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第14話 リヴァを狙う者たち1(三人称視点)

 リヴァはララの言葉に耳を疑った。

「殺し合って、くれませんか?」

「はい」

「それは命をかけて?」

 ララは頷く。

 ララの目的がそれであることを、リヴァは知らない。

 だから理解できない。

 何故、殺し合わなくてはいけないのか。

 何故、命を懸けない決闘ではいけないのか。

 出会いはほんの数分だけだった。それでもお互いに、似たにおいを感じ取っていた。だからリヴァはララと親友になれても、険悪な関係にはならないと思っていた。

「どうして?」

 リヴァの心の底から出た本音にララは失笑して。

「同じ言葉で聞き返しましょうか。どうしてですか? 理解できませんか?」

 ララはリヴァの方へ歩み寄る。

 一歩、二歩。その距離が呼吸が吹きかかるようなほど近くまで来て、ララはリヴァの耳元でこうささやいた。

「私はあなたが何者か理解しています。ねぇ、リヴァイアサン。それはあなたも同じように、理解しているでしょう? 出会いは今日が初めてではないのですから」

 それは二日前の出会いを指していない。

 遥か昔の出会いをララは指した。

 そんなことは知らず、リヴァはただただ自信の正体がばれたことに驚いていた。

「…………まさか」

 その異変にララは気づくと同時に、リヴァはララと距離を取った。

「どうして、そのことを」

 その質問は当たり前のものである。

 次はララが驚いた表情をし、首を傾げた。

「あり得ない。あなたは本当にリヴァイアサンなのですか? いえ、それとももしかして」

 考える。

 ララは目の前の少女が本当にリヴァイアサンなのかどうか。

 別の個体はありえない。

 リヴァイアサンという強大で最強の生物が二ついて良いはずがない。故にリヴァイアサンに性別はあれど、生殖器などは存在しない。

 では何か。

 ララが、リヴァイアサンが人の姿をしてここにいる理由がそれに大きく関係していると考え至るのはそう短くなかった。

「それが、あなたが今ここにいる理由なのでしょうか」

 ララはそう呟いた時。

 変身魔法を使い弱いとはいえ、リヴァイアサンという強大な敵を前に一つの準備を始めなくてはいけない。

 ララは魔方陣を手で宙に描く。

「でも関係ないですね」

 魔方陣はうっすらと光り輝き。

「私たちは戦う宿命にあるのですから。宜しいですよね? まさか、逃げるなんて真似、致しませんよね?」

「どうだろう」

「なら、もしもの時の策が効くみたいですね」

 ふいの轟音にリヴァは体を震わせた。

 思わず後ろを見てしまう。

 それは城の最上階から。

「何が起きて」

「さあ、何が起きたのでしょう。でも確認にはいかせません。私がいるのですから」

 ララは両手を広げて、再び言った。

「私と殺し合いましょう?」



 --------



 アデリーナ女王は毎日、昼食後に眠る。

 それは一種の呪いである。

 アデリーナ女王の母親の血が持つ呪い。

 あるいは国宝の力と呼ぶべきか。

 ただ決まって。この睡眠は悪夢となり、アデリーナ女王の精神をむしばむ。

 その間、カピトリーナは親友であるアデリーナを守るために、ずっとそばに居続ける。

 はずだった。

「何が起きて」

 突然の爆音。

 そして、外から入って来た一人の男。その存在を確認するや否や、カピトリーナは考えるよりも前に剣を抜いた。

 敵か味方かはこの際どうでも良い。

 その男の風貌を一言で言えば、普通の青年である。整った顔たちと、筋肉の見られない身体から、戦う男には見えない。

 数秒の時間の止まり。

 刹那、カピトリーナは剣をその男へ向けた。

「なるほど」

 金属音と共に防がれる剣。

 男の手には変わった武器。

 小剣のような風貌だが、刃が太い。斬るではなく、突くものでもなく、叩くような形。その刃には複数の切れ込みがあった。

「敵の剣を破壊するための武器だ。この国にはないのだから、知らないだろう?」

「聞いていない」

 数度、カピトリーナは剣でその男に向けて振るう。

 そのすべてを見切った男の武器によって防がれる。

 それにカピトリーナは驚い様子なく、淡々と距離を取った。

「流石は騎士隊長なだけはあるね」

「そりゃあどうも」

 カピトリーナは男との距離を再び縮める。

 数度の攻撃と見せかけて、カピトリーナは男の武器を掴もうとする。

 反射的に男は武器を引っ込める。その反射を狙い、カピトリーナは剣で武器を弾き飛ばそうとして。

 その剣の刃は男の武器の切れ込みに入った。

 剣を破壊する武器。

 その言葉を思い出し、カピトリーナはすぐに剣を引っ込めるべきだと考えた。しかしコンマ遅く。

 男が武器をひねる。

 低い音と共に、カピトリーナの剣は折られた。

「相手が剣を持つ手に力を入れていれば壊すことができる。力を入れていなければ奪うことができる。扱い慣れれば、剣に対して、相性が良い武器なんだ。そう言えば、名前を名乗るのを忘れていたね。私の名は」

「名前は聞かない」

 カピトリーナは二本目の剣を構えた。

 そして、一度アデリーナに視線を送った後、再び男を見る。

「とりあえず、死ね」

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