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アレクサンダー英雄戦記 ~最強の土魔術士~  作者: 大野半兵衛
十六章

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138/160

138_帝国激震

【書籍化】アレクサンダー英雄戦記

本作品が書籍化されることになりました。

発売予定は2020年12月2日の予定です( ^)o(^ )

Amazonで予約できますので、予約してやってください!

 


 護衛部隊に囲まれてアダマンタイトがあると思われる土地にやってきたアレクは、地面に手を当ててソイルサーチを発動させた。

 これはヘリオ町付近の銀の鉱脈を発見した時にも使った、土壌に含まれている成分を知ることができる魔術である。

「これがアダマンタイト……?」

 地下三十メートルほどのところに広がる、とても大きな存在感を持った金属の反応があった。

 ミスリルは魔力を吸う性質があるが、アダマンタイトは魔力を弾く感じがする。


 アレクの領地はバレッド州の北部にあり、領地の北側は帝国との国境になっている。ただし、帝国との国境は高く険しい山岳地帯によって隔てられている。

 そして今、アレクがいるこの場所には、小さいながらも集落があって畑が広がっている。

 アダマンタイトを採掘しようと思うと、この集落を立ち退かせることになるだろう。

「さて、どうしたものか……」

 集落を立ち退かせるのは簡単だ。しかし、これまで住民たちが汗水流して耕した畑を放棄させるのは、気が引ける。

「何を悩んでおいでですか?」

 顎に手を当てて悩むアレクの顔を、ウィートが覗きこんできた。

「いや、集落を立ち退かせるのは、これまでの苦労が水泡に帰することになるからと思ってね」

「ああ、なるほど。それでしたら、今よりも広い畑を与えてやればよろしいのではないでしょうか? そうすれば、今までの努力以上のものを得ることになるのですから」

 アレクは自分で耕した畑なのだから、そんなに簡単ではないと思った。


「もっと大きな畑をいただけるのですか! ありがとうございます!」

 今より大きな畑を与えると言ったら、村人たちは移設を簡単に了承したのだ。

「………」

 アレクはそういうものかと、考えを改めることにした。


 集落を移動させる場所を選定し、アレクの土魔術で家を作り、畑を整備し、井戸を掘る。

 たった2日でそれを整備したアレクの土魔術は、やはり規格外であると家臣たちが感嘆する。


「こ、これが私たちの新しい村……?」

 村民たちが口を開けて絶句した。

 これまでは木の板を張り合わせた掘っ立て小屋のような家に住んでいたが、石でできた重厚な家になった。

 それだけではなく、畑はこれまでの倍近い広さがあり、井戸が随所に掘られている。畑を開墾し耕すのも大変だが、井戸を掘るのも大変だから、至れり尽くせりの新天地に驚きを隠せないのであった。


 ▽▽▽


 四月に入るとラーレがユリウスを連れて、テオドシウス城にやってきた。もちろん、フォレストとリーリアも一緒だ。

 しかし、それと時を同じくして、テルメール帝国の内乱の報がもたらされた。


「皇帝の兄のケルツが反旗を翻したか。王国よりも中央集権が進んでいる帝国も、一枚岩ではないということだな」

 フォレストがしみじみと言った。デーゼマン家では考えられないことだと、思っているのだろう。

 しかし、今のデーゼマン家は五等勲民という、中級貴族になった。その領地は広く経済力もあり、貿易港としてデジム港が使われ始め、財政はさらに潤うだろう。

 そんなデーゼマン家だから、今はよくともいずれ当主争いが起きる可能性は十分にある。

 アレクの子がユリウスだけなら当主争いはないだろうし、他に子ができてもアレクとラーレがしっかりと目を光らせていれば、問題ない。

 しかし、ユリウスの代になったらどうなるか? さらに孫や曾孫の代になったらどうなるか?

 王族でも貴族でも、そして平民でも当主の座を巡る争いは後を絶たない。


「しかし、これでしばらくは王国に手を出せないだろう。その間にこちらはアダマンタイトの採掘を進めればいいのでは?」

 フォレストが楽観的な意見を述べると、頷く家臣が数人いる。

 もたらされた情報では、皇帝に反旗を翻したケルツとオードストロフ侯爵の勢力はそれほど大きくない。だから、内乱はそれほど長く続かないと思っている家臣は多い。


「どちらにしろ、帝国については国の判断次第だ。僕たちは僕たちにできることをするしかないでしょう」

「では、アダマンタイトの採掘を優先するのだな?」

「はい。アダマンタイトの採掘を最優先に、ヘリオのフリオと……城のバージス少将に警戒をしてもらいましょう」

 ヘルネス砦跡地に建設中の城のことを、アレクサンダー城とは言いたくないアレクは、アレクサンダーのところをごにょごにょと誤魔化している。

 フォレストを始めとして、ここに集まった一門衆と家臣は無駄な足掻きだと思うと共に、アレクの偉業が後世にまで語り継がれることになるので、気に入っていたりする。

「母さん。パケムと繋ぎを密にして情報を集めてくれるかな」

 パケムというのは、帝国に入り込んでいるリーリアの舎弟である。その情報収集能力はリーリアも一目置く人物だ。

「あいよ。任せておきな」

 腕組みして目を閉じていたリーリアが短く答える。


 

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