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第15話 リヴァを狙う者たち2(三人称視点)

 剣を破壊する武器、名前をソードブレイカーと呼び、主に細身の剣を凹凸にかませて折ったり、あるいは叩き折る短剣である。突きも可能だが、叩き折るため分厚く作られたこの武器は斬ることにおいては普通の剣に劣る。

 男が持つ武器はそれを少しばかり改良したものである。

 斬ること、および突くことを捨て、完全なる殴打に特化し、細身よりも分厚い剣の破壊も可能とした。

 だからこそ、扱いずらいはずであり、リーチにおいて優るカピトリーナの方が有利なはずなのだ。

 それでもカピトリーナの二つ目の剣が折れるのはそう長くなかった。

 折れた剣が遠く弾き飛ばされ、アデリーナのすぐそばに突き刺さる。

 狭い一室で行われる攻防。応援が来ないことに、侵入者は他にもいるのだとカピトリーナは考える。

「さあ、これで二本目だ」

 そして、不思議なことにアデリーナを狙おうとしない男に対して、カピトリーナが侵入者の目的がアデリーナであると考えるのは、思考の流れにおいて至極当然のものであった。

 だから心の余裕がなくなる。

 カピトリーナは、大きくため息をついた。

「できれば使いたくなかった」

 カピトリーナは三本目の剣に手を添える。

 そして男の方を見て、にっこりと微笑みを浮かべた。

「あなた、名前は?」

「おや」

 その言葉に男は少しばかり驚く。

「名前は聞かないなんて、言っていたのに。まさかこれから自分を殺す相手の名前ぐらい知りたい、なんて理由じゃないだろうね?」

「まさか」

 とってかわって驚くカピトリーナに対して男は目を細める。

「これはあなたに対する敬意であり、私が本気を出す前にする行為よ。だって」

 カピトリーナは続ける。

「名前名乗ることなく、死ぬなんて嫌でしょう?」

 カピトリーナは三本目の剣を抜く。

 カピトリーナの言葉に対して、男の表情から笑顔が消えた。

「ここ最近いろいろなことがあった。私が最年少の最強の騎士になるはずだったのに気づいたら違う子がシモンさんを倒していて、あまつさえ侵入者が襲ってきた」

 剣を斜めに振った。

「その言葉では」

 男は聞く。

「まるで、この国最強の騎士に勝てる自信があるみたいだね」

「もちろん」

 カピトリーナは迷うことなく頷いた。

「この私が負けるわけがない。この剣に認められたこの私が。ハイデンさんにも、シモンにも、大賢者たちにも、隣国のセリアにも、リヴァにも」

 それは。

「私が負けるわけがない」

 最強であるはずの人間の言葉。

「君のその自信は一体どこから?」

「この剣からよ」

 カピトリーナは剣先を男に向けた。

「それで、名前は?」

 再びの質問。男も武器を構えて、その質問に答える。

「クロード」

「そう、良い名前ね」

 それはクロードの最後の言葉であった。

 カピトリーナに敗北はない。

 その自信のすべてである剣はかつて神々が使用していたとされる聖剣であり、世界に一つしかないものである。

 粉砕されるソードブレイカー。

 飛び散る血。

 何かが転がる音。

 倒れる音。

 この戦いは。

 この上なく静かに、クロードの死によって幕を閉じた。


 カピトリーナが何故その剣を持っているのか。

 何故、たかだか十一位の座で満足しているのか。

 そのすべては親友であるアデリーナのためであり、そして一つの使命のためでもある。

「さてと」

 剣についた血を振り回し、カピトリーナは窓から外を見る。

 その瞬間、近くで爆音が鳴り響く。

 そして中庭、その近くの城の壁が粉砕されていることに気づく。

「もう一人の侵入者は中々強いみたいね」

 カピトリーナはそう小さく呟いた。



-----



「このっ!」

 リヴァがここまで苦戦したのは初めてのことだった。

 何度も繰り返し発動される究極魔法。

 ララは近接ではなく遠距離で、ひたすら魔法の発動をする戦い方だった。

 すでに城の外観はなく、近くでは多くの巻き込まれた兵が亡くなっていた。応援はない。いや、応援など来るはずがない。

 リヴァイアサンであるリヴァ。その力のほとんどを封印されているとはいえ、膨大な力を持つリヴァが防戦一方となる敵と戦える人間など数えるほどである。

 リヴァも負けじと、究極魔法を展開する。

 中庭での戦いはその小さなフィールドでは収まらなくなり、やがて城の外へと二人は飛び出した。

 そしてすぐ近くの森で、二人の究極魔法の押収が繰り返される。

 爆音の中、大きん声でリヴァは聞く。

「ララさん。あなたは一体何者なの?」

 その質問にララも大きな声で答えた。

「ただの人間よ」

 リヴァはララの言葉にあり得ないと思わず呟いてしまった。

 究極魔法はあくまで最高峰の魔法をまとめて呼んでいるだけであり、その中でも強弱はある。それでもどの究極魔法も人間が連発できるほど、簡単なものではない。

 エネルギーの収集、そしてエネルギーの転換。

 人間が仮にも究極魔法を連発するならば、すべての工程を一瞬で終わらせるほどの処理能力が必要となる。

 リヴァのように自身が持つエネルギーをそのまま使うのとはわけが違う。

 そんなことはあり得ないのだ。

「教えてほしい。私とあなたに過去何があったのか」

「それはこの戦いが終わったら教えましょう…………か」

 ララはその時、気づく。

 究極魔法の発動を止め、戦いの最中には見せてはいけない隙と共に、ララは視線を城の方へ向けた。

 その隙をリヴァは攻撃するような真似はしない。同じようにその城の方へ視線を向けて、カピトリーナの姿を見て安堵した。

 でもララはその姿を見て別のことを考える。

 あの男がやられた。

 そして戦った相手の顔を見て。

 ああ、なるほどとララは理解する。

「そう言えば、あの方がいましたね。忘れていました」

「あの方? もしかしてカピトリーナさんのこと」

「あの男は、全然時間稼ぎをしてくれませんでしたね。使えない男だったみたいです」

「何を言っているの?」

 リヴァは何一つ理解が追い付かない。

 分からないことへ、リヴァはこの上ない不安と恐怖を感じた。

 それはララの持つ、まだ見せぬ力にも。

「もう、手加減をする暇がないということです」

 ララは静かに力の解放を始めた。

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