↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アレクサンダー英雄戦記 ~最強の土魔術士~  作者: 大野半兵衛
十五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

133/160

133_閑話・ある日のマリア2

 


 本を読み終わり、お菓子を頬張る。リスのように口いっぱいにお菓子を入れて頬袋を膨らます。

「おいしい」

 マリアは満足げに目じりを下げ、ティーカップを持ち上げて香りを楽しむ。

「ラクリス。お菓子、おかわり」

「はい」

 アレクの従者兼メイドのラクリスが、空になった皿を下げて菓子の盛られた皿を置く。その横ではアレクもお茶を飲んでいるが、お菓子にはあまり手をつけない。お菓子を多く食べると、マリアが不機嫌になるからだ。

「マリアは今日も散歩するのかな?」

「たぶん、する」

 マリアの言葉は極めて短い。必要ない言葉をだらだらと連ねるのは、無駄だと思い嫌っているためである。

「父さんが、マリアがいつも素通りすると悲しんでいたよ。声くらいかけてあげなよ」

「なんで?」

「いや、マリアが父さんに声をかければ、とても喜ぶと思うから」

「必要ない」

「………」

 マリアはマリアの決めた場所を散歩する。その散歩コースにフォレストがいる場所は含まれていない。含まれていないのであれば、わざわざフォレストに声をかける意味はないのである。

 フォレストから声をかければ応えるが、そうでなければ我が道をいくマリアであった。


 おやつを食べ終わったマリアは、腹ごなしをかねて散歩をすることにした。

 今日もいつものコースを進み、アースリザードの厩舎の前に差しかかる。

「あ、マリア様! 散歩ですか?」

「そう」

 またいつもの緑髪碧眼の少年に声をかけられ、自然に立ち止まる。今日はアースリザードに餌を与えているようで、餌の入った桶を持っている。

「よしよし。お前もマリア様にご挨拶するんだ」

 アースリザードが顔を上下させる。どうやら芸を覚えさせているようだ。アースリザードを調教するだけでも難しいのに、少年は芸まで覚えさせている。なかなか優秀な少年だ。

「マリア様も餌を与えてみますか?」

「……いい」

 マリアは少し迷ったが、拒否して歩き出した。

 アースリザードの背に乗ってアレクと共に戦場を駆けたマリアだが、アースリザードの顔はあまり好きになれない。

 フォレストが特製の鞍を作ってくれたので、馬よりも断然いい乗り心地もあってアースリザードで我慢しているが、凶悪な顔のアースリザードは好きになれないのだ。


 翌日も散歩の途中で少年に声をかけられる。

「今日もいい天気ですね」

「うん」

 以前は天気の話に返事もしなかったが、最近は返事をするようになった。

 少年は少し顔を覚えてもらえたと思い、笑顔を見せる。

「ほら、お前も挨拶だ」

 アースリザードが顔を上下に振り挨拶する。アースリザードも懐いているようで、厩務員としてはとても優秀だと分かる。

「エサ」

「え?」

 マリアは手を出して、餌を催促する。

「あ、餌ですね!」

 少年から桶を渡されたマリアは、何かの肉を火ばさみのようなもので掴み、アースリザードの鼻先に持っていく。鋭い牙がある大きな口でがぶりと肉に食らいつくと、その迫力にマリアは手を引いた。

「そんなに怖がらなくても大丈夫です。この子は頭がいいので、差し出された肉しか口に入れませんから」

 その少年の言葉に、マリアはムッとした。

「誰が怖いと言った?」

「あ、いえ、すみません」

 マリアは立ち去る。

 少年はマリアの後姿を見送り、また怒らせてしまったと頭をかく。


 

面白かったら評価してやってください。

☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★


誤字脱字は誤字報告してくださると、助かります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。