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天使の探究者  作者: はなり
第三章 動乱平定

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新たな吸血鬼

シャオと六花が対峙する少し前、北栄近郊にて遊はケールと合流していた。


「うそだろ・・・まさか糸音が」


「私ともあろうものが、申し訳ございません」


「いいや、あんたは謝ることではないよ」


「今、皆でこの付近、川から下流の付近、海に近い場所を捜索中です。ですが、ただでさえ流れの速い川が、少しの雨でさらに濁流となったせいで捜索は困難な状況です」


「そうか。すまないが引き続き捜索をお願いする。俺は、今から館へと向かうが何か進展があったら連絡をくれ」


「わかりました。全力で捜索に当たります」


話を終え、館へと走りだした遊は途中、火憐と合流。遊は、館へと向かいながら火憐の報告を聞く。


「それで遊、色々聞けたよ。なんと!あの状況で三人ぐらい生きてた。それで、軽い手当をしてやって話を聞いたよ」


「そりゃよかった。それでどうだった?」


「あー、なんか聞くところによるとねー。どうやら、金髪の若い男が急に教会へと押しかけて、同士を襲い始めたって言ってた」


「金髪?・・だれだ?とにかくそいつが吸血鬼騒動の犯人で間違いないな。見つけ次第、捕える。殺すなよ」


「りょーかい。あっ、それで生き残ったやつの一人がこんなこと言ってたよ。その吸血鬼に聞かれたことが一つだけあったんだって。六花の野郎はどこにいる、ってみんなに殺しながら聞いていたらしいよ」


「六花の知り合いか?同じ吸血鬼の仲間、それか敵対している者の仕業か、まぁなんにしても、館で涼香たちと合流して話を・・・」


二人は唐突に足を止める。会話の途中、妙な気配を感じ警戒する。

しばらくして前触れもなく霧が辺りに立ち込め始めた。


「おかしいな。この辺りに雨は降っていなかったはず・・この霧は・・」


「火憐、気を付けろ・・」


「そう、警戒するな遊」


霧の中、突如、漆黒の喪服の男が現れる。その傍らにはもう一人、というより一匹の犬がいた。


「ははん、なるほどね。ようやく姿を見せたな、宗谷」


「遊、この人見たことある」


「そりゃそうさ、こいつは糸衛の友人で俺の兄だからな。昔、夕凪家にも出入りしていた」


「あー、糸衛兄さんのねー。それに遊のお兄さんか、話したことないんだけど、なんとなくいた気がするなー」


「それで、なんのようだ宗谷。まさか、そこの犬とやらせるつもりで連れてきただけじゃないだろうな?」


「そのまさかだ。私は予定があるのでこれで失礼するよ。まぁ一目、姿だけでも見せようと思っただけだ」


「お前、俺が逃がすとでも?」


次の瞬間、遊は宗谷に一瞬で近づくと手持ちのナイフで首を斬りつけた。


「無駄だ、霧の私の実体を捕えることはできない。さて、この犬たちと遊んでおいてくれ」


「犬は嫌いだね。知ってるだろ?」


「ふっふ、知っているからだ。すまないが猫は好きなんでね、私が許せなかった」


「ふんっ。去る前に一つ聞かせろ!お前は一体、何がしたいんだ?」


「無論、バランスと調和」


「相変わらず、わからねーな」


「そうか」


そう言って宗谷は霧と共に消えた。霧が晴れると辺りには、無数の目の血走った犬たちが涎を垂らし遊たちを睨みつけていた。


「めんどいなー。遊、どうする?逃げる?殺る?」


「殺る。犬は嫌いだからな。俺は猫派なんだ!」


二人は犬たちが動き出す前に動こうと足を動かした矢先、違和感に気づきすぐに足を止めた。


「ん?」


「こいつら・・」


二人はよく見ると、犬たちには薄い糸のようなものが皆繋がっていた。それは犬同士に繋がっていて、その先を追う前に犬たちの体は膨らみ、霧散した。


「なんだ?」


「遊、あそこ」


火憐の指した先には一人の金髪の少年がいた。


「犬ころが、吸血鬼の血で粋がるなよ。まったく、一体だれがこんなことをやってんだか」


「金髪・・若い男。まさか、こんな時に探していた一人に会うとはな」


「どうする遊?捕える?」


「そうだな・・」


(相手はおそらく吸血鬼・・二人でやれないことはない、が、まずは会話か。幸いにも話すことはできそうだしな)


「おい、お前は一体何者なんだ?というかこの街の吸血鬼騒動の犯人ってお前か?」


「遊、随分とストレートに聞くねー」


「あん?・・吸血鬼騒動?知らねーな。それよかあんたら、六花ってやつは知ってるか?」


「それに答える前に、まずはお前のことを教えてくれよ」


「っち・・あーあ、まぁいいか。あんた、なんか知ってるぽいしな。正直、暴れる気はさらさらないし。いいぜ教えてやる、俺の名前は・・」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!


男の名を聞く直前、轟音が辺りに響きわたり、何かが夜の闇を照らす。三人は同時に音のする方、上空を見上げた。そこにはとてつもない大きさの隕石がこちらに向かって落ちてきたいた。


「なっ!?なんだあれは!」


「こんなバカげたことを前触れもなくできる奴、俺が知っている中では一人だけだ」


「やっぱりいやがったな、六花!」

 

三人は上空を見上げている中、騒がしい轟音と光で街の住人は次から次へと家から出てくる。


「おい!?何だあれは・・!?」

 

「この世の終わりか!!」

 

「うぁーーー!わー!逃げろっ!」

 

「一体、どこに行ったら・・うー、ダメだ!間に合わない」

 

街は一瞬でパニックになり阿鼻叫喚がそこかしこに溢れかえり、立ち止まり上空を見上げる三人の脇を人々が逃げ惑う。


カン!カン!カン!


京の街に警笛の鐘が鳴り響く。朝日を前にして人々は飛び起きた。

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