1176話 これ以上……
グローヴェインを魔法で地面に叩き落して。
しかし、すぐに体勢を立て直して、ブレスを放ってきた。
すごいな。
まだ『ジャミング』は使っているんだけど、それでもブレスを放つ力が残っているとは。
基礎能力だけなら、タニアに匹敵……
あるいは凌駕するかもしれない。
多くの人に慕われて、期待されているだけのことはある。
でも……圧倒的に経験が足りていない。
「……悪いが」
「なっ!?」
ブレスは強力だけど、それを放つグローヴェインの能力が落ちているため、狙いが雑だ。
簡単に避けることができた。
避けられるとは思っていなかったらしく、グローヴェインが驚いている。
なんで確中すると思っていたんだろう?
戦闘はなにが起きるかわからない。
できる限り、ありとあらゆる可能性を考えて動くべきだと思うのだけど……
こういうところも問題なんだろうな。
ミルアさんの懸念……というか怒りがよくわかる。
「そろそろ終わりにさせてもらう」
「生意気を言うなぁっ!!!」
グローヴェインが怒りに吠えた。
再びブレスを放とうとする。
うん。
行動がワンパターンだな。
でもって、それを待っていた。
だから、わざと挑発した。
「っ!?」
回避するのではなくて。
防御するわけでもなくて。
あえて前に出ると、グローヴェインが驚きに目を大きくした。
そのままブレスを放とうとするけれど、構わない。
俺はさらに加速。
グローヴェインがブレスを放とうとして……
ほぼ同時に、下から上にヤツの顎を蹴り上げた。
「がっ!?!?!?」
ブレスを放とうとした中、顎を蹴り上げられて、途中まで溜められた魔力が暴発した。
ボンッ! という感じで爆発。
ぷすぷすと、グローヴェインの口の隙間から煙がこぼれる。
……ちょっと安心した。
思っていたよりも爆発が大きかったから、頭が吹き飛ぶかと思った。
さすがにそこまでやるつもりはない。
「でも……」
決闘に負けるつもりは欠片もないし。
ここで終わりにする。
「くっ、この……まだ私は!」
「いいや」
体勢を立て直そうとするグローヴェインの足を痛烈に蹴る。
骨を折るくらいの勢いで。
そこまではいかなかったものの、グローヴェインは顔をしかめて、悲鳴をあげて崩れて、地面に膝をついた。
それでも気合で立ち上がろうとするが、
「っ!?」
眼前に千鳥を突きつけた。
目の前に突きつけられた刃。
ピタリと静止して眉間をしっかりと狙われている。
「これ以上は無駄だ」
「な、なにを……」
「それとも、まだ続けるか?」
「……」
もう勝負はついた。
そう告げると、グローヴェインは悔しそうに歯噛みする。
ぐううう、と唸る。
……ただ、現実が見えないほど愚かではないのだろう。
ややあって、体の力を抜いて。
ゆっくりと両手をあげて言う。
「……降参する」
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