15話 旅立ちと運命の出会い〈エイミー視点〉
農場長を連れて来たカイお兄様を見て、これは良い機会だと確信した。
そして、その機会を見計らった私は、涙を零した。
すると、面白いくらい農場長もカイお兄様も私の味方になって、サンディを責め始めた。
そんななか、突然サンディが農場を辞めると言って、その場から立ち去った。
――あら、こんなにもあっけなく終わるの?
何だか、こちらが悪者みたいで嫌な感じだわ。
そう思い、私はカイお兄様に声をかけた。
「さっきのサンディ、怖かったわ! けど、サンディが心配よ!」
「あいつなら大丈夫ですよ。それに悪いのはどう見てもサンディですから、エイミー様はお気になさらず、今日は家に帰ってお休みください」
そう言われ、家に帰り、次の日になり、カイお兄様とお父様から話を聞き今に至った。
――サンディがいなかったら、それはそれでしばらくつまらないわね……。
もう少し、優しくしてあげるべきだったかしら?
そんなことを思っていると、いつのまにか寝付いていた。
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そして、私は17歳になった。
そんなある日、王都に住んでいるコールデン家の傍系親族が、推薦で侍女を王室が募集しているという知らせをしてくれた。
コールデン家がお金に困っていることを知っていたからこそ、知らせてくれた情報だった。
急に資金繰りに困り出したのは、サンディたちが出て行ったことが大きなきっかけだった。
サンディたちが出て行ったことで、お父様はもっともっと領地民の負担が減り、暮らしやすくなるようにせねばならないと言っていたが、それを有言実行すべく、領地民が負担すべきものの半分ほどを、潤沢にお金があるわけでもないのにコールデン家の財産から負担しだしたのだ。
しかし、それでも領地民流出の歯止めにはならず、どんどん赤字状態が進み、お父様たちの助けになればという思いと、こんな閉鎖的な同じ顔ぶればかりの田舎から抜け出したいという気持ちもあり、私は侍女に出願し、その推薦は通った。
私が領地を出る時は皆が見送りに来てくれたが、なぜかカイお兄様が駆け寄って来た。
――出来るだけ避けていたのに……。
けれど、会うことも最後になるかもしれないし、まあいっか。
そう思っていると、カイお兄様は話し出した。
「どうしてもっと事前に、領地を出て行くって教えてくれなかったんですか!?」
「別にカイお兄様に言う必要はないでしょう?」
「えっ……。あんまりですよ! 寂しいじゃないですか!」
「別に私は寂しくないけど」
そう言うと、カイお兄様の顔がこわばった。
けれど、カイお兄様は話し続けてきた。
「けど、エイミー様もシンやサンディのように出て行くなんて……」
「カイお兄様は、サンディやシンお兄様が出て行って寂しいと思っていたの?」
「え……。はい、そうですが? だって、理由も言わずに、出て行くから探すな、なんて置手紙だけ残して去ったじゃないですか」
「2人ともカイお兄様のせいで出て行ったようなものなのに……」
――間違ってないわ。
カイお兄様がサンディを庇っていたら、サンディは失恋しなかっただろうし、出て行かなかったはずだもの。
シンお兄様はどちらかというとサンディの味方ばかりしていたし、サンディが出て行ったから出て行ったんでしょう。
なら、全部カイお兄様が原因よ。
そう思いながら、カイお兄様の顔を見ると、魂が抜けたような顔をしながら話しかけてきた。
「エイミー……様? いったいどうしちゃったんですか? こんなこと、いつものエイミー様だったら――」
何か言いかけているけれど、今の私には悠長に話している暇はなかった。
「カイお兄様が私の何を知っているの? ……私はもう行きますから。それでは」
そう言い、私は何か言いたそうな顔をしたカイお兄様を置き去りに、さっさと馬車に乗り込み、私は振り返ることなく王都に向かった。
その道のりで事件が起こった。
盗賊団が私の乗っている馬車を襲ってきたのだ。
――逃げないと!
そう思った私は、馬車から逃げ出したところ、あっけなく盗賊に捕まり人質にされた。
――私はこんなところでこんな死に方をしてしまうの!?
そんな絶望に浸っていると、私を人質にしている盗賊が誰かと話し出した。
――誰……?
そう思っていると、突然私を捉えていた盗賊が倒れ、私は誰かに抱きかかえられた。
それと同時に、私を抱きかかえている男性に話しかけられた。
「大丈夫かい?」
――やだ! 顔も見えない状態で男の人に抱きかかえられるなんて、恥ずかしいわ!
けど、大丈夫ということも伝えなきゃ――
「え、は、はい! あ、あのっ、この体勢はちょっと……恥ずかしいです」
「はっ! すっ、すまない!」
そう言うと、その男の人は私を下した。
しかし、私は恥ずかしさのあまり顔を見ることができず、まずはお礼をと、頭を下げた。
「助けていただきありがとうございました!」
そう言い、恐る恐る顔を上げ、その男性の全体像が見えた瞬間、私の身体中に電撃のような衝撃が走った。
――何てかっこいいの……!
それに私のことを助けてくれて、強い人なのね……。
これって、絵本で見た王子様そのものじゃない……!
運命に違いないわ!
そんなことを思いながらも話を進めていくと、行き先が同じと分かり、一緒の馬に乗せてくれた上、寒くなるかもしれないからと、今さっきまでその男性が着ていたマントを着せてくれた。
騎士様に名前を聞くと、ロジェリオと言っていた。
――顔も性格も名前も完璧じゃない!
それに、エイミーって名前も可愛いって言ってくれたわ!
心の中で喜びながらも、王宮に行くことになった経緯等について話しをし、最終的にロジェリオ様と王宮で会うことがあったら気軽に声をかけても良いという言質まで得た。
それから、私が王女宮の侍女として働きだしてしばらく経った頃、ロジェリオ様も王女宮所属になった。
このことは、まさしく運命の出会いだとより強く感じるようになったきっかけとなった。
そして、ロジェリオ様と私は親交を深めていき、エイミー、ロジェ様と呼び合うくらいまで仲良くなった。
そんな私たちの仲を引き裂くように現れたのが、リディア・ベルレアンだった。
お読み下さりありがとうございます。
エイミーの領地時代番外編はここまでとなります。
番外編は次話からロジェリオ編になります<(_ _*)>




