表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生少女はテンプレを望む改!!  作者: parade


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/31

第30話「ただいま、テンパレス」


夕方、テンパレスの城壁が見えてきたとき、私は思わず「あ」と声を出した。


「どうした」とカイトが言った。


「……帰ってきた、って思って」


「帰ってきた?」


「テンパレスに来てひと月しか経ってないのに、なんか帰ってきた感じがして」


カイトは少し考えてから「……そうだな」と言った。


門のところでハイルさんが「お帰り!!」と手を振ってくれた。犬耳がぴょこぴょこしている。


「ただいまです、ハイルさん!!」


「無事で良かった! サラちゃんだけじゃなくて、カイトまで一緒に帰ってくるとは思わなかったけど」


「俺は一緒に帰ってきたわけじゃない」


「方向が同じだっただけ?」


「そういうことだ」


ハイルさんが私に向かって「仲いいね~」と耳打ちした。私は「そうでもないですよ!」と返したけど、なんか笑いをこらえるのが大変だった。


街の中に入ると、石畳の感触が足に馴染む感じがした。本当にひと月しかいないのに、この街が自分の場所みたいに感じる。


バルドさんとは馬車の前で別れた。「またいつでも声をかけてくれ!」と言ってくれた。フィリアさんとも「またギルドで会いましょう」と言って別れた。


残った私とカイトが、街の中に立っている。


「……じゃあ、私はルコの宿に帰ります」


「ああ」


「お疲れ様でした、カイトくん」


「……お前も」


「ロウさんに会えてよかったね」


カイトは少し間を置いた。


「……ああ」


「また行けるといいね」


「……行く」


「うん」


「……サラ」


カイトが珍しく名前で呼んだ。


「何?」


「……一緒に来てくれて、ありがとう」


まっすぐな言葉だった。


遠回りもなくて、ぶっきらぼうでもなくて、ただそのままの。


「……どういたしまして」


私もまっすぐ返した。


カイトは頷いて、踵を返して歩き始めた。


夕暮れの石畳を、その後ろ姿が遠ざかっていく。


私はしばらくその背中を見てから、逆の方向へ歩き出した。


「……ただいま、テンパレス」


路地から夕日が差し込んで、石畳がオレンジ色に染まっていた。


どこかから夕食の匂いが漂ってきて、子供たちの声が聞こえる。


ここが、私の場所だ。


テンプレを求めて転生してきた。


チートはなかった。ステータス画面も、特別な能力も、最強の称号も、まだ何もない。


でも。


「……うん、十分だ」


ルコの宿の扉を開けると、ルコさんが「おかえり!!お腹すいたでしょ、ご飯あるわよ!!」と出迎えてくれた。


「ただいまです!!いただきます!!」


異世界ライフは、まだまだ続く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ