの相性は抜群である。
他にはチョコレートやココアの類ともとてもよく合う。
「ここは果物も野菜も美味しいのに、どうして加工しようと思わないのかしら。やっぱり美味しいからそのまま食べよう、になってしまうのかな?」
不思議に思っているとそこで、近くのお店で農家の人が立ち話をしているのが聞こえた。
「いや~、昨日くらいから、野菜がやけにいつも美味しくなった気がするね」
「そっちもかい? いや、うちの果物もやけに甘みと香りが良くなってね~」
といった話をしていた。
一緒に居た全員の視線が私に集中した。
私は慌てて、
「え、えっと、私が来たのは昨日で、そんなすぐに……」
「伝説級の祝福だからな。“満ちる加護”というものもあったし。確か新鮮なものほどおいしくなる加護といったものじゃなかったかな」
シルフが小声で私に教えてくれる。
私はそんな無茶なと思う。
だって今まで、
「そんな加護の気配は、全然なかったわ」
「都市に住んでいたからじゃないのか? 新鮮と言っても運ぶのに時間もかかるし、もしくは、リズのそういった加護が抑えられていたとか」
「抑えられていた?」
「うん、都市にはよくないものが入り込んだり発動しないように、所々でそう言ったものが張られている場合が多いから、それが影響したのかもしれない。思い当らないかな? 特に公爵令嬢の住む家は、そういった魔法が使われていてもおかしくないんじゃないかな? あとは……リズの両親が知っていて隠したか」
「……どうして隠すの?」
「リズが悪い人間に目をつけられないようにかな。さて、でも美味しものが食べられるのは事実みたいだから、もう少し散策してみよう」
そう言って、シルフは話を止めたのだった。
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