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すべての密室はツンデレに通ず  作者: 佐倉美羽
一限目 眠る密室

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2/10

第二話 心を閉ざした容疑者たち

 ■見張りの兵士

「ええ、昨晩23時ぐらいにお休みになったんです。はい。


 かなり体調が悪そうでフラフラと歩いておりました。


 いつもはもっと夜遅くまで起きていたと記憶しております。


 お声をかけても、呂律がまわっていないご様子でした。


 今朝、直属のメイドが奥様を起こしに来ましたね。


 まもなくメイドが慌てた様子で戻ってきて、

 すでに亡くなっている奥様を発見しました。

 その後、自分は医師を呼びに走りました。


 扉を壊す以前に部屋に近づいたものは旦那様以外にいません。

 もちろん、自分も近づいておりませんです。はい。」



 ■夫人の御主人

「確かに、妻は晩酌をしてからめれんな様子だった。


 月を見ながらワインを飲むのが日課だったんだ。


 酌は使用人から気まぐれに指名していた。


 え、アテですか。

 いえ、ワインしか飲んでないはずですね。


 夕食の時には、調子が悪い、なんて様子は少なくともなかったと思う。


 でも、たったの2杯であんなに酔うなんて、今までなかった。


 眠る前、日付が変わるくらいに扉の前で声を掛けたけど、返事はなかったよ。


 他意はない。心配だっただけです。


 今思えば、その時にはもう……死んでいたに違いない。


 勤めで早朝から家を出ていたけど、話を聞いたときは耳を疑った。

 殺されたのか、それすらわからん」



 ■夫人と気の置けなかったメイド

「う、うぅ……。なんで、奥様が……。


 はいぃ。今朝、わたしが奥様を起こしに参りました。


 でも、ノックをしてもお返事が無くて、鍵もかかっている。


 これはただ事ではないと思い、

 兵士さんにお願いして鍵をこじ開けて貰ったんです。


 そうしたら、奥様が……!ベッドで真っ白になっていらしたんです!


 兵士さんは慌てて医者を呼びに行きました。


 わたくしは、奥様に縋り付いて、

 ワンワンと泣いていることしか出来ませんでした。


 え? ワインですか?

 昨晩のワインボトルはキッチンに片付けました」


 ◇


 聞いた内容をメモ帳に記入していく。

 聞けば聞くほど謎は深まるばかりだ。


 夫人は23時に部屋に入った。

 日付が変わる24時頃にはもう反応がなかった。

 この時点でもう亡くなっていたと考えられる。


 この僅か一時間で見張りの目を盗み、

 どうやって扉をすり抜けたというのだろうか。

 そもそもどうやって夫人を手に掛けたというのだろうか。


「苦戦しているようだな」


「先生」


「窓も扉も施錠。

 しかも、部屋は見張られており容易には開けない。

 実に模範的なツンデレだ」


 出た。またツンデレ説。

 部屋の遺体はすでに運び出されている。

 先生は腕を組んでベッドを睥睨していた。


「さて、君ならどうアプローチする?」


『どうやって出た?』『どうやって入った?』


 そんなことばかり考えているようでは、

 おそらく一生、彼女は振り向いてくれない」


「じゃあ、何を考えれば?」


「なぜ彼女は、そこまで頑なに心を閉ざしているのか」


 彼は枕を裏返すと、重々しく頷いた。


「密室も同じってことさ。

 関係者を集めてくれ。

 犯人がわかった」


「は、はいっ!」


 ボクは一目散に部屋を飛び出した。

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