03話 魔法は難しい
書庫へ到着~
「え~と、魔法の本。魔法の本は…」
この世界には、”魔法”と”固有スキル”がある。
魔法は、計算式?のようなもので出来ていて、式を覚えれば、誰でも使えるらしい。
魔法式さえ覚えれば、どんな魔法も自由自在!
この書庫の本を全て読めば、基礎的な魔法は、取得できる…はず?
まだ、一冊も読んでいないから、魔法を使ったことは無い。
もう一つの固有スキルとは、
一人一つ、産まれた時に神から授かるもので、魔法や身体能力を補助する能力が付与されるらしい。
僕の固有スキルは・・・
【???】
文字バグなのか。神様のイタズラなのか。チートなのか。
能力を使ったことがないから、何かは、わからない。
「あった」
【初級属性魔法全集】
「属性魔法?攻撃系の魔法かな?」
「初級だから、簡単な…」
訳の分からない数字と記号がずらりと並ぶ本。
「・・?」
よ、読めない…これを覚えないと、魔法って使えないの?
数字は、前の世界と同じ書き方なんだし、頑張れば読め・・・ない。
数時間、粘ってみたが、読めない。
今日は諦めて、部屋に戻ろう。
でも、明日になったからと言って、書式が読めるわけではない。
もっと、魔法について詳しく知らないと…
「・・・ヘル様」
「その声は…ティーア。何でここが?」
「ヘル様の行きそうな所など、このティーアには、お見通しです!」
自慢そうにここまでの出来事を話すティーアを背に、こっそりと、書庫から抜け出そうとする。
「ヘル様!どこへ行こうとしているのです?」
「ちょ、ちょっと外の空気を…」
「もう逃がしませんよ。ヴィペラ先生が待っていますから」
後ろから抱きかかえられてしまい、ヴィペラ先生の元まで連行される。
「着きましたよ」
扉の前で、地面に解放される、ヘル。
「ティーア。トール兄様がこちらに来てますよ」
「え!どこ、どこですか」
辺りを見渡すが、どこにも姿は見えない。
「どこにも居ないじゃないですか!って、居ない」
ティーアの隙を衝き、裏の木陰に逃げ込む、ヘル。
「ヘル様!どこへ行ったのですか。もう…」
ふー、ごめんティーア。僕は、魔法が使いたいんだ。
言語学を教わっている時間は、無い。
今は、数学だ!
「おい」
「はっうぅ!」
鳩尾を拳で殴る、アルバート。
あいつは…廊下で、ティーアにぶつかった奴だ。
人を殴ってる。やっぱり、見た目通り悪い奴だったんだな…
暴力を受けてるのは、ティーアを助けた、オスラ叔父さんの息子だ!
助けたほうが良いよな~
でも、僕は今、魔法が使えない唯の5歳児だし…
正直に言って、”怖い”
「雑魚が!二度と、しゃしゃり出てくんな」
あ…終わっちゃった。
まあ。生きてたわけだし、僕が出て行っても何も出来なかったよ。
これで良かったんだよ・・・ね?
「ヘル様!」
「ビクッ!」
「見つけましたよ…」
「いや~これは…」
ティーアに捕まった僕は、厳しいお叱りを受け、一日を終えました。
「おやすみなさい。ヘル様」
「おやすみ…」
~スキル【???】を発動します~




