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『恋物語のあとしまつは、モブメイドの仕事です。』  作者: てぃな


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午後。


廊下で大きな木箱を運んでいると、向こうから修繕係がやって来た。


「おっと。」


ロイが慌てて箱を支える。


「危ない危ない。」


「ありがとうございます。」


リアが頭を下げると、ロイは笑った。


「建国祭前は毎年こんな感じなんだ。」


その横で、エリックは箱のぐらつきを見ていた。


「その持ち方だと傾く。」


「え?」


「重い物は、片側だけで持たない方がいい。」


そう言って何気なく箱を持ち直してくれる。


不思議なくらい軽く感じた。


「本当だ……!」


リアが驚くと、エリックは少し照れたように視線をそらした。


「慣れてるだけ。」


ロイが笑う。


「こいつ、仕事の話になると止まらないから。」


「余計なこと言うな。」


そんな二人のやり取りに、リアも思わず笑ってしまう。



夕方。


飾り付けを終えた大広間。


まだ誰もいない。


窓から差し込む夕日が、磨かれた床を黄金色に染めていた。


リアはその景色に見とれる。


「きれい……。」


後ろからマーサが歩いてくる。


「まだ誰もいない時が、一番きれいなんだ。」


「え?」


「これから人が集まって、笑って、踊って。」


「そして散らかる。」


マーサは優しく笑う。


「だから私たちの出番がある。」


リアも笑った。


「はい。」


「たくさん散らかしてもらいましょう。」


マーサは目を丸くしたあと、声を立てて笑う。


「そうだね。」


「楽しんだ証なら、大歓迎だ。」



その夜。


仕事記録を開く。


あとしまつ記録 第010号


担当者:リア


業務内容


・建国祭準備


・倉庫整理


・飾り付け補助


備考


準備も仕事。


あとしまつも仕事。


どちらも誰かの笑顔のためにある。


建国祭まで、あと七日。


リアは手帳を閉じる。


明日から王宮はもっと忙しくなる。


それでも、不思議と胸は弾んでいた。


このお祭りが、誰かにとって忘れられない一日になりますように。


そう願いながら、リアは静かにランプの火を消した。

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