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恋せよ若人  作者: 柿井優嬉


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「どうしたんだ? 岸。元気ないみたいだけど」

 橘に問われて、僕は答えた。

「いや、歴史のテストの結果が散々だったんだ」

「え? あれだけ、今回は歴史を頑張るし、自信もあるって言ってたのに?」

「うん。手応えはそれなりにあったんだけど、ひどい点数で」

「どういうことだよ?」

「わかんない、全然……うおー!」

 僕は頭を抱えて叫んだ。

「落ち着けよ。よーく考えてみろ。何か原因があるはずだ」

「うーん……わからん。これで、死ぬほど勉強したのに」

 僕は越智さんから借りた本を手に取った。

「へー」

 橘はそれを持って、中を見だした。

「おい! これ、参考書じゃないじゃん」

「ああ、勉強用の本じゃない。でも、ちゃんと歴史について書いてあるでしょ」

「そうじゃなくて、書かれてることが嘘っていうか、作り話じゃねえか」

「はあ? そんなわけないだろ。親切な人がテストのために貸してくれたんだぞ」

「だって、見てみろよ、これ」

 橘が本のある箇所を指さし、僕はそこに視線を向けた。

「え? ば、馬鹿な!」

 それは最後のページで、「この本の内容はフィクションです」と書かれていた。

 なんで気づかなかったんだろう? それに、いくら歴史が得意じゃなくても、冷静に読めば本文からでもおかしいことはわかったはずだ。どうかしてた。

 僕はふと気配を感じて横に目をやると、少し先でこっちの様子をうかがっていたっぽい越智さんがいて、両手を合わせた「ごめんね」のジェスチャーをして微笑んだ。

 ……。

 ま、いっか。軽い冗談で、すぐに気がつくと思ったんだろう。ドジな僕が悪いんだ。

 それにしても、謝る姿も可愛いな~。



 俺は、間近でニヤニヤする岸を目の当たりにして、こいつは一生女で苦労するなと思った。

 恋だの愛だのは相変わらずよくわからないが、それは間違いないだろう。


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