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第16話 リヴァを狙う者たち3(三人称視点)

 ララはあくまで人である。

 年齢、および力は人の枠組みを超えているかもしれない。過去にリヴァイアサンと戦った経験もあると現実離れした人ではあるが、それでも人であるのは間違いない。

 だから究極魔法をリヴァのように連発させることはできない。

 ララはこれまでの究極魔法をすべて、その圧倒的な力、処理能力で行っていただけに過ぎない。

 そしてこのまだ比較的簡単に使うことができる究極魔法で倒せないならば、それ以上の究極魔法を使わざるを得なくなっていた。

「もしかして、あなたは。記憶を無くした後に究極魔法を覚えたのではないですか?」

 ララの質問にリヴァは不思議そうな表情をして。

「だから、どうしたの?」

「否定しないということは、この魔法を忘れたということですね」

 ララが展開した魔方陣。それははるか上空に、リヴァに気づかれることなく徐々に巨大化をしていた。

「では、一つ。聞きましょう。最強の魔法とは何だと思いますか?」

「最強の魔法」

「この世界の歴史において、三つほど。作られたのに一度も発動しなかった魔法があります。いえ、一つは発動しかけたと言うべきですか。まあ、つまり…………」

「それほど危険とでも?」

「はい」

 ララは頷いた。

 徐々に辺りが暗くなる。

 その異変に気付いた時と同時に、リヴァは上空の魔方陣に目が行く。そこでやっとで気づく。そして、あまりにもおぞましき魔法の紋章にリヴァは驚く。

 何故、辺りが暗いのか。

 その理由に、リヴァが気づいたから。

「これはそのうちの一つにして、まだ比較的、この世界への影響が少ない最強の魔法の一つです。それはあくまで、この魔法がたかだか数千人ないし数万人程度を殺すために作られた魔法だからです」

 魔法の展開は現時点を持っておよそ2パーセント終わっていた。

 そしてそれで十分であった。

 もしもこの魔法を完全に展開するならば一日は時間が掛かり、辺り一帯は闇になり、一切の光が消えてなくなる。

 ララは魔方陣の発動を始める。それと同時に自信の周辺に防御壁も作る。

「逃げたり、止めたいしないのですか?」

 動こうとしないリヴァに対して、ララは思わず聞いてみる。

「だって見てみたいから」

 リヴァはあっけらかんとそう言った。



 魔法とは自然界が持つエネルギーを使わなくては、人間には発動することができない。

 だからこの魔法は生まれた。

 一つは熱の魔法。気温という熱エネルギーの吸収を行い、魔方陣を拡大、巨大化させ、さらなる熱エネルギーの吸収を行う魔法。ひとたびこの魔法が完全に展開すれば、星から熱が消えうせ、すべての生物は完全に死滅する魔法。

 一つは運動の魔法。星が持つ運動エネルギーの吸収を行い、その魔法陣を拡大、巨大化させ、さらなる運動エネルギーの吸収を行う魔法。ひとたびこの魔法が完全に展開すれば、星から運動エネルギーは消えうせ、すべての生物は完全に死滅する。

 一つは光の魔法。太陽から降り注ぐ光エネルギーをすべて吸収し、魔方陣を拡大、巨大化させ、さらなる光エネルギーの吸収を行う魔法。ひとたびこの魔法が完全に展開すれば、星から光は消えてなくなる。そして他の最強の魔法と違い、その溜めた光エネルギーを使いある一点へ攻撃が可能。

 ララはこの三つの魔法を知っている。そしてどれが最も使いやすいかも知っていた。

 他の二つは星を破壊するために生まれた魔法であるのに対して、ララが発動した魔法はあくまで数千人ほどの少人数を殺すための魔法であり、最強と呼ばれる魔法の中で最も最速に発動をすることが可能である。もちろん、ある一点においての破壊力は最強の魔法顔負けであるのは確かだ。

 2パーセント。

 それが可能なのはせいぜい数人の人間への攻撃。

 リヴァの上空からその魔法は光の攻撃を行った。

 ただの光ではない。圧縮されたその光は果てしない高温を持ち、光そのものが生物の脳へ多大なダメージを負わせることができる。

 それをリヴァは受け止める。

 数秒間におよぶ光の柱。

 一瞬にして辺りの気温は数百度になり、木々は枯れ、無残な光景を生み出した。

 リヴァがその中心地で、倒れている姿を見て、ララは勝利を確信した。

「流石のあなたでも、人の姿でこれを耐えられるわけがないですよね」

 そう言って、ララはその場を立ち去ろうとした。

 決して勝つことができなかったリヴァイアサンに対して、勝利を収めたことにララは喜びに満ち溢れていたから。

 だから気づくのが少しだけ遅れた。

「…………何故」

 その違和感にララは振り返る。

「何故、服を着ているのでしょうか?」

 この魔法で衣服が無事なわけがない。

 高温は一瞬だが、その一瞬で枯れた木々のように衣服も燃えて消えてなくなるはずなのだから。

 だから、ララはそれが燃えた後に生まれたものだと理解した。

「…………流石に」

 よろよろになりながら、リヴァは立ち上がる。

「死ぬかと思った」

「言葉の割に、衣服を作るなんて、ずいぶん余裕があったみたいですね?」

「だってララさん。本当に殺すつもりなかったでしょ?」

 その言葉にララの耳はピクリと動かす。

「もしも殺すつもりだったなら、もっと展開しても良かったはずだ。でもそうしなかったのは周りへの影響もあるだろうけども、何より、俺を本当に殺そうとしていなかったからでしょ?」

 リヴァはこの会話の最中、ずっと自身の修復に魔法を使っていた。

 それをララは止めようとしなかった。

 それもリヴァがララが本当に殺す気がないと判断した要因でもある。

「そんなわけない」

 ララはそう否定して、リヴァの一人称が俺だったことに気づき。

「もしかして、記憶を無くす前に戻ったのでしょうか?」

「別にそうじゃないけども。何となく、前のリヴァイアサンが分かって来た気がする」

 リヴァはさてと、と伸びをした。

 失った魔力は膨大だったが、ララという強敵と戦えたことにリヴァは嬉しさに満ち溢れていた。

「そろそろお城に戻らないと」

「まさか、戦いを続けないと言うのですか?」

「だって、城を襲った侵入者はカピトリーナさんが殺したみたいだから。ララさんとこれ以上戦う理由がないし、何より俺はララさんを殺したくない。だからララさんも諦めて欲しい。本当に俺を殺す気になったら来て」

 その言葉に。

 ララではなく別の女性が反応を見せた。

 その女性はララとリヴァの間に割って入って来て、リヴァの方を見た。

「それなら、私が条件を満たしているわね。次は私と殺し合ってくれるかしら?」

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