表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強魔導師は不毛の大地でスローライフを送る ~凶悪な魔物が跋扈し瘴気漂う腐界でも、魔法があれば快適です~  作者: えぞぎんぎつね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
69/71

69 露天風呂と生活魔法

 露天風呂エリアに入ると、コボルトたちは嬉しそうに言う。


『ふゆ、さむいから、とびらをつけておいたわんね』

「おお、ありがとう。床は洗い場と同じかな?」

『そうだわん。ゆぶねもおなじだわんねー』

『でも、いわっぽさをのこしておいたわんね』


 湯船の縁には角の取れた岩が設置されていた。

 露天風呂もかなり大きい。


「いいね! ここに腰掛けてもいい感じだな」

『そうだわん!』


 俺は湯船の縁に腰掛けてみた。腐界が遠くまで見える。


 露天風呂は家とは反対側に作られているのだ。

 目に入るのはコボルトたちが植えた魔樹と魔草、そして遠くの景色だけ。


「独特の景色だよなぁ」


 結界の外にある瘴気を放つ魔樹と魔草が含まれる景色は腐界の外にはないものだ。

 それに瘴気が霧のようにたちこめていたり、瘴気が雲のようになっている箇所もある。


「くさいけど、みてるだけならきれいだなー」

「本当にな」


 夕焼けや朝焼けの時間は、赤くなってまた別の景色になるだろう。

 紅葉する秋や、雪で覆われる冬も楽しみだ。


「……あのやまが、しのやまな?」


 遠くに見える高い山を指さしてノエルが尋ねる。


『そうだわん!』

『のえる、あっちにいるみんのむすめもみえるわんねー』


 拠点内にノエルが植えた聖樹の若木も美しい。


『そのうち、はたけとかもつくるわん』

「どんどん景色が良くなりそうだね。ありがとう」

『えへへへー。あ、せいれいのまほうのこうかもみてほしいわん!』


 コボルトたちに案内されて、俺たちは露天風呂から外に出る。

 そして外から露天風呂の方を眺めてみた。


「おお、全く覗けないな。安心だ」

『そうだわん』



 露天風呂の周囲にはコボルトたちが草木を植えてくれている。

 まだ植えたばかりなので、数センチしかない


 だが、外から見たら、うっそうと木々が茂っているように見える。

 ただし、拠点を外から見たときとは違い、樹木は瘴気を出しているようには見えなかった。


『みためだけでも、くさそうだからわんねー』

「そうだな、臭そうだもんな」


 実際に瘴気を出していなくても、拠点の中で瘴気を吐いている姿は見たくない。


「中からだと視線が素通しだから、覗こうとしてこっそり近づくこともできませんね」


 カトリーヌがうんうんと頷いている。


『さくもつくっておいたわんね』


 柵があれば、森と間違えて露天風呂に入り込むこともないだろう。


「えらいえらい。がんばったわね」

『やったわん!』


 リラに撫でられて、コボルトたちは嬉しそうだ。


『はやくおゆをためてほしいわん』

「うん、任せて」


 コボルトたちの要請に応じて、浴場へと戻る。

 そうして、俺は魔法を使って湯船にお湯を注いでいく。


「おお~、てぃる、はやいな? あったかい。みずまほうとひまほう?」

「そうだよ。同時行使って奴だ。ノエルもやる? 練習になるよ」

「やる! ろてんぶろのほう、のえるがやるな?」

「お願い。猫魔法なら簡単だろうけど、練習のために人族の魔法でやるといいよ。聖樹の枝も使わずにね」

「わかった!」


 ノエルはパタパタと露天風呂のほうへに駆けていくと、手の先からお湯を出しはじめた。

 露天風呂に通じる扉は開いたままなので、ノエルの様子はよく見える。


「おお、さすがノエル。一発で成功させるか」

「てぃるのをみたからな?」

「いや、見ただけでは普通はできないよ。カトリーヌもそう思うだろう?」

「ええ、普通はできませんね。見ただけでできたら苦労はしません。凄いわ、ノエル」

「ノエルは凄いな! 才能にあふれている!」

「えへへへ」


 カトリーヌとフィロに褒められてノエルは照れる。

 照れながらも全く魔法にぶれはなかった。


「……あのな? てぃる。きになったことがあるのな?」

「なに?」

「これってせいかつ魔法な? だからえいしょうしなくていいのな?」

「そうだね」


 生活魔法は簡単なので、俺はいちいち詠唱しない。

 最初は詠唱していた気がするが、師匠に詠唱しないコツを教えてもらったのだ。


「ねこ魔法でもそうなのだけど……なんでせいかつ魔法はえいしょうしなくていいの?」

「……え、なんでだ? わからん。考えたことがなかった」


 小さい頃からそういうものだと思い込んでいた。


「なあなあ、かあさまは?」

「私は詠唱するわ。普通は生活魔法でも詠唱するものよ」

「なー。ぶつりほうそくに反しているしなー? えいしょういるよね?」


 そう言ってノエルはリラを見る。俺もリラを見た。

 これは神学の領域である気がしたからだ。


「リラ、どうしてなんだ?」「りら、おしえてな?」

「二人とも、いい質問ね。だいぶ省略して簡単に説明するわね」


 世界に許可を取って発動しているのは戦闘魔法も生活魔法変わりない。

 だが、弱い魔法に関しては、最初にまとめて許可を取っておくことができる。


「まあ、免許みたいな物かしら。それを持っていれば使い放題」

「ほほう」

「勅許魔法は、免許を取った上で申請、つまり詠唱して改めて許可を取る必要がある。でも戦闘魔法は免許があれば報告するだけでいい。人によっては一言だけの詠唱でもいい場合もある」


 有資格者でもいちいちお伺いを立てる必要があるのが勅許魔法。

 戦闘魔法に関しては、報告義務がある程度。

 だから、戦闘魔法は一言詠唱でいい。


「その免許ってどうやってとるんだ? とった覚えないんだが」

「のえるもないな?」

「ノエルは簡単。聖獣、いえ正確には聖者でもあるからね?」


 聖獣も神獣も聖女も聖者も、生まれついての免許もちだという。


「じゃあ、俺は? 聖者じゃないんだけど……」

「師匠がさりげなくとらせたんでしょう。あの人ならそのぐらいやるわ」


 コツとして教わったことが、免許だったのかもしれない。


「それにティルにもエルフの血が入っているし? エルフは特別な存在だから」

「なるほど~べんきょうになったな? ありがとう、リラ」

「そうだね。リラ、教えてくれてありがとう」

「気にしないで。私に答えられることなら、何でも聞いてね」


 俺とノエルに生活魔法について教えると、夜ご飯を作ると言ってリラは去って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ