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第6話 討伐任務1

「というわけで、今をもって任務体験は終了ですねー」

 初日に訓練があってキリル隊長と戦ったりした警備任務は無事終え、街の外まで連れて行かれる。二日間はあっという間に過ぎたけども、正直に言おう。

 もうしたくない。この仕事。

 何とも暇で退屈なものだった。

 何より、雑兵の方たちが全然真面目に働かない。

 いやまあ、騎士の方も似たり寄ったりだけども。少しだけニーナさんが雑兵のことが嫌いな理由が分かった気がする。

「私は引き続き警備任務を続けないといけませんのでー、あなた方は次の騎士に着いていってください」

「次の騎士?」

「グループでローテンションをするんですねー」

「じゃあ、最初見た先輩騎士の誰かが迎えに来るのですか? ニーナさんはお迎えに行かなくて良いのですか?」

「いえー。私は送るのも迎えに行くのも面倒なのでー、他の方たちにお願いしましたー」

 何とも素直な理由だ。

「次はどんな任務ですか?」

 アダン君が聞く。

「次は討伐任務ですねー」

「討伐任務?」

 何だろうか。少し楽しそう。

「街の方たちに迷惑をかけるモンスターの討伐。まあ、街の治安維持みたいなものですねー。危険が多い分、休みが多いですしー、何より給料が若干高くなるので良い仕事ですよー」

「それは大変素晴らしいですね」

 やっぱり仕事内容によって休日とか給料は変わるのか。

 そうでないと可笑しいのだけれども。

 討伐任務は騎士たちから一番需要がありそうだ。

「いえー、嫌われてる任務、第二位ですよー。何一つ素晴らしくないですねー」

 全然違った。

「第二位?」

「一位は警備任務、二位は討伐任務、三位は護衛任務ですねー」

「その他に任務があるのですか?」

「任務というよりも、事務作業ですねー。騎士隊長や副隊長の側近みたいなものです。永住できますし、程よく忙しいですし、能力が求められる分給料が高いですので人気がありますねー。あとは騎士見習い育成の仕事ですかー。こちらも理由は同じですねー」

「ああ、なるほど」

 アレットさんとかルドルフさんはどちらかというと勝ち組なのか。

 てか、嫌われ上位三つは騎士のほとんどの仕事を占めている気がするのだけども、良いのだろうか。

「お迎えが来たみたいですねー」

 ニーナさんが遠くの方を見た。

 そちらを見ると馬が一頭、こちらの方へ走ってきていた。

 そう馬一頭。馬車ではない。馬にまたがるのは男の騎士。

 その馬が俺たちの前に止まると、男は馬から降りる。そして爽やかな笑顔をこちらに向けた。

「こんにちは。僕の名前はカイ。カウナ帝国でも端の方出身。以後よろしく」



 流石に馬一頭に三人が乗ることは出来ないため、ニーナさんのとこの馬車を借り、先輩騎士カイさんが馬の手綱を握り、次の街へ行く。

 走る馬車はどちらかと言うと荷物を運ぶためのもので。ヨハンさんが乗るような馬車と違い操縦するカイさんとも問題なく会話ができる構造だった。

 馬を操りながらカイさんが討伐任務について教えてくれる。

「騎士は基本街に永住、永住しなくても永住に近いけども。討伐任務は、街に永住するようなことはしない。これから向かう街で常に討伐任務を行っているわけじゃない。何か質問は?」

 嫌われている理由はこの永住できない点なのだろうか。出張を続けるみたいなものなのか。それは確かに嫌だ。人によっては良いかもしれないが、妻子持ちにはきついな。

「どんなモンスターを討伐するのですか?」

 アダン君が聞く。

「この辺りだとオーガとか。オークとか。たまにドラゴンとか」

「ドラゴン!」

 その言葉に俺は思わず反応してしまう。

「ドラゴンって言っても、小型なワイバーン系がほとんどだよ。極々たまに、大型のドラゴンが街を襲うことがあるけども。本当に極々たまにだね。人生をすべて討伐任務をしたとしても数えるほどだと思う」

「なら良いです」

 がっかりだよ。

「一つ良いか」

「なんだい」

「いえ。カイさんではなく、リヴァに対して」

 アダン君が俺の方を向く。

「不思議だった。どうしてそこまで戦うことが好きなんだ?」

「…………?」

 その質問にああ、なるほどと思う。

 確かにどうしてだろう。

 日本にいた頃はここまで好戦的ではなかった。

 だからその答えを考えて、一つの結論にたどり着く。

「力とは人を変えるものだよ」

「死ぬ可能性は考えないのか?」

「死ぬつもりで戦う人間なんかいないでしょ? まして、私は絶対に負けない自信がある。例えお相手がこの国最強とされる賢者だろうと。隣国のセリアだろうと。例え想像を超える化け物でもね」

「すごい自信家だね。さすがはシモンさんを倒した騎士だ」

「ありがとうございます」

 カイさんに褒められる。

 まだ納得がいっていない様子のアダン君。何が納得がいかないのか考えて、多分だけども力とは人を変えるものという点だろう。

 その答えだろう秘密を一つ、何となく教えることにする。

 アダン君にだけ聞こえるように。耳のすぐそばで。囁くように。

「私は昔弱かったから」

「弱かった?」

 アダン君がさらに疑問の表情を浮かべる。

「カイさん。あとどれぐらいで着きますか?」

「そうだな。あと少しかな。そんな遠くないよ」

「はぶらかすな。どういう意味だ。さっきのは」

 立ち上がるアダン君。

「アダン君五月蠅い」

「急にどうした?」

 俺とカイさんの言葉で、アダン君が諦めたように席に座る。

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