番外編2 シャドウ君!
「好きです。付き合ってください!」
「えっと、その。申し訳ないのだけれども、誰?」
そんなこんなで僕の三回目の告白は無事失敗に終わった。
自己紹介を忘れていた。
僕の名前はシャドウ。騎士の試験を無事に突破したばかりの騎士さ。
そんな僕にはとんでもない特技があるんだ。
「これで三回目の告白だけども」
「三回、目?」
「…………」
「…………?」
僕は告白した子の前から遠ざかってみる。
するとその子は僕を見失い、やがてはこの告白の記憶さえも消える。
そう僕は誰からも気づかれず、そして覚えられない。高度な魔法の影響を受け、僕を認識することが極めて困難になっているのだ。
「悲しいなぁ」
僕が好きになった子は何度も僕を見つけてはくれた。
でもずっと覚えてはいてくれなかった。
仕方がない。
僕は一人。
騎士として生きる。
僕が好きになった子について説明すると、名前はリヴァという。僕の中ではリヴァちゃんと呼んでいる。
外見は一言。美しい。これ以外の表現を僕は持ち合わせていない。それだけの美貌を彼女は持っているのだ。
それなのに未だに彼氏がいたことがないらしい。数回、あるいは数十回は告白を受けているだろうが、そのすべてを断っているのだ。それは僕のも同じく。
アリスみたいに同性が好きなのかと思うと、そうでもないみたいだ。
人を好きになることができないのだろうか?
とにかく、謎が多い子であるのは確かだ。
そんなリヴァちゃんも無事騎士試験に合格した。
当たり前だ。
彼女は今まで見てきた騎士見習いの中で一番強い。そんな子が受からなくてどうするというのだろうか。
「どうやってずっと覚えていてもらおうかなぁ」
僕を見つけてくれた人が他にもいた。騎士隊長のディーナさんだ。彼女は僕にかかっている高度な魔法を理解し、僕がうっすらとながら認識していた。
だったらリヴァちゃんにもその魔法を理解してもらえたら、認識してもらえるはずだ。
でもどうやって。
それに時間もない。
昨日も彼女は告白を受けていた。いや告白を通り越して求婚と呼ぶべきか。しかもそのお相手はこの国の王子とは驚いた。そしてそれを断り、まさか騎士の決闘を申し込むなんて。
無謀にもほどがある。
「もしもリヴァちゃんが負けたら、王子と付き合うことになるんだよな? それは嫌だなぁ」
でも相手は最強の騎士。
流石のリヴァちゃんでも勝てるはずがない。
なんて思っていた。少なくとも騎士の決闘が始まる前までは。
なんと、彼女は最強の騎士に勝ってしまった。
しかも一方的に。
「ははは」
もはや笑うことしかできない。
それほどの圧倒的な力を持つ、美少女。ここは物語の世界で、彼女はその物語の主人公とでもいうのだろうか。
そして、どうしよう。
「彼女が雲の上に行きそうだ」
僕の恋は実らない。
それは分かり切ったこと。
だから僕は諦めることにした。
僕の50回目の儚い恋が終わった。




