14話 再会〈エイミー視点〉
そして、月日は流れ私が12歳になった時、サンディに再会した。
久しぶりに見たサンディは、昔見たサンディよりもグッと大人に成長していた。
そして、気付いた時からずっと一緒にいたサンディに突然会わなくなった分、あんなに腹が立つ相手だった時も会ったのに、再会できた瞬間、嬉しさが込み上げてきた。
「やっぱりサンディだったのね! 歳をとってるから一瞬誰かと思ったわ! ずっとずっと会いたかったのよ!」
すると、サンディも会えて嬉しいと言ってくれた。
そして、私だけの一方的な気持ちでなくサンディも嬉しいと言ってくれたため気分が良くなり、珍しく褒めてあげようという気が湧いてきた。
「サンディに会いたいなんて、ずっと一緒に過ごしていたんだから当たり前じゃない! ところで……、さっきから横で見ていたんだけど、サンディってすっごく力持ちなのね! 普通の女の子のはずなら絶対に抜けないくらい力がいる作業なのに、さっきからすごい速さで抜いているからびっくりしたわ! そんなに力持ち過ぎたら、サンディの方が頼りになり過ぎて、男の人は逃げちゃうね!」
すると、サンディは戸惑いの表情を見せ、言葉を返してきた。
「エイミー様、私はエイミー様から見ればとっっっても力持ちかもしれませんが、普通の女の子ですよ。それに、ここにいる女性は皆この野菜の収穫が出来るんです。けど、男の人たちは逃げていませんよ」
――絶対にありがとうって言われると思ったのに、またくどくど怒り始めたわ!
せっかく褒めてあげたのに、どうして怒られなきゃならないの!?
本当に思ったことを言っただけなのに、何が怒る要素だったわけ!?
意味分かんない!
力持ちって言ったから……?
そう思うと、自分の善意を踏みにじられたような気持ちが湧いて来て、涙が出てきた。
すると、泣いた私に気付いた人が寄って来て、私のことを庇ってサンディのことを責め始めた。
――私の善意を踏みにじったんだから当然よ!
ちょっと痛い目見ればいいんだわ!
そして、そろそろ頃合いだと思い、皆に声をかけた。
「サンディは何も悪くないの! 私が言葉選びを間違えて、サンディを怒らせてしまっただけで……、だからサンディのことは責めないで! 私が悪いの!」
そう言ったところ、周りの人たちは私に無理しなくてもいいやら、優しいやら、やたらと褒めてくれた。
――ふ~ん。
こういう方法もあるのね!
そう思っていたところ、カイお兄様が来て、サンディのことを叱った。
――私のことを怒ったりするから、また好きな人に怒られてるわ!
そう思っていたところ、横やりが入った。
サンディを庇う女性が出てきたのだ。
すると、言い合いが始まった。
――皆が私を中心として言い合っているわ!
けれど、ここで私の言葉によってこの言い合いが収まったら、きっともっと褒められるに違いないわ!
そして、そのときサンディを悪者にしない言い方をしたら、きっと私は聖人君子のような子と思われるに違いないわ!
「みんな! 私のために喧嘩しないで! 私が全部悪いの!」
そう言うと、私の味方をしていた人たちは皆、優しい方だと褒めてくれた。
そして、農場長が騒ぎを聞きつけやってきて、私は農場長に付いて行った。
「農場長さん、お願いがあるんです」
「どんなお願いでしょうか?」
「今回は、私が取り乱してしまってあのようなことになってしまっただけで、サンディは悪くないんです。私は、もう今回のことは全然気にしていませんから。だから、サンディを辞めさせないで下さい! ですが、私もここで学びたいことがたくさんあるので、もう少し学ばせてくれませんか?」
そう言うと、農場長は目をぱちくりと開き、私のことを賢く優しい方だと褒めながら了承してくれた。
そして、何度か通う中で、お父様が偶に迎えに寄ってくれた。
その際、お父様にも私のことを良い様に伝えてくれる人がいて、皆から褒めてもらい最高だった。
――あんな簡単な作業をして、こんなに褒めてもらえるなんてまた来なきゃ!
一部の女の子たちは何でか私と喋ると怒ったような様子になるけれど、男の人たちはほぼ皆庇ってくれるから安心できるもの。
けど、サンディがここ数日全然見当たらないわね……。
今度来た時探してみようっと!
私がこの間のサンディに対してまだ怒っていると思っているのかしら。
一体、どれだけ私が心の狭い人間だと思っているの?
そう思ったため、後日来た時にサンディ探しを始めた。
そして、ようやくサンディを見つけて話しかけた。
「サンディ、この間のことをまだ怒っているから、私とお話ししてくれないの?」
すると、私を見て嫌なものを見たような顔をして、サンディが返答した。
「怒っていませんよ。ただ、エイミー様と担当が違っていたので、話す機会が無かっただけです」
――何て冷たい言い方なの?
それに私とサンディの仲なのに、はっきり怒っていると正直に言わずに私に嘘をつくなんてズルいわ!
そう思い、言い返すとサンディはまたも冷静な様子で返答してきた。
「ズルい……ですか? 私はもともとこんな話し方であって、怒っていませんよ。ですから、怒っていないのに、ズルいと言われとも困るのですが」
――こっちだけ必死みたいじゃない!
何でサンディが澄まして私をあしらうような態度をとるのよ!
それに言い方もキツいから、絶対に怒っているわ!
嘘までついて……、許せない……
そう思っていたところ、カイお兄様が農場長を連れて来た。
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